登記もろもろ覚え書

司法書士の覚え書き

オンライン申請の取り下げ

2012-04-24 | Weblog

抹消登記のオンライン申請を取り下げることになってしまいました。


抵当権者(保証会社)の代表者が4月1日付けで変更されているにもかかわらず
4月2日発行の抹消書類の名義が旧代表者になっているということです。

オンライン申請では登記原因証明情報の差し替えがきかないので
申請は必然的に取り下げることになります。
オンライン申請の決定的なウイークポイントです。

登録免許税は、電子納付の場合は還付手続きになりますが、
印紙で納付している場合は、再使用を請求することができます。


1 取下手続き

オンラインによる取り下げになります。


2 再使用証明手続き

書面による手続きになります。
従来と同じ様式の書式のようです。


3 注意事項

オンラインによる申請の取下と
書面による登録免許税の再使用の請求は
同時(同一日付)にやってほしいとのことでした。





※ ※

代表者が変更した場合は
退任した代表者名義の委任状等の書類は廃棄すべきところですが
新任の登記が未了ということもあって
過って出してしまったのでしょう。

この空白の期間が一番難しい。
登記所は提出された書面を形式的に審査するわけですが
他の事情により真実を知った場合には
真実を優先すべきであるというのは正しい考え方だと思います。

ただそうなると
資格証明書を出せないこの時期は
登記申請はできない、ということになってしまいます。

…この辺について何らかの先例か質疑応答みたいなものがあったような…

また、司法書士は、有効期限内の代表者事項証明書を信用するのでは足りず
委任時、あるいは解除時の代表権の存在を調べなければならないことになります。

売買や抵当権設定などの義務者に関してはそうすべきだ
というのは今後の教訓とするとしても、
銀行や関連保証会社の場合はどうなんでしょうか。











(追記)

取り下げしてから考えた。
ところでこの委任状や解除証書は本当に無効なのか?


代表権の消滅は善意の第三者に対抗できない(民112条前段)。

株式会社の代表取締役の退任及び代表権喪失の登記については
もっぱら商法第12条(現9条)のみが適用され・・(最判昭49.3.22)

..登記すべき事項は、登記の後でなければ、…善意の第三者に対抗できない。
登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記を知らなかった
ときは、同様とする(商9Ⅰ)



抹消書類を受け取った時点では未だ登記はされていなかったわけで、
よしんば登記の先後を受付時を基準として考えたとしても
解除証書を受け取った抵当権設定者も
委任状を受け取った司法書士も
役員変更登記が未了の時点では、当然に登記を知ることができず
その他、通常は代表権の喪失を知る由もないのだから
裁判等を待つまでもなく書類は有効と考えて良いのではないか。

…と登記官に言ってみたらどうだろうか?




(再追記)

などと思いつつさらに考えた。
結局登記記録によりその事実を確認できるかどうかは
登記が完了して、調査が可能となっているかどうかによる。

ところが現在の登記記録は、いつ登記が完了したのかは
記載されないのである。
だから登記官としては、どの時点までが調査不能で
どの時点からが調査可能か、ということは判別できない。

こちらは、4月1日申請の登記が4月2日に完了するはずがない!
ということを
当然の前提として考えてしまったが、
理論的には可能なのである(実際はされていないだろうが)。
そうであれば4月2日に代表権の調査ができてしまう。

つまり登記所としては
何日までの解除証書を有効として、何日までの解除証書を無効とするか
形式的かつ画一的に判断できないから
結局登記記録に記載された日付(4月1日)を基準に判断せざるを得ない、
などということになりそうな気がする。








新社団法人・財団法人への移行は平成25年11月30日まで

2012-04-10 | Weblog
特例民法法人は、一般法人法施行の日から5年以内に
一般社団法人、一般財団法人への移行の認可または
公益社団法人、公益財団法人への移行の認定を受けなかった場合、
移行期間満了の日に解散したものとみなされる。
(整備法46条)

期間経過後は、
旧主務官庁が管轄登記所に、
解散登記を嘱託する。


一般法人法(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)の施行は
平成20年12月1日であるから
放置すると平成25年11月30日付で解散することになる。



整備法第44条(抜粋)
..公益目的事業..を行う特例社団法人又は特例財団法人は、
施行日から起算して五年を経過する日までの期間(..移行期間..)内に、
..行政庁の認定を受け、それぞれ..公益社団法人又は公益財団法人と
なることができる。

第45条(抜粋)
特例社団法人又は特例財団法人は、
移行期間内に、..行政庁の認可を受け、
それぞれ通常の一般社団法人又は一般財団法人となることができる。

第46条(抜粋)  
1 移行期間内に..認定又は..認可を受けなかった特例民法法人は、
移行期間の満了の日に解散したものとみなす。
ただし、..認定又は..認可の申請があった場合において、
移行期間の満了の日までに当該申請に対する処分がされないときは、
この限りでない。

2 前項項本文の場合には、..旧主務官庁..は、
前項本文の日後遅滞なく、
..解散したものとみなされた特例民法法人の
主たる事務所の所在地を管轄する登記所に
解散の登記を嘱託しなければならない。




みなし解散後の手続き

1 決議によって継続することはできない(64条、一般法人法150)
2 従前の例による清算手続き(65条)
3 解散後10年経過の後、登記官が任意に登記記録を閉鎖(商業登記規則81条)








一部地域の新築建物の課税標準価格認定基準の改訂について (訂正)

2012-04-03 | Weblog

平成24年4月1日より
一部地域の法務局管内において
新築建物の課税標準価格認定基準ならびに
経年減価補正率等が改訂されたようです。

東京法務局管内
横浜地方法務局管内
さいたま地方法務局管内
千葉地方法務局管内
水戸地方法務局管内
宇都宮地方法務局管内
前橋地方法務局管内
長野地方法務局管内
新潟地方法務局管内
静岡地方法務局管内
甲府地方法務局管内

(その他不明)

大幅値上げです!

例えば木造・居宅の場合、1㎡あたりの課税標準価格は

東京法務局管内 (68000円→86000円)
横浜地方法務局管内 (69000円→87000円)
さいたま地方法務局管内(66000円→82000円)
千葉地方法務局管内 (67000円→81000円)
水戸地方法務局管内 (69000円→83000円)
宇都宮地方法務局管内 (68000円→85000円)
前橋地方法務局管内 (62000円→82000円)
長野地方法務局管内 (54000円→82000円)
新潟地方法務局管内 (52000円→82000円)

となる模様です。















相続登記における死亡者と登記名義人の同一性の証明

2012-03-27 | Weblog

相続により所有権登記の名義を変更するためには
大前提として、被相続人(死亡者)が登記名義人と同一でなければ成らず
登記申請にはそれを書面によって立証する必要が出てくる。



添付の被相続人の戸籍謄本の本籍と登記簿上住所が同一の時は立証不要。
   ↓
   
本籍と登記簿上住所が異なるときは、
死亡によって除かれた住民票の除票(最後の住所地)または
戸籍の附票の除票(最後の本籍地)を添付し、
その生前の住所と登記簿上の住所が同一であればOKである。
   ↓

もし、住民票の除票や戸籍の附票の除票に登記簿上住所の記載がなければ
通常の登記名義人住所変更登記よろしく
改製原や移転転籍前の住民票や戸籍の附票を添付する。


ところが、そうした住民票の除票や戸籍の附票の除票は
役所のほうの書類保存期間が意外に短い(5年)ため
添付不能、証明不能となることが少なくないのである。
   ↓

それらの書類により同一性が証明できない場合は、
登記済権利証(原本還付請求)を提出する。

※識別情報が発行されている場合は、書面申請の方法で
 識別情報を提出するのだろうか(封筒に入れて 云々)。
   ↓

さらに、登記済権利証を紛失していて提出できない場合などは、
相続人全員が上申書を提出するとか、
被相続人の登記簿上住所の不在住不在籍を添付するとか、
管轄法務局の登記官等と要相談ということになる。




セコムパスポート for G-ID 設定完了

2012-03-13 | Weblog
3月11日付で、識別番号およびPINコードを本人限定郵便にて受け取りました。
11月下旬くらいの申請です。



注意事項は、発送から30日以内に受領証を日司連に返送することと、
ダウンロード実施後1時間を経過すると再ダウンロードができなくなるということ。

受領証が30日以内に届かなければ、電子証明書は取り消されるが、
24日経過後に、日司連から催告が来るというという保険がある。

(受領書の封筒は普通郵便だから、届いてなかった・・なんてこともありうるしね)



いろいろと噂があるので
面倒なことのないように、とりあえず常用のパソコンではないものにダウンロードしました。
(windows7 32bit)
今までのはXPの古いものなので、これを機に切り替えようか。
結構気に入っていたんだけどなあ。


大体マニュアルどおりでスムーズに設定が完了しました。

1点だけPDF署名で、アクロバットの環境設定をするときに
証明ストア管理ツールを開いたときに
マニュアルと違うログイン画面がでて混乱しましたが
適当にパスワードを打ち込めば次へ進むことができます。


申請書を2、3作ってみて、電子署名もしてみましたが
別段おかしなところはないようです。





料金不足の郵便

2012-03-01 | Weblog
地方の市役所に、郵送で名称地番変更の証明書を請求したところ、
3日後に返送用封筒が事務所のポストに投函されたわけであるが、
「料金が10円足りません」というお知らせのハガキがついていた。

2名分の証明書2枚の重さで計算していたところ、
住居表示の変更もあったらしくて、4枚になってしまったのだ。

不足分の切手を払うか、もしくは、受け取りを拒否するか?
を選択しろという。
こちらとしては、自分で返信用の切手を貼って請求しているのであるから
差出人に戻されてしまっては元も子もなく、
100%受け取りを拒否するはずはないのであるが、
それを知ってか知らでか、配達員はただポストに入れるだけで
料金を回収しないで帰ってしまったわけであり
今時珍しい信用商売だなあと思ってしまった。
実際、このような料金不足の切手代というのは回収できているのだろうか?
郵便物を受け取った後で、いちいち
10円を支払いに郵便局(ポストでも可)まで行くだろうか?

※私は、行った。


ところで、当事務所では
戸籍などの証明書を郵便で請求する場合、
枚数や重量がどのくらいになるか見当が付かないために
返信用封筒の切手を多めに貼っているのであるが、
上記のような取扱をしてくれるのであれば、
あとで不足分を払えばよいのであるから
あまり気を遣う必要がないことになる。

そこで少し調べてみたら、次のような感じらしいことがわかった。


1 差出人の住所地の管内の郵便局で料金不足が発覚

(1)差出人の住所氏名が分かる場合

→差出人に返送して、切手を貼って再び出してもらう(市役所に戻ってしまいアウト)

(2)差出人の住所氏名が分からない場合

→受取人に配達して、不足分を受取人に払ってもらう(こちらに配達されセーフ)


2 差出人の住所地の管内の郵便局以外で料金不足が発覚

→受取人に配達して、不足分を受取人に払ってもらう(こちらに配達されセーフ)




さらに!

不足分が100円未満の場合は、そのまま配達され(今回の場合)、
不足分が100円以上の場合あるいは、全く切手が貼っていない場合は
直接受取人に手渡しで配達され、受け取る場合は、
その場で現金又は切手で支払う(郵便局の信用は90円までということか・・)


【結論】
市役所が戸籍等を郵便で送る場合、
差出人が不明であるということはありえない。
したがって、切手不足がどこで発覚するかがポイントである。
いったい郵便局はどこで重量をチェックしているのだろうか?
普通に考えると最初に引き受けた郵便局だと思うのだが・・
いずれにしても、料金受取人払いという郵便サービスが有料で用意されている以上、
切手を全く貼らない場合や、明らかに切手不足の場合は、
差出地の郵便局が容赦なく発見して、差出人に送り返してしまうだろう。
というよりも、相手方市役所から切手が足りないと言って来るにちがいない。
多少の切手不足なら何とかなるかも・・というレベルか。







セコムパスポートfor G-ID 司法書士電子証明書

2012-02-21 | Weblog
巷ではちらほらと識別番号、PINコードが送られてきているようですが、
11月下旬にのんびりと申込み手続きをした当事務所には、何の音沙汰もありません。

確認してみたら、3月上旬の発送になるとのことでした。

登録免許税法第19条と租税特別措置法第84条の5

2011-12-19 | Weblog
登録免許税法第19条 
別表第1に掲げる登記又は登録につき
同表に掲げる税率を適用して計算した
金額が千円に満たない場合には、当該
登記又は登録に係る登録免許税の額は、
千円とする。

租税特別措置法第84条の5 (概略)
一定種類ののオンライン申請による登記の
登録免許税の額は、「当該登記につき登録
免許税法 その他登録免許税に関する法令
の規定(この項の規定を除く。)により計算
した金額」から当該金額に100分の10を乗じて
算出した金額を控除した額とする。




よって、適用の順番は
(1)登録免許税法19→(2)租税特別措置法84の5である。


例えば
課税価格が50万円の道路持分の所有権移転の場合、
登録免許税は900円となる。

租税特別措置法第72条1項1号ロの適用
→500000×0.013=650円

登録免許税法19条の適用
→1000円

租税特別措置法第84条の5の適用
→1000×10/100=100
→1000-100=900円



ちなみに、租税特別措置法第84条の5の規定は、
所定のオンライン申請には当然に適用されるため、
(任意に軽減を受けることができるわけではない)
従って、控除忘れは還付の対象となる。







登記原因証明情報として送信するPDFファイル

2011-12-12 | Weblog
【PDFファイルとして送信する添付情報】


1 所有権保存登記

・なし

2 登記名義人表示変更登記の場合

・なし
(住民票、戸籍謄本等は不要)


3 法定相続による所有権移転登記の場合

・相続関係説明図のみ
(戸籍、住民除票などは不要)

4 遺産分割協議による所有権移転登記の場合

・相続関係説明図
・遺産分割協議書
(協議書添付の印鑑証明書は不要)


5 相続放棄、特別受益等のある相続による移転登記の場合

・相続関係説明図
・相続放棄申述受理証明書または
・特別受益証明書等
(証明書添付の印鑑証明書は不要)


6 合併等による所有権の移転登記の場合

・登記事項証明書


7 合併等による(根)抵当権の移転登記の場合

・登記事項証明書


8 (根)抵当権の債務者の氏名住所の変更登記の場合

・なし
(実体的な権利変動がないから)


9 その他

・許可書、同意書、承諾書等は、登記原因証明情報に含まれない
→PDFファイルを送信する必要なし→?




弁済後も放置していた抵当権の抹消

2011-10-27 | Weblog
抵当権は、債務の消滅と同時に消滅する(附従性)

債務を完済すると抵当権の登記も効力を失う

しかし、抹消登記を申請しないと、登記の記録は消えない

担保付きという外観が残っているので、売却や新規借入が困難

遅かれ早かれ、抵当権の登記は抹消しないわけにはいかない



完済後、抹消登記を放置してしまった場合(銀行等、金融機関の場合)


1 金融機関から渡された書類がない場合

金融機関に相談して、必要書類を再発行してもらうしかない。



2 金融機関から渡された書類が残っている場合

・設定契約書(=抵当権の登記済証)
・解除証書、弁済証書等
・金融機関の委任状
・委任状に押印された代表者の資格証明書


問題になるのは、委任状に押印している代表者である。

1)当該代表者に現在も代表権限がある場合

→現在の資格証明書(代表者事項証明書等)を添付すればよい。


2)当該代表者の代表権限が既に消滅している場合

現在の代表者による委任状等を再交付してもらえば問題ないが、
古い書類を使って抹消登記をすることもできる。



→当該代表者が代表権を有していた時期及び代表権限が消滅していることを
退任の記載のある閉鎖登記簿謄本、履歴事項証明書等で証明する必要がある。
この証明書は、作成後3ヶ月を経過しているものでもよい。


※なお、登記義務者として申請書に記載するのは、現在の代表者であり、
よって、現在の代表者事項証明書等も添付するようである。



(参考)

登記申請の代理権が消滅していない場合の
申請書の添付書類について
(平成6年1月14日法務省民三第366号通知)

※委任による登記申請の代理人の権限は、
本人の死亡、本人たる法人の合併による消滅、
本人たる受託者の信託の任務の終了又は
法定代理人の死亡若しくは代理権の変更又は
消滅によっても消滅しない(不登17)