今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・北八ッ、稲子岳

2008年07月22日 | 山登りの記録 2008
平成20年7月20日(日)
にゅう2,351.9m、稲子岳2,380m、中山2,496m、丸山2,329.6m

 19日に梅雨が明けた。平年並みということだが、梅雨入りしたのが随分早かったから長い梅雨だった。雨の量はさほどでもないが、雷雨が多かった様に感じる。先週山に登ったばかりだが、3連休でもあることだし、どこか山を歩いてきたい。

 ①涼しい森の中を歩きたい。②デジカメ(新調したデジイチ)で、少し写真を撮る事に集中したい。③登ったことが無い山に登りたい。という幾つかの欲求を満たす山、とくれば、もうお気楽な八ヶ岳方面しかない。八ッで未登もほとんどないが、まだ稲子岳があった。稲子岳は火口壁が目立つ独特の形をしているが、主稜線から離れて人もほとんど行かないところ。砂礫地にコマクサの移植をしているとかで、ちゃんとルートはあるらしいが、ガイドブック類には一切ルートの記載はない。稲子岳に登ってしまうと、八ッの未登も八柱山と立場岳と美濃戸中山に牛首山かな、わざわざ登る山でもないようだ。

 標高2,100mの麦草峠からなら、登りも少なくてラクチンだろう。一応、麦草峠→白駒池→にゅう→稲子岳→中山峠→中山→高見石→丸山→麦草峠の周回コースを考えた。4年前に子供と辿った逆コースだ。稲子岳のみプラスということ。

 土曜の夜に家を出た。碓氷峠回りでR144に入り、佐久穂からR299で麦草峠に上る。麦草峠の公営駐車場は半分くらい車が停まっている。もう既に山に入っている人が多いようだ。アラームを5時にしてシュラフに潜る。寒くも暑くもない丁度良い感じ。

 目が覚めると更に車が増えていた。駐車場は八割方一杯。支度をしている人は意外に少なく、5,6人程だった。パンを食べて支度をし、5時17分に駐車場を後にする。麦草峠まで車道沿いの歩道を歩く。麦草ヒュッテは人も少ないのか?ひっそりしていた。麦草峠の草原は朝日に輝いている。行く手の丸山方面は良く晴れているが、反対側の茶臼山方面は峠越えの雲がまとわりついて山頂を隠している。白駒池に向かう木道も乾いて歩きやすい。

 森に入り、遊歩道状の白駒池歩道と合流し、広い道を坦々と歩く。三脚を持ったカメラマニアらしいおじさん達が目に付く。5時50分白駒池着。小屋は朝ご飯の用意をしているところ。池は朝日に照らされて静まりかえっていた。でも、ハイカーはもう結構目に付く。カメラを構えたご年配が池の畔のあちこちに三脚を立てていた。ハイカーもご年配が多いし、カメラが趣味の人たちもご老人ばかりのようです…。

 6時8分、白駒池からにゅうに向かう。乳・にゅう・ニュウ・ニュー・にう等、どれがほんとなんでしょうか?刈り稲を円錐形に高く積み上げたものを「にお」と言うが、それが訛って「にう」または「にゅう」と呼ばれる、というのがこのピークの名前の由来らしい。遠くから見た形が円錐形の「にお」に見えるからというのが定説だ。だとしたら、「乳」とか「ニュー」とかはどうなのかな。とにかく、いくつもある看板や指道標類は様々な呼称で統一がない。国土地理院の地図ではニュウとカタカナ表記になっている。

 コメツガの森の中はしっとりとしている。樹脂の臭いが心地良い。少し登ると白駒湿原と書かれた小さな湿原に出た。ワタスゲの白い花が点々と緑のカーペットに柄を作っている。小湿原からは木の根が露出した道になってしばらく登り、にゅうの基部に出た。左に岩場を少しでにゅうの頂上、6時59分着。

 にゅうには誰も居なかった。このピークに立つのは3度目だが、今日が一番良い天気。東側は例によって雲がすっぽり覆っていて雲海になっているが、あとはすっきりと良く晴れている。硫黄岳と天狗岳も今日が一番良く見えていた。間に入る稲子岳はこれから登るだけに気になる。ここから見ると樹林に覆われた小山といったところ。白駒池が樹海の中に小さく眼下に見え、なだらかな中山や丸山に続いて、遠く茶臼山と縞枯山・北横岳が重なり、その上に蓼科山が丸い頭を出していた。広闊な展望を楽しむ。デジカメで何枚も写真を撮った。寒くはないが、結構ここは風が強い。

 7時32分。3人のハイカーがやって来たのと入れ替わりににゅうを下り、中山方面に進む。稲子岳に向かうルートの入口は、にゅうから下って中山に向かう直ぐの所にあるらしい。しかし、入口が分からず、しばらく先に進んでしまった。引き返して、地図でにゅうの尾根と稲子岳の鞍部付近を実際と照らし合わせながら戻る。登山道から少し上の、稲子岳方面に眺めがある樹林の切れ目に立つと、そこにケルンがあって、赤テープを見つけた。

 シラビソがびっしりと密に茂った樹林を鞍部に向かって下っていく。入り口こそ踏跡も分かりづらかったが、少し下るとはっきりした道になった。赤テープもあり、登山道と変わらず問題ない程度。一度下りきってから緩い登りになり、後は割合平坦な樹林の中を、大岩を縫って蛇行するように進む。人が来ないと思ってのんびりしていた?ホシガラスが、直ぐ側であわてて大声を出して飛んでいった。大きな岩が積み重なった上に樹林がある、八ヶ岳では良く見る光景だ。岩と岩の隙間には穴があって、どこでもビバークできそうな雰囲気。そんな樹林の中を歩いていたら、意外にもここで人とすれ違った。

 稜線どおしに上下するようになると、東側の絶壁の縁に出た。稲子岳の真の山頂(最高点)は通過してきた手前の樹林の高まりの様だが、眺めが良い火山性の露岩と砂礫が広がるここが山頂ということらしい。8時29分稲子岳着。展望台にちょうど良い岩が突き出し、東側は相変わらず雲海だったが、硫黄岳と天狗岳があまり見慣れない視点で大きく見える。

 足元にはヨツバシオガマ(クチバシシオガマ)やクモマニガナ・イワツメクサやコメツツジが咲いていた。ヨツバシオガマはなかなか美麗な高山植物で、見栄えがしてよろしい。ということで、雲の変化する様子や、花や、硫黄岳と天狗岳の景色など、一杯写真を撮ってまったりと山を満喫するのだった。今回はこれが主目的だから。少し陽射しが暑いですが…。

 9時35分に稲子岳山頂?から中山峠に向かう。実はこのルートがどのように中山峠に向かっているのか良くわからないが、取りあえず先に進んだ。樹林をからんで行くが、2,3回砂礫の眺めがある場所を過ぎてからやや下りになった。そこからはいわゆる稲子岳の火口壁沿いに砂礫の斜面が大きく広がる。ルートの崖側には緑のロープが張られ、砂礫地に入らないようにしてある。砂礫地にはヨツバシオガマの他、イワオオギが沢山見え、コマクサも点々と見られた。このコマクサは移植して保護している様だ。それがためか?この稲子岳は登山道自体が余り宣伝されず、ひっそりと主稜線から外れて静けさを保っているようだ。八ヶ岳でも穴場なのかな?

 その砂礫地で3人のハイカーとすれ違う。やはり、知られていなくても好きな人はこうやって来るようだ。ここから見上げる中山の岩壁はやはり火口壁なのだろう、なかなか見事な眺め。どうも、この稲子岳と中山峠から天狗岳・硫黄岳にかけての東側は八ヶ岳でも大きな火口があったようで、幾重にも火口壁の名残が見られる。稲子岳と中山の間はまさしく火口原そのものだ。今辿っているこのルートも、そこに降りていくモノだとばかり思っていたのだが、実際には稲子の湯から中山峠への登山道の上部にこの道は合流していた。

 砂礫地から急な下りを下ってシラビソの森になり、ややトラヴァースするように中山峠の道に出た。一般登山道と合流するところには緑のロープが張られて入れないようにしてあった。当然一般登山者が間違って入り込まないようにと言うことだろうが、登山禁止になっているわけでもないのに、ただ閉鎖してある様なやり方は?何となく不純な意図も感じる。

 合流地点から中山峠までは標高差で150㍍くらい。中山峠側から稲子岳に登ろうとすれば、峠から随分下って、そのロープで閉鎖された所から入ることになる。ということなので、中山峠まできつい登りを少し頑張って10時28分中山峠着。主稜線に出たので、行き交う登山者も多い。天狗岳が近く、登っている人が良く見える。黒百合平でキャンプしている子供連れだろうか?黒百合平からすり鉢池を経由して天狗岳までの道の途中にある岩の上で、子供がずっとヤッホーを繰り返している。

 中山に向かって縦走路を辿る途中から、黒々した岩壁の稲子岳が見下ろせる。樹海の中に角を出したにゅうも見える。にゅう分岐から一登りで11時01分に中山山頂着。ここは樹林の中で何もないところ、中山山頂の標柱が立つだけ。先に少し進むと広々とした平坦地で、矮化した風衝木がごろごろした石の間をびっしり埋めている、庭園のような中山展望台にでる。4年前に子供と登った時に随分ここでのんびりしたっけな。そこには今、ご年配の団体が休憩中だった。他にも沢山休んでいる人がいたが、ここはそんなことも気にならないくらい広くて気持ちの良い場所だ。残念ながら、正面に見えるはずの御嶽山や中央アルプス・北アルプスの大展望は雲に隠れて見えない。北に連なるなだらかな山並みの上に蓼科山だけ目立っていた。こちらから見る丸山の南斜面は縞枯れ現象が顕著で、縞枯山より一層その名がふさわしそうだ。

 中山展望台でまたのんびりタイム。湯を沸かしカップ蕎麦を食べた。少し眠くなったので、平らな石の上に横になってうとうとした。11時49分に中山展望台を後にする。再び樹林の道になる。滑り易い石が露出した長い下りを下りきると高見石に出た。小屋も小屋の前にも、その上の高見石の展望台にも沢山人がいた。白駒池からそのまま登ってきた観光客らしい人もかなりいる。高見石12時半着。雲が増えたので、展望はもう余り良くなくなったが、すぐそこの中山や樹海の中にぽっかり開いた白駒池は見えていた。前に来たときに感じた瀟洒な高見石小屋だが、今日は人でごった返していたので余り良い印象ではなかった。しばらく高見石の岩の上で休んで12時50分に高見石を後に丸山に向かう。樹林を一登りで丸山頂上。ここにも沢山人がいた。丸山はそのまま下って麦草峠に降りた。

 麦草ヒュッテは朝と違って車が沢山停まり、ハイカーではなく観光客が沢山いた。素通りして13時55分に麦草峠の公営駐車場に戻った。R299を行き交う車も多い。駐車場は一杯で、道路の空きスペースにも車が停まっていた。3連休で、夏休みにも入っているから、どこも観光客で一杯なのだった。登りも下りも大したことは無い今日の軽いハイキングだったが、それでも結構疲れたのは身体がナマッテいるせいか?

 帰りは松原湖方面に下り、昨年できた「八峰の湯(ヤッホーのゆ)」という日帰り温泉に寄って汗を流した。ここも人で一杯で、変わりばえのしない日帰り温泉は特に印象も無し。稲子の湯の方が良かったかな、と思う。

 帰りの道路は、しかし特に渋滞もなく走れた。時間が早かったせいだろうか。
稲子岳は知られてない分、人が少ないが、ここくらいは混雑した八ヶ岳にあってそのままであって欲しいと思うのだ。

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2 コメント

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稲子 (重鎮)
2008-07-23 22:36:27
どうも長期の休みがとれない、真面目なサラリーマンは遠出は出来ませんね。

稲子岳いいですね。
静かな八ヶ岳を満喫されましたね。
そう言えば、稲子岳のコマクサはどうなったのでしょうか?
昔はかなりあったように思います。
私は、稲子岳から白駒の池に向かう途中に浮き石に乗って、転落したことがあります。
まあ、擦り傷だけで済みましたし、同僚の女性に介抱してもらったのが今でも忘れられません。

ところで、このブログを見ると、デジイチが欲しくなります。
カチッとしたピントと透明感ある画像は魅力的です。
細かなデティールはコンデジではかないません。

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大縦走も夢ですね (あさぎまだら)
2008-07-23 23:57:16
確かに長い休みを取って、大縦走なんかしたくなります。
1週間くらいアルプスを気ままに歩きたい…。
でも、ソウも行きません。家庭もあるし、一人だけ好き勝手に遊びにいってる訳にもいかない。仕事をそんなに長いこと休めないだけじゃなくて、家庭人?としての務めもありますからね。

稲子岳のコマクサは、ぽちぽちですね。
根石岳付近の方が多いと思います。

デジイチは確かに表現力で違いはあると思いますが、
リコーのR6の画像とパソコンの画面上では大差無いですよ。重さや機動性とのバランスですかね、歩くことに重点を置いている山行の場合は邪魔かも知れません。
作品を作るという事を考慮すれば、当然価値はあると思います。
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