好調・稀勢の里が白鵬を復活させた？

白鵬が稀勢の里との全勝対決制し単独首位　夏場所

　大相撲夏場所は今日13日目に横綱・白鵬と大関・稀勢の里の全勝
対決という今場所最大の注目の一番を迎えた。

　今場所は12日目まで両者とも危なげない取り口で全勝という最近
では珍しい展開で直接対決を迎え初場所は稀勢の里、春場所は白鵬
と最近の2場所は1勝1敗だったので近年にない盛り上がりを見せた。

　なにせ両者とも残り2日間は日馬富士や鶴竜といった横綱と対戦
するのだが、既に両横綱は10勝3敗と優勝争いから脱落している事
から この一番に勝った方が限りなく今場所の優勝に近づくと思わ
れたのだ。

　稀勢の里は先場所が13勝2敗で優勝した横綱・白鵬が14勝1敗だっ
たため準優勝扱いとなっていたので、今場所 白鵬に勝って優勝す
れば待望の日本人横綱誕生という流れになっていたのだ。

　取組前の予想では‘早い相撲なら白鵬だが長引けば稀勢の里にも
チャンスあり’というもので立ち合いは得意の左四つに組み止め、
右上手まで取った事から場内も沸き‘これはいける’という雰囲気
になったものの寄りを残されると下手投げの連発の前に土俵に転が
される形で敗れた。

　角聖といわれた大横綱・双葉山は相手十分の取り口でも勝つと
いう横綱相撲を体現していたのだが、今日の白鵬の相撲は稀勢の里
得意の左四つ右上手を許すなど相手十分の取り口だったものの最終
的に勝つ見事な横綱相撲を見せたわけだ。

　最近の白鵬は昨年の名古屋で優勝した後は秋場所で途中休場した
のを皮切りに九州と初場所では共に12勝止まりで3場所連続で優勝も
逃していた事から白鵬限界説も流れ始めていたし、春場所も14勝で
4場所ぶりの優勝を飾ったのだが立ち合いの変化で勝つなど横綱に
あるまじき勝ち方を叩かれていた。

　それが今場所はかち上げによるKO勝ちはあったものの安定した
強さで勝ち続けているのを見ると、稀勢の里の存在が白鵬の力を
復活させたという感じがするのだ。

　稀勢の里が勝てないのは残念ではあるが横綱に昇進が、こういう
高い壁を乗り越えて初めて辿り着ける価値あるものというのを分か
らせるものではないだろうか。