・・・とお寺の冊子に書いてあった。葬式だけことさらに永訣を哀しむのは滑稽だそうだ。人生は常に一期一会なのだ。
予備校時代の友人の松本君とは、「じゃあ」といって御茶ノ水駅で別れ、再会する見込みがない。何で連絡先を聞かなかったのだろう。
「行ってくる」と言って出かけて、家族が帰ってこなかったことはこの世にいくらでもある。それが日常なのだ。家族が交通事故に会うことをコントロールするのは難しい。
大事なのは、次に会う手だてを忘れないことではなく、今会っていることを大切にすることなのだ。もう会えないと思って遇すること。たとえ家族であっても。禅の考え方なのだ。