法廷では、ビジュアルを使うことが有効です。
たとえば、事件現場の状況について説明するときに、
長方形の月極駐車場で、車は20台くらい停められて、手前に小さな建物があって、その建物の向こう側に駐車場の入り口があって、駐車場と道路との間には細い川が流れています。駐車場の入り口を入ってすぐに右に行って、3台目くらいの駐車場のところで、被告人は立ち止まりました・・・・・
と、言葉で説明しても、なかなか伝わりません。
そこで、図面や写真を使って説明します。一目瞭然になります。
法廷で使うビジュアルには、図面や写真だけでなく、パワーポイントのスライドや配付資料、ホワイトボードやパネルなど、いろいろなものがあります。
弁護人自身のボディランゲージも立派なビジュアルツールです。
こうしたビジュアルツールを使うと、
裁判官・裁判員に興味をもってもらい、理解を促進し、そして、記憶に定着させるという効果があります。
さて、こうしたビジュアルツールを使うときに一つの鉄則があります。それは....
必ず、「見せてから話すこと!」
まず、ビジュアルを見せて、それから言葉を発するのです。
たとえば、指を使ったボディランゲージを考えてみましょう。
「一番大切なことは動機です。」という言葉を印象づけるために、人差し指を立てるとします。
どのタイミングで人差し指を見せれば効果的なのか?
① 「一番」といった後に指を出す
② 「一番」と言いながら指を出す
③ 指を出してから「一番」と言う
①はとても間抜けです。 ②は普通。
③は人差し指を出した瞬間に、聞き手は指に注目します。
そして、この後、何を言うのだろう?と期待が高まり、そこに言葉(答え)が示されます。
見せてから話せば、聞き手の心をわしづかみに出来るのです。
ただし、注意しないといけない場合があります。
見せるものが人差し指のようなわかりやすいビジュアルならいいのですが、グラフのような複雑なものを見せるときです。
いきなり見せてしまうと、聞き手はビックリして、混乱してしまいます。
そこで、複雑なものを見せるときは、まず、
「これからみなさんに一枚のグラフをご覧いただきます。そのグラフには、殺人罪の裁判で、どれくらいの刑罰が言い渡されているかが表されています。」と予告します。
そして、グラフ(ビジュアル)を見せてから、
「横軸には懲役刑の長さ、縦軸には判決の数が書かれています。懲役13年の判決が一番多いことがわかります。」と、内容を説明するのです。
こうすれば、聞き手は混乱することなく、興味を持って、話を聞いてくれます。
ただし、
あくまでも基本は、見せてから話すです。
愛の告白をするときも一緒!
両手を広げて、一呼吸あけて、「愛してるよ!」
劇的な告白になること間違いなしです。