【337】ベグライテン拍爵

　ベグライテン拍爵は、三十億人のリスナー【333】を持つ貴族である。時代は常に拍爵と共にあると言われる。彼は鼓動を水晶化しており、どんなときでも動じず、常に一定の間隔で心音を打ち出すことができる。全速力で走っているときも、今にも空腹で倒れそうなときも、目の前で大量の蝶【243】が一斉に飛び上がったときも、人妻と激しい恋に陥ったときも、トラックに轢かれて右足が切断され仕立屋に縫ってもらったときも、拍爵の鼓動はまったく変化しなかった。ただ一度だけ、ベライデイゲン公爵【339】と呼ばれて歴史に刻み込まれた【340】一日を除いては。

 

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【333】心音のステレオ放送・ラジオ 【198】これこそが世界を保存しようとする試みなのだ 【112】乳牛の内臓・午前と午後

【336】工場・エ鋼

　工場とは、エコーから採取されるエの言子のみを互いに噛み合わせることによって形成した場のこと。言生動物門【309】においてエ綱（横文字ではＨ鋼）に分類されるエは、言子構造が単純であるため、建設ロジック含有の考母を練り込み発考させることで、鋼鉄並の建材になる。虹【264】などの大型建造物に使用されるのはもちろんのこと、結合部が十字【214】を形作ることから聖像等の宗教彫刻にも活用されている。「ええ、ええ」とただただ頷かせる作業肯定によって建設は進められるが、風などの共振によってロジックが無効化されると、「え？え？え？え？え？え？え？」と、疑問符の反響たるエコーに成り下がり、たちどころに繋がりを失って崩壊してしまう。

 

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【332】シャオロン尊師・ユエン家 【264】虹