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岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

濁りなき鮮紅色にありしとぞジャンヌダルクの剣の滴は

2012年11月25日 23時59分59秒 | 岩田亨の作品紹介
「真樹」2012年12月号

 選・書・目・耕

 岩田亨歌集「剣の滴」 かまくら春秋社

1. 濁りなき鮮紅色にありしとぞジャンヌダルクの剣の滴は

 歌集名「剣(つるぎ)の滴」は集中のこの歌に依るとのこと。けがれのない鮮やかな色彩のうちに、著者の短歌によせる熱い思いが窺われる。「夜の林檎」「オリオンの剣」につづく第三歌集である。

2. 冬の陽がグラスの中に屈折し描く楕円はわが新世界

3. 割り切れぬ心持ちながら過ごす夜にジンジャーエールの封印を切る

 日常のなにげないシーンが独特の視線で掬い上げられ、新しさのなかにも余情の漂う個性ゆたかな作品が立ち上がる。あとがきで、-この10年間は作歌の目標を斎藤茂吉と佐藤佐太郎の業績に「新」を積むと明確に意識するようになった時期だったーと述べられていることも印象深い。

 著者は神奈川県川崎市に生まれ、1999年、作歌を始められた。2001年、「星座の会」発足とともに入会され、若葉台カルチャースクール「短歌講座」講師等を経て、現在病気療養のかたわら作歌を続けられている。「星座」創刊10周年記念歌集・星座ライブラリー16。

 以上が全文だが、これに付け加えることがあるとすれば「病気療養のかたわら」ではない。僕は「かたわら」で短歌を作ったことは、一度もない。いつも真剣勝負である。

 全体に「心理詠」が多いが、島木赤彦の「概念歌」、斎藤茂吉の「汎神論的写生」、佐藤佐太郎の「象徴的技法」を引き継いでいると僕は考えている。




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