月曜日 朝ご飯は、ごはんとみそ汁でした。
火曜日 朝ご飯は、ごはんとみそ汁でした。
水曜日 朝ご飯は、ごはんとみそ汁でした。
木曜日 朝ご飯は、ごはんとみそ汁でした。
金曜日 朝ご飯は、ごはんとみそ汁でした。
土曜日 朝ご飯は、ごはんとみそ汁でした。
ここで問題です。
では、日曜日の朝ご飯は、何を食べたでしょうか?
どうですか。
朝ご飯は「ごはんとみそ汁」が習慣だから、日曜日も「ごはんとみそ汁」だったといえるでしょうか?
確かに、そういう人もいるかもしれません。
でも、「ごはんとみそ汁」が6日も続いたから、日曜日はパンにしたかもしれません。
土曜日に食べ過ぎたからと、フルーツとヨーグルトにしたかもしれません。
日曜日だから朝寝坊をして、朝ご飯は抜きだったかもしれません。
月~土までの朝ご飯に何を食べたかがわかっても、日曜日の朝ご飯はわからないのです。
こういうことを言って??、有罪とした原審を破棄した最高裁判決が出ました。
事件は 現住建造物等放火
窃盗に入ったアパートで期待したような盗む物がなかったことに腹を立てて放火したとされた事案です。
被告人には、盗みに入ったけれども欲しい物が得られなかった鬱憤を晴らすために放火したという前科が11犯もあり、その前科を証拠として、今回の事件も被告人がやったと認定していいのかということが争点となっていました。
この争点について、最高裁は
「本件前科証拠を本件放火の犯人が被告人であることの立証に用いることは、帰するところ、前刑放火の事実から被告人に対して放火を行う犯罪性向があるという人格的評価を加え、これをもとに被告人が本件放火に及んだという合理性に乏しい推論をすることに等しく、このような立証は許されない」
としました。 全文 「sc20120910081518.pdf」をダウンロード
毎朝「ごはんとみそ汁」しか食べていなかったからといって、この人は和食好き、パンは嫌いと勝手に決めつけて、今朝も「ごはんとみそ汁」を食べたと推測しちゃいけないということです。
私が弁護人をしている事件でも、検察官が、同種余罪や余罪を伺わせるような事実をたくさん立証して、被告人はそんな人間だから、今回の事件をやったことも間違いないという推論をさせようとしています。
今回の最高裁判決は、私のケースにも大きな影響を与えてくれそうです。