地震から一週間が、何も手に付かずにつかの間に過ぎ去った。
虚無感というのだろうか、未曾有の災害に見舞われ、沿岸各地の被災者の状況は察するにあまりあった。
また、来る日も来る日も原発の様子が心配で、憂いは募り何とか早くに収束をと祈り続けていた。
彼岸の入り、なのに朝晩の冷え込みは強く、裏庭の残雪もまだまだひどい。
庭先の雪をシャベルで丁寧によけると、幾重にも重なる濡れ落ち葉を突き破って、黄色いスイセンの芽が見えた。
春の陽になんとまばゆいことか。

夕方から雨が降り始めたが、穏やかな日中は、ヒヨドリが大好物のリンゴをおいしそうに啄んでいた。

桐の木の枯れた実の上を白い雲が流れていく。正にゆく河の流れのごとく、雲の流れも絶えずしてしかももとの雲にあらずであった。
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
この世の移ろいをぼんやり思った。