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エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

趣味の焼き物

2008-09-21 | 文芸

 物置の焼き物を整理した。もう20年も前、楽しく陶芸に熱中していたころの作品に久しぶりに再会した。何枚かは食器棚に置いてよく使っていたが、かなりの数は眠っていた。
我が家では、浜田庄司風の益子焼きの湯飲みや織部焼のぐい呑みと共に、会津本郷の宗像焼の角皿、酔月焼の醤油射しなどを毎日使っている。いずれも旅行の折りに求めてきたものだ。

益子の浜田庄司参考館を訪ね、バーナードリーチ、、河井寛次郎等の名を知ってから、さらに陶磁器に関心が高まった。生活の中の美を追求した寛次郎の全てを知りたいと思い京都五条に二度、河井寛次郎記念館を訪ねた。それから大分遅れて民芸運動の創始者である柳宗悦の日本民芸館を訪ねたのは数年前、また、近くは本郷の特色ある各窯元を訪ね、技術やそれを越える感性を探しながら、やきもの楽しさを味わうことができた。
 とかく工芸作品として芸術領域での鑑賞が浮かぶが、実は焼き物こそ民芸運動の言うとおり、「使用しての価値が言われるべきもの」と思っている。雑器という表現があるが、用の美というものが焼き物本来の価値であると思う。柳宗悦は「美は用の現れ。用と美と結ばれるものが工芸」と述べ、雑器に虚心が生み出す美しさを見いだした。
そんな風に焼き物の鑑賞を楽しんでいたが、実際に創作することは難しかった。いろいろ学び、工夫して焼き物を作ったが、ろくろだけは習得出来なかった。ろくろはからりの経験がいるから、もっぱら作ったのは、手びねりの茶碗やぐい呑み、向付など、磐梯山の絵を板に彫った絵皿などだった。文鎮替わりの置物、箸置き、箱物などを楽しく作った。
 床の間には今も大皿の呉須で色つけした絵皿を飾ってあるが、機械ろくろで何とか作った大作である。

 もっぱら食文化との関連で陶磁器を眺めてきた。自作の磐梯の絵皿は、刺身を盛る時に使っている。いつも、ご馳走をよけながら、絵皿の風景を眺めながらの食卓は、自己満足の豊かさだった。自分の趣味で自作した食器を使い、祖先が営々と作った地方の料理を食べることの贅沢さをいつも考えている。


 【楽しく作った作品】