
お豆さんは母の味
畑で採ったばかりのお豆さん
「お手伝いしてくれんかね~」という母の言葉に、ご褒美を期待しながら鞘をむく
大きくて分厚い鞘を割ると、ふかふかの白い綿にくるまれてお豆の兄弟が、三つ四つ並んでる
「今までいい気持ちで寝とったんかな~」
いかにも子どもらしい思いに母は
「そうかもしれんね~、これから入るお風呂はちょっと熱いけぇねぇ、目も覚めるかもしれんよ」
と笑いながら答え、きれいに洗ったお豆さんを、たっぷりのお湯で塩ゆでにし…
ゆで上がったお豆さんを菜箸でひとつ掴み、「はい、どうぞ」と私にくれる
こんなやりとりを何度したことでしょう
私にとっての母の味は、ほくほくのお豆さん
お豆さんを見ると、思い出すんですよね…
なつかしいお母さんを…
夕暮れ時にお豆さんを茹でながら、ひとりごと
「ご褒美♪ご褒美♪」