チョコレートを使用した菓子の値上げが相次いでいる。原料のカカオ豆の価格が、主要産地のガーナでの不作などで高止まりしているためだ。メーカーや商社は、調達先の分散や農家の支援に乗り出した。(金井智彦、貝塚麟太郎)
昨年の3倍の高さ
明治は10月1日以降の発売・出荷分から、チョコレートなど100品目を約6〜31%値上げする。箱入りの「きのこの山」「たけのこの里」の値上げは今年2回目となる。
ロッテも8月出荷分から順次、「コアラのマーチ」「パイの実」の出荷価格を引き上げた。値上げ幅は非公表だが、店頭価格も上がる見込みだ。
カカオ豆の国際価格の指標となるロンドン先物市場価格は、足元では1トンあたり6000ポンド台で推移している。4月に記録した史上最高値の約1万ポンドよりは落ち着いたものの、昨年の約3倍の高さだ。
明治はカカオ豆の調達コストが年間で100億円以上増える見通し。松田克也社長は、カカオ豆の供給量が減っているとして「すぐには回復しないのではないか」との見方を示す。
ガーナの記録的な大雨で大打撃
日本はカカオ豆の輸入の8割をガーナに依存している。ガーナでは昨年、記録的な大雨でカカオの木が大打撃を受け、病気の影響も相まって生産量が激減した。
さらにガーナでは近年、金の違法採掘が横行し、農家が採掘作業にかり出されたり、農園が採掘に使われたりする事例が相次いでいる。農地面積も減少しており、カカオ豆輸入の大手である伊藤忠商事の山田恵公カカオ・ゴマ課長は「今後3、4年は不足が続く可能性がある」とみる。
伊藤忠は営農指導を行っている西アフリカや、南米のエクアドルなどから調達を増やすことを検討している。ガーナ隣国のコートジボワールや中南米も代替地になり得るという。
ロッテもパプアニューギニアで営農指導を行っており、ガーナ以外に調達先を広げる検討に入った。
農家の生産を支援したり、代替品を活用したりする動きも出てきた。
明治は、カカオのエキスを使った飲料やゼリーなどに用途を広げている。利益を増やして農家に還元し、持続的な生産を促すためだ。
不二製油グループは5月、チョコレートを製造する際に、カカオ由来の油脂の代わりに、植物由来の油脂を多く使った業務用チョコレートを発売した。「風味は通常と変わらず、問い合わせが多い」(広報)といい、今後、増産を予定している。
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