urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

垣根涼介『ヒートアイランド』文春文庫

2006年07月03日 | reading
ネタバレ一応注意。

んー。前作に対する不満がそのまま当てはまってしまうような。無味乾燥な文章(硬質、というのとは違う)、平板であざといキャラクタ造型(アキ、柿沢、あるいは久間は「ホラホラ、かっこいいだろ?」つって差し出されてる感じがして嫌悪感すら感じた。カオルとの関係はベッタリ書きすぎで、そっち方面の需要を狙ってるようにしか思えなかった)、ストリートギャングって題材も、IWGPのが遥かに活写できてると思う…もちろんフィクションとして、ね。あっちも最近凋落の気配が濃厚だが。
さらに、この小説は後半コン・ゲームの展開がメインになるが、張る罠も、そこからの脱出も、すべてが場当たり的で精緻さに著しく欠ける。はっきり言って完成度が低い。まあ一定の迫力は出せてると思うけど。
俺には正直、この作家の魅力が分からない。作品のバランスを崩してまで描き込まれるクルマや銃の描写に、男のロマンを感じるべきなのか? …ごめん、興味ねーや。
ボロクソに言っちゃいましたね。評価の高い『ワイルド・ソウル』を読むかは微妙です。持ってるけどw。

作品の評価はC。

ヒートアイランドヒートアイランド
垣根 涼介

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2 コメント

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Unknown (うさぎ)
2006-07-04 08:58:13
すばらしい感想だと思うよ。

V-MAXに魅かれたくらいだ。



何がダメだって主人公にカリスマ性を感じられなかったことかな。

もう名前も覚えてない。
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Unknown (urt)
2006-07-04 19:39:46
わざと薄っぺらく書いてるキャラと、厚く書いてるキャラがいるけど、逆に後者がうすら寒くなっとるね。
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