このブログの主ウジキです。本名は吉田毅(よしだたけし)と申します。
神戸市在住の37歳の男です。現在は失業中ですが、ずっと福祉事業に従事しています。
先日、大阪府八尾市で起きた幼児投げ落とし事件。私は少なからずショックを受け、一昨日からこの事件について書くべきかどうか悩んでいました。しかし大学から福祉を学び、現在までずっと障害者福祉に携わってきた私としては、やはり自分なりの考えを書いてみることにしました。
41歳の男性が3歳の幼児を歩道橋から下の道路へ投げ落とした。その容疑者が軽い知的障害をもつ者だったということで世間は騒いでいます。
この事件を聞いて皆さんはどのような感想を持たれたのでしょう?
もちろん起こした事件についてはとんでもない行為であり、幼児の命に別状がなかったことが不幸中の幸いでした。しかし、起こした事件そのものよりも、その容疑者が過去にも何回も幼児誘拐などで起訴された経歴があることと、知的障害をもっているということがかなりクローズアップされているように思われます。
一昨日(18日)たまたま見たお昼の『おもいっきりテレビ』で司会のみのもんた氏は、「誰も言わないから私が言います!こんな6回も事件を起こしている人間を野放しにしておくのがおかしいんです!」と叫んでいました。
みのもんた氏は庶民の味方。世間のお歳のいったお嬢さん方の気持ちを代弁しているつもりなんでしょう。実際そういう気持ちでこの事件を見てる人は多いかもしれません。
この事件について考えるのは難しいです。確かに容疑者は過去に6回も誘拐事件などを起こしています。私はその容疑者がどんな人なのか知りませんし、軽い知的障害があるということですが、その障害の程度やその特性などはわかりません。だから私としてはどう判断すればいいのかわからないのですが、彼の通所していた施設の理事長の話では、「彼は子どもが好きで・・・」とのことでした。
過去に起こした事件というのは誘拐事件ということですが、法律上は誘拐事件となるのですが、実際の事件の内容としては‘子どもが好きで連れ回していた’ということみたいです。
私の過去にかかわったことのある知的障害の方にも、とにかく子どもが好きで、子どもを見るとすぐに寄って行って頭をなでようとする人がいました。その人にとっては「子どもが好き」という気持ちから来る衝動的な行動なのでしょうが、いきなり言葉もなく自分の子どものところへ走って寄って来られる親御さんとしては不気味な相手でしかなく、とても怖がられるのです。
話を戻しますが、容疑者の過去6回の事件への施設や関係者の見識はそんな感じだったのではないかと思うのです。彼にとっては悪気のある行為でなくても相手にとっては迷惑になるから注意しなければならない・・・くらいの。施設側としては、1人で街に出さないなどの配慮はしていたみたいですが、かといって、いきなり子どもを歩道橋から投げ落とすなんて行動は予期していなかったのではと思います。
だからみのもんた氏が強調するような過去6回も事件を起こしているのに野放しにしておくのは・・・というのはちょっと違うかなという気がします。もしそうでなくても、ちゃんと刑事罰を受けて出所した人を隔離する法律などないのですから。知的障害があるから隔離せよというのなら、それはまた全然別の話になると思います。
マスコミでは、事件時、8人の障害者に対して職員1人しかついていないのがおかしいんじゃないかという意見もありました。しかし障害者福祉施設の運営状況ではそれが限界でしょう。もっと人を手厚くしろと批判をするのなら、ではあなたはそのために福祉目的税として消費税を10%以上にすることに賛成しますか?と言いたいです。他人事ではなく、自分の問題でもあるということをわかって欲しいのです。
この事件で、「障害者は怖い」というイメージを持たれた方もいたでしょう。
本当にそうですか? 私なんかは駅前でたむろってる高校生の方がよっぽど怖いです。でもその高校生と普段接している人は「そんなことないよ」と答えるでしょう。それと同じです。障害があろうがなかろうが事件を起こす人は起こすのです。事件を起こした本人が悪いのであって、障害者として人括りにすることはやめて下さい。
私の知っている神戸市内のある知的障害者の入所施設は、現在の場所が不便なところにあり、また建物も老朽化していることから移転を予定しています。ところがその移転先の住民から移転反対の運動を起こされているのです。今回の事件できっと反対住民は力を得て、より反対運動が強くなることも予想されます。もうそういう話はうんざりです。
一般の方々は、高齢者福祉に関してはある意味寛容です。それは自分の親が実際に介護が必要になり、福祉サービスを受ける必要があったり、またいずれは自分も歳をとって介護サービスを受ける可能性があると思うからでしょう。
しかし、障害者福祉に関してはまだ意識が低いようです。身内に障害者がいない方にとってはそれは別世界の話で、自分のこととしてなかなか考えられないのでしょう。
でも、実はあなたのまわりにもたくさんの障害をもった方がいるのです。
私は今回の事件の容疑者を擁護するつもりはありません。適正に司法の判断を得て、適正に処罰を受ければいいと思います。
ただ、日本の法制度の不備、とりわけ知的障害をもつ人が事件を犯した場合に、一般の人と同じ扱いでいいのか、いやそもそも一般の犯罪者でもただ刑罰を与えるだけで再犯が防げるのかなど、大いに議論すればいいと思います。
思ったことをつらつらと書いたのでまとまりのない文章になってしまいました。もしかしたらかえって誤解を招く内容になってしまったかもしれません。皆さんの意見も聞かせていただけたら幸いです。
ただ、もう一度言います。
障害者が危ないわけではありません。
そして、
あなたの隣にも障害者はいるのです。
神戸市在住の37歳の男です。現在は失業中ですが、ずっと福祉事業に従事しています。
先日、大阪府八尾市で起きた幼児投げ落とし事件。私は少なからずショックを受け、一昨日からこの事件について書くべきかどうか悩んでいました。しかし大学から福祉を学び、現在までずっと障害者福祉に携わってきた私としては、やはり自分なりの考えを書いてみることにしました。
41歳の男性が3歳の幼児を歩道橋から下の道路へ投げ落とした。その容疑者が軽い知的障害をもつ者だったということで世間は騒いでいます。
この事件を聞いて皆さんはどのような感想を持たれたのでしょう?
もちろん起こした事件についてはとんでもない行為であり、幼児の命に別状がなかったことが不幸中の幸いでした。しかし、起こした事件そのものよりも、その容疑者が過去にも何回も幼児誘拐などで起訴された経歴があることと、知的障害をもっているということがかなりクローズアップされているように思われます。
一昨日(18日)たまたま見たお昼の『おもいっきりテレビ』で司会のみのもんた氏は、「誰も言わないから私が言います!こんな6回も事件を起こしている人間を野放しにしておくのがおかしいんです!」と叫んでいました。
みのもんた氏は庶民の味方。世間のお歳のいったお嬢さん方の気持ちを代弁しているつもりなんでしょう。実際そういう気持ちでこの事件を見てる人は多いかもしれません。
この事件について考えるのは難しいです。確かに容疑者は過去に6回も誘拐事件などを起こしています。私はその容疑者がどんな人なのか知りませんし、軽い知的障害があるということですが、その障害の程度やその特性などはわかりません。だから私としてはどう判断すればいいのかわからないのですが、彼の通所していた施設の理事長の話では、「彼は子どもが好きで・・・」とのことでした。
過去に起こした事件というのは誘拐事件ということですが、法律上は誘拐事件となるのですが、実際の事件の内容としては‘子どもが好きで連れ回していた’ということみたいです。
私の過去にかかわったことのある知的障害の方にも、とにかく子どもが好きで、子どもを見るとすぐに寄って行って頭をなでようとする人がいました。その人にとっては「子どもが好き」という気持ちから来る衝動的な行動なのでしょうが、いきなり言葉もなく自分の子どものところへ走って寄って来られる親御さんとしては不気味な相手でしかなく、とても怖がられるのです。
話を戻しますが、容疑者の過去6回の事件への施設や関係者の見識はそんな感じだったのではないかと思うのです。彼にとっては悪気のある行為でなくても相手にとっては迷惑になるから注意しなければならない・・・くらいの。施設側としては、1人で街に出さないなどの配慮はしていたみたいですが、かといって、いきなり子どもを歩道橋から投げ落とすなんて行動は予期していなかったのではと思います。
だからみのもんた氏が強調するような過去6回も事件を起こしているのに野放しにしておくのは・・・というのはちょっと違うかなという気がします。もしそうでなくても、ちゃんと刑事罰を受けて出所した人を隔離する法律などないのですから。知的障害があるから隔離せよというのなら、それはまた全然別の話になると思います。
マスコミでは、事件時、8人の障害者に対して職員1人しかついていないのがおかしいんじゃないかという意見もありました。しかし障害者福祉施設の運営状況ではそれが限界でしょう。もっと人を手厚くしろと批判をするのなら、ではあなたはそのために福祉目的税として消費税を10%以上にすることに賛成しますか?と言いたいです。他人事ではなく、自分の問題でもあるということをわかって欲しいのです。
この事件で、「障害者は怖い」というイメージを持たれた方もいたでしょう。
本当にそうですか? 私なんかは駅前でたむろってる高校生の方がよっぽど怖いです。でもその高校生と普段接している人は「そんなことないよ」と答えるでしょう。それと同じです。障害があろうがなかろうが事件を起こす人は起こすのです。事件を起こした本人が悪いのであって、障害者として人括りにすることはやめて下さい。
私の知っている神戸市内のある知的障害者の入所施設は、現在の場所が不便なところにあり、また建物も老朽化していることから移転を予定しています。ところがその移転先の住民から移転反対の運動を起こされているのです。今回の事件できっと反対住民は力を得て、より反対運動が強くなることも予想されます。もうそういう話はうんざりです。
一般の方々は、高齢者福祉に関してはある意味寛容です。それは自分の親が実際に介護が必要になり、福祉サービスを受ける必要があったり、またいずれは自分も歳をとって介護サービスを受ける可能性があると思うからでしょう。
しかし、障害者福祉に関してはまだ意識が低いようです。身内に障害者がいない方にとってはそれは別世界の話で、自分のこととしてなかなか考えられないのでしょう。
でも、実はあなたのまわりにもたくさんの障害をもった方がいるのです。
私は今回の事件の容疑者を擁護するつもりはありません。適正に司法の判断を得て、適正に処罰を受ければいいと思います。
ただ、日本の法制度の不備、とりわけ知的障害をもつ人が事件を犯した場合に、一般の人と同じ扱いでいいのか、いやそもそも一般の犯罪者でもただ刑罰を与えるだけで再犯が防げるのかなど、大いに議論すればいいと思います。
思ったことをつらつらと書いたのでまとまりのない文章になってしまいました。もしかしたらかえって誤解を招く内容になってしまったかもしれません。皆さんの意見も聞かせていただけたら幸いです。
ただ、もう一度言います。
障害者が危ないわけではありません。
そして、
あなたの隣にも障害者はいるのです。