昨日、京都産業大学法科大学院で「刑事訴訟実務の基礎」の講義をしてきました。
テーマは、「起訴前弁護」
違法な取調べや調書へのサインを迫る警察官への対応、
勾留から1日も早く解放するための方策などについて講義してきました。
被疑者(警察に捕まって取り調べを受けている人)には、調書を作ったときは、
ちゃんと読み聞かせてもらってからでないと、サインを求めることはできません。
そして、被疑者は、どんな調書であってもサインする義務はありません。
では、弁護人はどんなアドバイスをするべきか?
「読み書かせてもらって、間違いがないかどうかをよく確認して、間違いがないと思ったら、サインしてください。間違っていると思ったら、絶対にサインしないでください。」
このアドバイスは正しいでしょうか?
言っていることは間違っていません。
しかし、このアドバイスを聞いた被疑者は、取調室で調書の内容をよく読んで、
自分でその内容が間違いないかどうかを判断して、サインするかどうかを
決めなければなりません。
被疑者が判断を間違えてサインしてしまうかも知れません。
被疑者にボールを投げてしまうようなアドバイスをしてはいけません。
こんなアドバイスをして不利な調書が作られてしまったら、それは弁護人の責任です。
アドバイスはシンプルで具体的であること、
例えば、
「調書には絶対にサインしないでください。」
「ペンを持たないでください。」
これなら、被疑者は何も考える必要はありません。
被疑者が間違った判断をしてしまうおそれはないのです。
人に何かをお願いしたり、指示したりするときは、
シンプルで、具体的であること
普段の生活や仕事でも同じです。