徹の顔 1

2024年03月30日 04時09分11秒 | 創作欄

君嶋徹は二つの顔を持っていた。

厳密には、三つの顔と言えたかもしれない。

一つはギャンブル依存症でり、アルコール依存症である。

サラ金の借金は、親に肩代わりしてもらったことが、4度もあった。

200万円もの金額が4度も。

さらに、妻に泣きついたことが2度であり、これもともに200万円であった。

総額は?

実におろかである。

最悪なのは、親の遺産も浪費した。

当時、仕事柄で接待されることが多かった。

主に銀座、赤坂のナイトクラブであった。

帰りは、ハイヤーで取手の賃貸アパートまで送られた。

相手の業者は別れ際に、車代として徹に3万円を渡していた。

赤坂から取手までのハイヤーは無論、無料、つまり業者が負担。

ナイトクラブのホステスたちは、接待客の素性は知らないだろうが、徹を金持ちと思い込んだのだろう。

「今夜これから、どう? 愛しあわない」と微笑み自宅マンションに徹を招くのである。

 

 

 

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