岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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「東日本大震災歌集」人類の未来の歌:現代歌人協会編

2021年12月21日 01時03分19秒 | 私が選んだ近現代の短歌
・自らの制御の出来ぬもの作り滅びてゆくかホモ・サピエンス
                         雁部貞夫(新アララギ)

 福島第一原発。事故によりメルトダウンどころかメルトスルーを起こした。灼熱の燃料棒が原子炉の底を突き破ってしまった。安全ではなかったのか、5重の壁があったのではないか、津波は壁を越えないのではなかったか、電源喪失は起こるはずがなかったのではないか。

 原子炉の底を突き破ったのをデブリという。放射線量が高いので取り出すのは出来ない。地下水が常時流れ込んでいるのでコンクリートで固める石棺も不可能。氷壁は失敗続き。制御出来ないのだ。

 作品はこれをシンプルに詠んだ。アララギの手法である。

 「滅びてゆくか」。深刻な表現である。人類が生存するには、原発からの脱却が必要だろう。



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