澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

私立医大裏口入学に見る「既得権益」の構造

2018年10月30日 08時42分53秒 | 社会

 この夏、文科省前科学技術・学術政策局長・佐野太が職務権限を悪用して息子(成蹊高校卒)を東京医大に裏口入学させていたことがわかり、一時的に大騒ぎになった。そのときの代表的な報道は次のようなものだった。

【文科省局長逮捕】東京医大、局長への便宜依頼は理事長 学長も入試不正に関与

 

 文部科学省の大学支援事業をめぐり、東京医科大学(東京都新宿区)に便宜を図る見返りに、受験した息子を合格させてもらったとして受託収賄容疑で前科学技術・学術政策局長、佐野太(ふとし)容疑者(58)が逮捕された事件で、佐野容疑者に便宜を依頼したのは同大の臼井正彦理事長(77)だったことが5日、関係者への取材で分かった。鈴木衛学長(69)も関与したといい、2人はいずれも東京地検特捜部の調べに容疑を認めているという。特捜部は捜査に協力していることや高齢などを考慮し在宅で調べている。

 関係者によると、臼井理事長は昨年5月、東京医科大を私立大学支援事業の対象とするよう当時、官房長だった佐野容疑者に依頼したという。謝礼として、今年2月に入試を受験した佐野容疑者の息子の点数を加算し、不正に合格させた疑いがあるという。

 点数加算などの不正行為には、鈴木学長ら複数の幹部が関与していたという。特捜部は今後、同大での入試の経緯や文科省の支援事業の選定過程について実態解明を進める。

 今年2月の同大医学科の一般入試では3535人が受験し214人が合格。倍率は16・5倍だった。

 問題の支援事業は「私立大学研究ブランディング事業」。大学の看板となる研究の推進に必要な費用を国が助成し、施設の新築や機器の購入などに充てられるもので、東京医科大は、がんや生活習慣病の早期発見を推進するとの計画書を提出した。同事業には全体で188校が申請。同じ申請区分の65校のなかから、昨年11月に27校が選ばれた。事業期間は5年間で最大約1億5千万円が助成され、東京医科大は1年分の助成金として3500万円の交付を受けている。


 だが、夏も終わりに近づくころ、マスメディアの報道は、この不正入試問題を突然、私立医大入試における「男女差別」の問題にすり替えていく。直近の報道は「東京医科大に成績開示、受験料返還を請求 女性24人」などとという、極めて矮小化されたニュースばかりになっている。


東京医科大に成績開示、受験料返還を請求 女性24人
 

東京医科大の担当者(右)に通知書を渡す弁護団共同代表の打越さく良弁護士(29日午後、東京都新宿区)=共同
東京医科大の担当者(右)に通知書を渡す弁護団共同代表の打越さく良弁護士(29日午後、東京都新宿区)=共同

請求したのは各年度の1次、2次試験の合格最低点と、各元受験生の得点、得点操作がなかった場合の合否。受験料と、女子への不利な扱いを隠して受験させたとして1年分の受験につき1人10万円の慰謝料、地方からの受験生には交通費、宿泊費も求めた。24人分の受験料と慰謝料で769万円となる。

弁護団は11月23日、元受験生らを対象に説明会を開く予定で、請求者が増える可能性もあるとしている。

東京医大が23日に公表した第三者委員会の第1次調査報告書は、女子や長期浪人生の得点操作により、17、18両年度で延べ69人の男女が合格ラインを上回っていたのに不合格になっていたと指摘。このうち女子は55人。

東京医大は18年度に不合格になった50人の19年4月の入学を認める方向で検討しており、11月上旬に対応を公表するとしている。

 こうした報道の変化を東京医大は大歓迎していることだろう。というのも、東京医大、というよりもすべての私立医大にとって、最も触れられたくない問題は、自校出身の開業医の子弟を公然と不正入試で合格させているという実態、すなわち「裏口入学」だったから。女性が差別されている、浪人生が敬遠されているといった報道は、実は枝葉末節に過ぎない。何度かこのブログには書いたことだが、私の親族が十数年前、この東京医大を受験、一次試験をパスして、二次試験の面接試験(他に小論文があった)を受けたところ、面接官が開口一番に言ったことは「君はこの大学に知り合いがいるかね?」だったそうだ。親族に医師がいるわけではないので、釈然としないまま、「いません」と応えた。結果は、不合格。親族は国立大学の工学部、そして大学院に進んだ。
 年度は違うとはいえ、文科省局長のバカ息子は、この一次試験(学科試験)の合格点数にも満たなかったが、父親の”汚職”によって「合格」した。東京医大、そして他の私立医大が最も恐れるのは、開業医の子弟が、合格基準にも満たないにもかかわらず、「裏口入学」しているという事実が白日の下にさらされることだ。これまで、数々の噂はあったが、開業医の子弟が具体的な得点操作で「合格」していたという事実は検証されていない。「菊のタブー」「鶴のタブー」同様に、「入試の公正性」は絶対的な建前であるから、文科省当局もマスメディアもそれを突き崩すわけにはいかないのだ。

 私立医大の入試は、医師という特権・既得権益を子弟に「相続」させるために、巧妙に使われている。このことを何故、心ある人は指摘しないのか?「不正入試」問題が男女差別問題にすり替えられても、何も言わないメディア関係者、ジャーナリストなるものを、私は全く信用しない。

  


 



 


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