悠々time・・・はなしの海     

大学院であまり役に立ちそうもない勉強をしたり、陶芸、歌舞伎・能、カメラ、ときどき八ヶ岳で畑仕事、60代最後半です。

文化財行政の実態

2006-02-26 18:16:51 | 社会的行事


重要伝統的建造物群保存地区「岐阜県白川村荻町」
(世界文化遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の一部)
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<文化財行政とは?>
かねがね、わが国の文化財行政は遅れている、対応が後手に回っている、と
思っていたが、2005年4月に施行された文化財保護法の改正で、文化的景
観が文化財として選定できることになったが、今回ようやく近江八幡市の「水郷」
が「重要文化的景観」に選定されたという新聞記事を読んで、ようやく文化財行
政も遅れを取り戻してきたか、という感想を抱いた。

第二次大戦後の日本は、経済復興を第一の目標としてやってきたので致し方
ない点はあるのだが、バブルが弾けてひどい目にあったにも拘わらず、最近
でもライブドア問題に象徴されるように、性懲りもなく金儲け第一主義に毒され
ている。最近よく話題になる「世界遺産」の申請についても、本来的な意味より
も地元の観光産業の活性化を隠れた第一目標に運動しているのではないかと
思えるほどの政財界と文部科学省(文化庁)のハッスルぶりである。
しかし本質的な精神が、何かが欠けているのではないかと今でも感じている。

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<ユネスコ(*)と世界遺産と日本>

(*)国際連合教育科学文化機関(United Nations Educational,Scientific
  and Cultural Organization)
それにもう一つの隠れた目的は、ユネスコ活動(外務省、文部科学省)にお
ける国内の低評価回復のためにやっているのではないかと思われることで
ある。低評価回復という意味はこういうことである。

日本はユネスコにおける最大の資金提供国であり、かつ1999年11月以降、
当時の松浦駐仏大使が事務局長に就任したものの、日本国民からみたプラ
ス効果は特になく、世界遺産の選定を含めて、日本の資金と技術力は相変
わらず、欧州と第三国支援のためにだけ使われているのではないか、という
不名誉な評価を挽回するために世界遺産の登録に躍起になっているのでは
ないか、というものである。

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<世界遺産ブーム>

最近わが国では「世界遺産」ブームである。ブームには二つの側面があっ
て、一つは、世界遺産旅行ブームであり、二つめは、地元と政財界をあげ
て世界遺産申請運動ブームである。今や、世界遺産にあらずんば国の重
要な文化財・文化資産・文化遺産ではない、と言わんばかりである。経済
界において高株価だけが企業経営の最大の目標であるかのような最近の
風潮と似てきている。

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<遅れている文化財行政>

ユネスコでは世界遺産の登録対象に「文化的景観」という概念が加えられ
たのだが、先に書いた近江八幡市の水郷がわが国の文化的景観の対象と
して選定された背景には、ユネスコで既に文化的景観が対象に加えられた、
という事実が逆流してきてわが国の法改正と第一号の選定になったという
実態を考えると、わが国の文化財行政の対応は遅れていると云わざるを
えない。

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