みなさまこんばんは、石井映治郎です。
久しぶりのblog更新です。
みなさま、師走に向けて、忙しい毎日をお過ごしのことと思います。
レッスンに足をお運びくださり、また様々なところで応援を賜り、
心から御礼申し上げます。ありがとうございます。
先ほどレッスンが終わりまして、寄り道をしております。
マルゲリータを平らげて、
CORONAはレッスン後の水の代わり(笑)
お店のお奨めのToday s beer は、サンフランシスコのアンカーハミングエール。
とてもフルーティな味わいです。
でも足りない!
こんな夜中にポテトフライを頼むという暴挙
(この意味、おわかり戴けますでしょうか!)に出てしまった、心は二十代の男。
あー…。
なんだか寂しくなって来ました(笑)。
自分の酒の好みはもう決まっているし、
さりとてありきたりに甘んじる事には抵抗する三十代。
でも、新しい味を探求するにはやはり薀蓄を聞いてくれる仲間が必要。
という事で。
想い出のカクテルを頼みました。
シンガポールスリング。
初めてこのカクテルを
飲んだのは、今から十数年も昔。
シンガポールのラッフルズホテルのバー。
そこで産まれたのが、シンガポールスリングです。
ミーハーな僕は、記念になるから飲もー!と、
躊躇する友人を巻き込み
(一杯千五百円以上したと思います、グラスのお土産ありだともっと…?!)
早速オーダーしました。
その時の第一印象は…
あ、甘い…(・・;)
あまり馴染めなかったのです。
そしてそれっきり、シンガポールスリングとは疎遠でした。
今夜はそんなことを思い出しながら、シンガポールスリングをオーダーしました。
別に意味はありません。
僕のおぼろげな記憶に、身を任せただけです。
今夜はちょっと、疲れていまして、
何となく、想い出とかに、漂いたかったのです。
ラッフルズホテルのバーは、かのヘミングウェイが長期滞在したホテル。
そして、シンガポールスリングが産まれた場所。
薄暗いバーの天井には、ゆっくりと動く沢山の扇子がぶら下がっています。
多様な人種が入り乱れるそこの空気感は、まさにアジアのスクランブルの様。
Singapore Sling
ドライジンに甘さと酸味を加えて。
喧騒と混沌の中にある、アジア特有の気だるさと熱。
そこに白亜のコロニアル建築が美しいラッフルズホテルの伝統と格式が加われば、
そのスクランブルで産まれるのは、まさに完璧なカクテル。
当時の僕はそんな事を知る由も無く(笑)。
さて、お通しで出るのが、落花生です。
床下は、落花生の殻だらけ。
そうです、殻は足元に落とすのがマナー。というかルール。
だから足元は落花生の殻の絨毯の様!
歩けばパリパリ。
音がする。
そのカルチャーショックたるや。
その時の僕は、山田詠美の小説の世界に入り込んだ高校生の様だった事でしょう(笑)。
そんなことで、その夜の出来事は、僕にとって忘れられない想い出の一つです。
その時には気がつかないけれど、
後に心に蘇る記憶。
今の一瞬が、いつの日にか心任せる枕の如く、その価値までに昇華するのか否か。
自分自身では、わかるはずもありません。
だからこそ、「そうなるかもしれない」この日々一日を、
懸命に生きることが大事なのでしょうね。
その恩恵に預かるのは、他でもない自分自身なのですから。
今日をいつの日にか、思い出せるのか。
それは憂いを湛えた甘酸っぱいカクテルか。
はたまた、ほろ苦い若気の擦り傷か。
シンガポールスリングを飲みながら、ボーッと考えております。
でも、あの日のあの夜。
僕にとってのあの時間。
今の自分にとって、きっとなくてはならない夜だったに違いなく。
だからきっと、思い出しているのだ。
あの夜がなければ、
きっと今夜も、ありきたりのただの夜。
…そんなことを考えているうちに、
いつの間にか、スリングも飲み干し、ポテトフライも平らげてしまっておりました。
というわけで、ジントニックを飲んで帰ります。
そういや、このジントニックも、
二十代にはまったカクテルでしたな♪
マレーシアのサンウェイラグーン。
ジントニックを飲みながら、バーのライブで女性が歌っていた曲は、
僕の大好きなリアン・ライムス
の名曲
「
この曲が主題歌の映画を観たのも、そういえばシンガポールでした。
アイリッシュタップのリバーダンスを観たのも
満月の夜のシンガポール。
カクテル一つで湧き上がる、様々な記憶。
そのどれもが愛しく、甘酸っぱい思い出です。
泣きたいこともあったけれど、やっぱり楽しかったと思えるあの頃。
お酒の味がわかるようになって、ようやく感じるこの思い。
やはり、日々を重ねなければ解らないことって、沢山あるのですね。
僕のあの頃、あの日々。
みなさまにとっての、あの頃、あの日々。
「懐古趣味」なんて片つけずに。
たまには思い出して、独りもの思いに耽るのも良いかもしれませんね。
それは「大人」にしか出来ない、素敵な時間の過ごし方かもしれません。
僕が大人か、はおいといて(笑)。
石井映治郎でした。