異議あり!!
検察官の尋問に、弁護人が叫びながら勢いよく立ち上がり、
検察官と弁護人が丁々発止にやり合う。
法廷ドラマの見せ場のひとつですね。
何度かテレビ番組の法廷場面のシナリオ作成に関わりましたが、テレビ局側からは必ず、「異議あり!!」という場面を入れたいとリクエストがあります。
実際の法廷でも、検察官の尋問が誤導や威嚇的、議論になったりしたときには、弁護人から異議を出す場合があります。
でも、「異議」をテレビのように威勢よくやっているようでは、まだまだ、一流の弁護人とは言えないようです。
異議は検察官が違法、不相当な行為を正すものですが、裁判官、裁判員からすると、
検察官が一生懸命やっているのにいちゃもんつけてる、邪魔してる
何か都合が悪いことを言われそうになったから隠そうとしている
と思われかねません。
裁判官が異議を認めてくれればいいですが、異議が棄却されてしまったときには
目も当てられません。弁護人に対する評価は急落します。
だから、一流の弁護人は、
本当に重要な部分で、絶対に必要な時、必ず認められる時だけにしか異議を出しません。
そして、とても大切なことは、その異議の出し方です。
遠慮がちに、仕方なさそうに、穏やかな口調 で出さないといけません。
「本当は異議なんて言いたくないんだけど、あんまり酷いから言わないと仕方がない....」
そういう雰囲気を全身で醸し出しながら、「裁判長、異議があります。」と冷静に言うのです。
普段の生活でも、声高に文句を言ってくるような人には、反発するばかりで
ちゃんと対応しようと思いませんよね。
逆に、冷静に、「申し訳ないけど、仕方なく言ってるんです。」という態度でこられたら、何とか対応してあげないといけないと思います。
自分の意見を聞き入れてもらいたいと思ったら、
「いろんなことはまあ目をつぶった上で、最低限のお願いをしているんですよ。」
という雰囲気で話してみたらどうでしょうか。