8/9に開催された京都弁護士会の常議員会(弁護士会の議会のようなものです。)で、
8/3に東京拘置所と大阪拘置所で2名に対する死刑執行が行われたことに対して抗議する弁護士会会長声明が賛成多数で可決されました。(私も、常議員の一人です。)
会長声明の内容はこちらです。
http://www.kyotoben.or.jp/siritai/menu/pages_kobetu.cfm?id=643
死刑制度に明確に反対するという内容にまではなっていませんが、
全社会的議論がなされないままで死刑が執行されたことについて強く抗議を求める声明であり、弁護士会として死刑制度に問題を投げかける重要な意義があると思います。
死刑については様々な考え方があるのだから、弁護士会がこのような声明を出すべきではないという弁護士もいます。
しかし、
刑事裁判に直接関わり、死刑判決にも間違いがあることや死刑になるような犯罪を犯した人がどうしてそういうことをしたのかということについて、誰よりもよく知る立場にある弁護士こそが、勇気を出して社会に対して発言していかなければならないことだと思います。
反発を恐れず、声明を出された今年度の会長・副会長に敬意を表したいと思います。
来年度以降の会長も同じ勇気を持ち続けていただけることを願っています。
日本で死刑は隠されています。
刑場こそようやく公開されましたが、具体的な執行がどのように行われているのかまったく明らかになっていません。
アメリカで、執行にジャーナリストが立ち会うことができるのとは大きな違いがあります。
市民に情報も与えず、凄惨な事件の結果だけが報道されれば、感情的に死刑を支持したくなるのは自然な感情なのかもしれません。
しかし、死刑のことを本当にちゃんと考えるなら、正しい情報を明らかにした上で、刑罰としての死刑制度がどうなのか? 刑罰のあり方、犯罪に対する社会の向き合い方を根本から考える社会的議論がなされなければなりません。
正しい情報のないまま、感情的に判決がなされてしまう。
発達障害の被告人に対して求刑を超える判決を下した大阪地裁の裁判員裁判も同じです。
危険な人だから隔離するという大阪地裁判決の発想の延長線上に死刑がでてきます。
私たちの社会が犯罪とどう向き合うのか、死刑が本当に必要なのか、
真剣に、冷静に考えなければなりません。
京都の弁護士有志で、「京都から死刑制度の廃止をめざす弁護士の会」を結成しています。そちらでも、死刑廃止に向けて活動していきます。