競輪でサラ金の500万円の借金を残した木島徹の父親は、最後に自宅に火を着けて焼け死にした。
実に愚かな死にざまであった。
自宅ばかりではなく、春の強風に乗って火災は、近隣の7棟の類焼に及んだ。
そして、死者は父親を含め3名にも及んだのである。
徹は、南風でモチノキの葉が近隣の3棟の駐車場に葉が散乱するのを雨に濡れてながら掃除をする。
父親が遺したモチノキである。
実に忌々しいモチノキのであるが、根本から切断するには忍びない。
なぜ故か?
徹の拘りは、家族も誰もが理解に及ばないのである。