2017年の作品より:五首抄出
・ぼろぼろになりそうな心抱えつつ一鉢ベランダにサボテン植える「星座」
・濃厚な乳白色の靄動く風に形があると思う十月「星座」
・わが悔いをこらえつつ歩む細道にツワブキの花つつましく咲く「星座」
・こんなのも美しくまた切なかりフラメンコダンサーの赤きくちびる「星座」
・マリコの顔を思い眠れぬ夜にしてメールの着信確かめて居り「星座」
この五首も尾崎主筆の選。
一首目は上の句が冒険だが、素直に詠んだのが成功した。
二首目四句目が九音で字余りだが、結句を七音でとめて違和感をなくした。字余りが風の動く様子とマッチしたかと思う。これは無意識の字余り。
三首目。自宅のある団地でグリーンボランティアに参加し始め、近隣の植物への興味が強まった時期。ここは土壌の関係でツワブキの花が多い。
四首目。フラメンコのライブを何回か見て聞いて、一つ視野が広がった時期。2016年の作品だが、ライブハウスのピアニストの指を素材にした作品も詠んだ。
五首目。まあ相聞だが、こういう実験作は手許に連作で残してある。「アララギ系ではよい相聞がない。挑戦してみなさい。」と尾崎主筆から励まされた。初句が七音で、これは僕には初めてのもの。
こう見てくるとかなり作品が変化してきているように思う。
