ルール無用の野球マンガのシーンといえば

 40年前の今頃 週刊少年ジャンプで連載されていたのがアストロ球団。

 昭和29年9月9日午前9時9分9秒に生まれ体のどこかにボールの形のアザが
あるアストロ超人達が沢村栄治の遺志を次いでMLBを打倒するために結成された
チームができるまでの作品だが、70年代特有の熱さ満載で魔球や○○打法などの
オンパレードでルール無用の描写も至る所で見る事ができる。


 特に対ロッテ戦の最終回に2アウトからカミソリの竜こと高尾球六の3ベースで
追い付いた直後に伊集院球三郎が打ち返したセンターへのHR性の打球をロッテ
の助っ人超人のリョウ坂本がジャンプ一番ハリケーンキックでキャッチャーの村上
に向かって蹴り返す。


 これを村上が捕球すればアウトなのだが なぜかホームに突入した球六がスライ
ディングでキャッチャーミットを蹴り上げて落球させてセーフとなり試合終了という
結末だ。


 球三郎の打球がワンバウンドしていれば球六のプレーはOKだがノーバウンドの
場合は村上が坂本の代わりに捕球すればアウトなので、そのジャマをした球六の
プレーは守備妨害という事になる。


 もっともアストロ球団ではアストロ超人の身内である峠球四郎が、アストロ球団
打倒のため結成したビクトリー球団にプロレスラー上がりの力動岩は両手に長短
のバットを1本づつ持って打席に入っていたし、球三郎の兄・伊集院大門はヌン
チャク型のバットで打っていたからルール無視が公然と行われていたので球六の
プレーは当時そこまで目立たなかった。


 他にもアパッチ野球軍ではQL学園相手に最終回一打逆転サヨナラのピンチで
網走が打たれたセンターオーバーの逆転サヨナラHRをセンターのモンキーが
スコアボードによじ登って その上でキャッチをして試合終了というシーンも有名だ。


 ちなみに昭和の野球マンガの金字塔である巨人の星の原作者・梶原一騎は、
元来格闘技畑の人間で野球のルールをロクに知らずに書いていたらしい。


 つまり野球のルールを知らなくてもバッターとピッチャーおよびバッテリー同士の
一騎打ちという形で進める事ができたので、試合展開の妙味という野球本来の
面白さを描ききれてないのは当然だろう。


 とはいえ当時の読者や視聴者が それで満足していたのは実際のプロ野球でも
試合展開の妙味よりもエースとバッターの対決を全面に押し出したスタイルの方を
当時の野球ファンは楽しんでいたのではないだろうかと思うのだ。


 ただし その時代のレベルはシーズンオフの休養期間に観光&接待旅行を兼ねて
来日したMLBのチームにも勝ち越すことができなかったので、日本人選手がMLBで
活躍するのは到底無理だと思われていたぐらい今日に比べて低かったのは一目
瞭然だ。


 巨人の星やアストロ球団などの魔球などを駆使する野球マンガが最近見なく
なったのは、
野球ファンや読者の目線が上がった証拠ではあるが純粋無垢に
魔球を見られた時代と今では どちらが楽しいのかは個人の価値観に委ねるしか
ない。

コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
全巻持っています!! (柴田真紀)
2013-11-24 23:36:45
『アストロ球団』は、私が野球にハマるきっかけとなった作品でもあります。味方側の、スカイラブ投法だの、ジャコビニ流星打法だの、球七、球八兄弟の守備のぶっ飛び方だの、ツッコミしていたらキリがない作品ですが、そこが逆に好きでした。
試合中に、やたら人が死んだしな~(苦笑)。
数年前の実写ドラマ化していた番組も、DVDに残しています。こちらはラストが原作と違っていました。

超人的な魔球や打法にこだわらず、野球ルールを真剣に教えてもらったのは、『ドカベン』でした。こちらも、続編巻まで合わせて、全巻揃えてあります。

アストロ~ の頃は、日本の野球選手が大リーグに行くのは夢でしたが、今じゃ日本人が普通に活躍していますよね。
なんか、40年前に描いていた「宇宙」と同じような感覚です。
 
 
 
それは言えます (こーじ)
2013-11-25 23:13:03
>柴田真紀様
 食いつきはアストロ球団で、野球が分かり始めてからはドカベンというのは昭和の王道ですよね。

 ブラック球団戦が上野球太、ロッテ戦はモンスター・ジョーが廃人、ビクトリー球団戦は大門とバロン森が死亡で氏家はボケ老人にダイナマイト拳も拳が砕けるですか。

 今や‘大リーグ’という言葉すら死語になっている今日この頃ですよね。
 
 
 
Unknown (ムーミン)
2013-11-27 01:46:35
巨人の星のDVD、全て見終えました。話の内容がとかく暗く、登場人物も不幸な人たちばかり。そして、野球によって登場人物はますます不幸になっていく。これじゃあ、野球の楽しさ・醍醐味は分からないです。巨人の星は、野球マンガというよりか、人生(論)マンガですね。

逆に、野球をロクに知らないせいか、まともなことが描かれていたりします。ダウンスイングを、ドジャースキャンプの大根切りと、巨人の二軍選手たちがバカにするシーンがまさにそれです。
 
 
 
世代が違うと (こーじ)
2013-11-27 23:03:04
>ムーミン様
 まさしく野球の楽しさなどが一切無視された作品ですからね、巨人の星は。

 我々の世代はとりあえず野球を見るキッカケにはなりましたけど、80年代以降の人達にとってはギャグのようなシーンが多いですよね。
 
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