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【24】振り分け用コード

 かつては国家【114】、昨今ではブランド【114】、食するパン【27】、行動様式によって総括的に決定される。逆に言えばこのコードこそが行動様式や食するパン、ブランド、かつて所属した国家などを決定することになる。つまり遺伝的形質を決定する要因でもあるのだ。現在では分類不能な集団は存在しておらず、審美眼【57】によるコードの差し替えやタコ足配線も可能である。ただし米国【25】の分類に関しては、他とは異なり少々複雑な事情がある。なぜなら米国とは各個人に振り分けられる通底コードであるからだ。人類の類という字に米が含まれているのは由なきことではない。誰しも幾分かは米櫃なのである。週末の過ごし方ひとつをとっても、我々は米国人の週末思想から逃れられはしない。


リンク元【18】フランス人

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【23】活字・朝刊

 まだ何人の目も覚めやらぬ早暁、憑依文字とも呼ばれる活字たちが、まったくのだしぬけに玄関のチャイムを鳴らす。扉を開けると、夜色のインクがまだ乾ききっていない群服に身を包んだ活字たちが次々と押し入ってきて、 購読者【28】の周囲を巡りはじめる。ベッドで夢うつつの家族がいたら、優しく手を取って引きずり出しながら。まだ寝起きで朦朧としている購読者たちは、次々と前をよぎっていく活字たちのイソギンチャクのような手に操られるまま、最後の活字が片足を軸に回転してぴたりと立ち止まるその瞬間を待つしかない。これこそが朝刊である。記事の内容によって数分ですむこともあれば、丸一日かかっても終わらず夕刊に引き継ぐこともある。住人が事の重大さを理解するのは、たいてい活字が出て行った後、食事を始めてカップを持つ手が震えているのに気づいてからである。


リンク元【17】成長の早いヒヨコ

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【22】絶叫

 鶏が早朝の東南東(グリニッジ表記ではランカスター朝【20】)をご贔屓にしているのは、その時間帯にしか時を感知できないからで、絶叫してしまうのは時の過ぎゆく恐怖に耐えきれないからだ。彼らは人が一生をかけて経験する恐怖を毎朝味わっているのである。

リンク元【17】成長の早いヒヨコ

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【21】イースト金

 数少ない黄金虫の外殻から抽出される金属。東方【20】になると飛来して呪木の中にめり込んでいく。前世紀にはエルドラドと呼ばれる黄金狂どもによって乱獲されたものだが、現在ではフランスパンの価値とエジプト人のスカラベ信仰を守るために保護されている。


リンク元【15】フランスパン

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【20】東方・午前の区分

 一日は午前と午後【112】がそれぞれ、北、東、南、西という時間帯で区分されている。また午前には多くの表記があり混乱を極めている。グリニッジ表記だけでも夜明け頃から順に、ノルマン朝,プランタジネット朝、ランカスター朝、ヨーク朝、テューダー朝、ステュアート朝、ハノーヴァー朝、ウィンザー朝などが時間帯に応じて定められている。フランス革命後の仏教においては、朝の区分を行わないことが通例となっている。


リンク元【15】フランスパン

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【19】虫垂

 大腸の始まりにあるなんだかよく判らない器官として、長年その存在意義が見い出されないまま半ば忘却されていたが、大飢饉によって金属質の 昆虫【26】から栄養を摂取する必要が生じたことから初めて活用される運びとなり、腹部の大部分を占めるほど肥大化して大腸と呼ばれる金融器官になった。その一方で本来の大腸は退化して盲腸に落ちぶれた。消化された昆虫は大腸金となってお通じをよくしながら腸内を巡り、直腸でじっくり型取りされた後で排泄されると、大いに人々の歓喜を呼ぶこととなった。それは正に貴金属そのものであり、長らく渇望されてきたパンとして世界を照らすものであったからだ。飢饉が深刻化するとさまざまな種類のパン【27】(胃酸相続が行われるため、人種によって腸合金を鋳造できる昆虫は異なっている)が繰り返し食されるようになった。産業革命の際には、給斤として配給された多くの労働者が腹を痛めたものである。食糧事情の改善された現在では、ごく限られた貴族の他には排泄物を口にしなくなった(と人々は思いこんでいる)。時代の移り変わりは早い。パン屋でのみ売られるようになったパンは、キャベツの修道院【214】から配給されている神の恩恵である。

リンク元【15】フランスパン

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【18】フランス人

 区役所における 振り分け用コード【24】のひとつ。飢饉期以前からフランスパン【15】を消化器官に繰り返し通すことにより、永劫回帰からの解脱を試みてきたという。なかでも仏、仏さま、生き仏などとも呼ばれるフランス貴族【16】についつい頭を下げてしまう我々は皆、仏教徒【25】であるともいえよう。残念ながら解脱するために必要なフランスパンは限られた数しか存在していない。これでは選民主義ではないか、という批判の高まるなか、フランスパンだけがフランス料理ではありません、という前置きとともに始まる貴族の釈明に尾ひれ【80】がつき、悠然と泳ぎ出した回教魚が釈迦(地域によっては沙門)である。神聖なフランス料理を表す宇迦(食(ウケ)とも言う)のうち、仏談仏具に分類される釈迦は、八相の変化を遂げる出世魚でもある。最も脂ののった六相の説法釈迦は、小麦粉をまぶしてバター焼きにされ、釈迦ムニとして後宮レストランで食される。後宮レストランと縁のない平民の方々は、一般的なフランス人がなにかと交わす挨拶、娑婆を食されるとよい。煮付けにしても塩焼きにしても美味なる青魚である。乾燥させて大きく十字を刻印したものは、僧侶【10】たちが義足にはめる木靴(サボ)として使われる。

リンク元【15】フランスパン

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【17】成長の早いヒヨコ

 ほらほら早くいけ、イイコだから早くいけ、と養鶏場のマラコス氏に追い立てられているヒヨコは、表面張力によって薄く平らな円形を保っている黄色い生物である。ぺたんぺとんと地を跳ね回る愛らしさ【165】に恍惚とさせられるのも束の間、減数分裂をはじめたヒヨコはなめらかな膜面から白い羽根を生やし、絶叫【22】によって我々の眠りを覚まそうとするあの赤いとさかの鶏へと瞬く間に成長してしまうのだ。ヒヨコから鶏になるまでの名もない状態は、とても醜いために世間では無かったことにされている。世間とは活字【23】が隊列を組む新聞紙面のことである。

リンク元【14】白い殻

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【16】貴族

 家柄よく身分の高い、社会的特権を有する階級である。私的、公的に関わらず、どのような場所でどのような格好をしていても咎められはせず、人々を日々追い立てている職業や強迫的な清潔さや道徳的観念からも免れている。これほど特徴的な存在でありながら、位の高さゆえに大衆は見て見ぬ振りを強いられるのだが、ひとたび貴族と目を合わせてしまえば、その気づまりから頭を下げる【163】しかない。

リンク元【15】フランスパン【11】最初の顧客・ミラー氏

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【15】フランスパン

 特権階級のフランス人【18】しか食することのできない棒状の金塊。貴族の髪型をかたどっているので貴金属とも呼ばれている。虫垂【19】で鋳造されなおして排泄されるため、絶対数しか存在していないが、その数量には諸説あり、かつて一度だけ盗難にあった時には無に還ったともいう。だが犯人はフランス人ではなかったので盗んだフランスパンをかじることもできず、いや、かじろうと決断する前に他人の排泄物であるという事実を無視できず、惜しみながら売り払おうとしたのだが絶対数しか存在しないために身元が割れるのを恐れ、伸ばした頭髪をバケット状に編みこんで中に隠しほとぼりのさめるのを待っていたところ、あまりのほとぼりの熱さに髪の毛とフランスパンが溶け合ってしまい、いつまでもその状態から抜け出せないうちに自らを最初の貴族【16】として名の聞こえた黄金卿であると認めざるをえなくなった。早朝(ブルボン朝)に黄金卿が腰を曲げてのっそりと歩く姿を配達の途中で目にして感激した練斤術師、いわゆるパン職人のガドウァール師(彼もまた聖ジェルマン拍爵【50】の一人である)が、貴族に頼み込んでその頭髪を自らの虫垂で精緻に型取らせてもらうと、東方【20】でのみ採取されるイースト金【21】のみを食して虫垂に流しこみフランスパンをひり出したというのは有名な話だ。その報酬にガドウァール師が下げた頭の角度は、これまで誰も目にしたことがないほど崇高なものだったという。これが後に言うフランス革命である。ちなみにクーデターの語源は、食う→出た、というシンプルな方程式(※過去形への変化に要注意)に基づくという尾ひれ【80】のついた魚【78】の漁獲量が急増したことで上書きされつつある。


リンク元【11】最初の顧客・ミラー氏

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