亡父は、高校野球が好きで好きでしかたがない人だった。その結果、ワシみたいな人間が育ったのだが。それこそ、夏は高校野球と畑仕事だけで生きていた。
朝からクーラーをガンガンにかけて夕方まで全部見る。試合と試合の合間に畑に出るが、ラジオは決して手離さない。
昼飯を食うとまた高校野球。昼寝しながら見るのだが、気がつくと寝ている。昼はワシも父親と一緒に高校野球を見るのだが、いつの間にか一緒に寝落ちている。
ワシが夏こんな高校野球生活を父とつき合ったのは、せいぜい中学校までだが、父はそののちも死ぬまで、(春も)夏もこういう生活を続けた。幸せな人である。