岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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噴水の水の歌:尾崎左永子の短歌

2022年10月21日 20時05分54秒 | 尾崎左永子(長澤一作・川島喜代詩)の短歌を読む
・噴水の水に時のまの虹立てば如何ならん明日わがために待つ
 「尾崎左永子八十八歌」所収。

2015年段階の代表作を収録した自選歌集。作者が毛筆で色紙形式になっており独特の趣がある。

さて作品。「景を取り込んだ自己凝視の心理詠」である。下の句に、自己凝視の強さを感じる。

 噴水の場所、や時刻は「捨象」されている。佐藤佐太郎の言う「表現の限定」作者はこれを「言葉の削ぎ落し」という。「捨象」によって「感動の中心」を絞っているのだ。

 斎藤茂吉や佐藤佐太郎にも「自己凝視」の歌はあるが、このよう鋭敏な感覚の「自己凝視の歌」はない。そこに作者の独自性がある。



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