urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

山田正紀『風水火那子の冒険』光文社文庫

2006年07月31日 | reading
ネタバレ一応注意。

流浪のアルバイト探偵、風水火那子のシリーズ短編集。四編収録で、どれもシチュエーションが抜群に面白い。「サマータイム」は夏の終わりの海の家での殺人。その日の内に取り壊されてしまう「現場」がある内に、事件は解決されなければならない…というもの。「麺とスープと殺人と」はラーメン・テーマパークで起きた殺人事件。実はこの辺はまだまだ序の口で、「ハブ」では爆薬の仕掛けられたバスの中でのアームチェア・デテクティブ。その「アームチェア」である座席の下に、立ち上がると爆発する爆弾がw。そして「極東メリー」は火那子が拉致された某国の工作船上での殺人→推理が展開される。ミステリとしてはどこか「軽い」感じがして俺はあまり好きになれなかったけど、このシチュエーション作りの巧さだけで充分楽しめます。
ベストは「極東メリー」。「メリー・セレスト号事件」を絡めて、歴史推理の面白さも加わったサービス精神たっぷりな好編。ちょっと無理線だけど、まあそれもまたご愛嬌。

作品の評価はB。

風水火那子の冒険風水火那子の冒険
山田 正紀

光文社 2006-07-12
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