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【14】白い殻

 鶏の卵を割ったあとに残る分裂症気味の殻は、そのまま捨てないで卵よりわずかに大きいもの(生物である方が効果的)をそばに並べておくと、どうにかして中に包み込もうと空気中のカルシウムを吸収しながらわずかに膨張するため、対象を段階ごとに変えていくことで任意のサイズに調節できる。最近では 成長の早いヒヨコ【17】を用いて、殻の母性的な衝動を導いてやる方法が一般的となっている。大切に育てられた殻は、両性類の卵のつややかで透き通った同心円を前にすると、満足げに中に取り込んでひび割れた関係を修復し、ついには真っ白な下膨れの楕円球となるのだ。

 

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【11】最初の顧客・ミラー氏

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