ホセ・ピピノ・クエバスを見て40年

 今から40年前の今日76年10月27日に金沢で行われたWBA
ウエルター級タイトルマッチで日本王者の辻本章次が、当時18歳
だった王者のホセ・ピピノ・クエバスに挑戦したものの6RでKO
負けしタイトル奪取に失敗した。

 28歳で日本タイトルを9度防衛していた辻本は当初プエルトリ
コのアンヘル・エスパーダへの挑戦を画策していたが、そのエスパ
ダを7月に2RでKOしてタイトルを奪取したのがクエバスだった。

 世界を取ったのは2RKOだったものの世界戦の前哨戦ではアウト
ボクサーのアンディ・プライスに判定負けしているので‘エスパダ
戦のKO勝ちはラッキーな勝ちだったし、テクニシャンの辻本なら
じらしてペースに巻き込んで判定勝ちもありえるのでは‘という期
待を持たせていた。

 試合が行われた10月は9日にロイヤル小林、翌10日には具志堅
用高が2夜連続で世界タイトルを奪取していたので辻本にも大いに
期待がかかった中での一戦となったのだ。

 試合は予想通り辻本がクエバスの強打を巧くかわしつつパンチを
打ち込む展開に持ち込み、5Rにはパンチをまとめて明確にポイント
を奪うなど‘いける’という雰囲気になっていた。

 ところが なまじっかパンチが当たるからか辻本は6Rに打ち気に
はやったところに王者のパンチが炸裂すると、あっさりダウンを喫
して何とか立ち上がったものの効いており更に2度のダウンを奪わ
れてKO負け。

 そのクエバスが辻本戦以降9連続KOを含む通算11度の防衛に
成功しただけでなく、判定防衛は1度のみで4人もの挑戦者のアゴ
を骨折させていたのだから凄まじい強打ぶりが分かるだろう。

 それを考えると辻本は大善戦していた事になるし88年2月にアト
ランティックシティでマーロン・スターリングに挑戦した尾崎富士
夫と共に、世界ウエルター級タイトルに最も接近した選手でもあった
のが分かる。

 あれから40年が経ち日本タイトルがある階級ではミドル級を竹原
慎二が取っているのに、ウエルター級だけは未だに日本人の世界王者
がいないという状態が続いている。

 それにしても怪物王者クエバスをはじめアレクシス・アルゲリョや
ウィルフレド・ゴメスら世界の超一流王者を日本のリングで見られた
のは幸運だったし、辻本やロイヤル小林ら勇気ある挑戦者達にも感謝
しないといけないだろう。

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