urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

滝本竜彦『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』角川文庫

2006年07月18日 | reading
ネタバレ注意。

もっとブッ飛んだ話を期待していたんだけど、そうでもなかった。いや、設定――《平凡な高校生・山本陽介の前に現れたセーラー服の美少女・雪崎絵理。彼女が夜な夜な戦うのは、チェーンソーを振り回す不死身の男。何のために戦っているのかわからない。が、とにかく奴を倒さなければ世界に希望はない。》――じたいは充分ブッ飛んでるんだけどね。
でも俺が読みたかったのは、「ファウスト」掲載作などで見せた、彼独特の馬鹿過ぎて青臭さも吹き飛んだ青春ルサンチマンの暴走なのであって、その意味でこの小説はあまりに大人しい。なに音楽に熱上げちゃったり、友達が事故死したコーナーにバイク突っ込ませちゃったりしてんのよ。お前が書くべき青春はそんなんじゃねえだろ? …まあそんなベタな話を書いてもそんなに臭みがないのはこの人の天然の魅力だと思いますが。
あと、「南高」の男子高校生が「中央高」の女子高生を迎えに行くって設定が面白かった。あんまり聞いたことないぞw

作品の評価はC。

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ
滝本 竜彦

角川書店 2004-06
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