urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

北森鴻『緋友禅 旗師・冬狐堂』文春文庫

2006年07月26日 | reading
ネタバレ一応注意。

固定の店舗を持たない骨董商=旗師。虚実入り混じる骨董の世界を独り駆ける美貌の女旗師、「冬狐堂」こと宇佐美陶子のシリーズ中短編集。
『狐罠』『狐闇』の長編では、「長さ」を生かした重層的なプロット、伏線運びの上手さが際立っていたので、短編という形が馴染むのかどうか、興味深く読みました。
どの話でも、題材・プロットの卓抜は見えますが、結末に至る推理や話運びはやはり性急の感を拭えませんでしたね。特に「奇縁円空」はもったいないオバケが出ました。まあそう言いながらも、エンタテインメントとしての性能は各編とても高いと思います。文章にも品があってとても素敵だと思います。
良い作家だな、やはり。

作品の評価はBプラス。

緋友禅緋友禅
北森 鴻

文芸春秋 2006-01
売り上げランキング : 39744

Amazonで詳しく見る
by G-Tools