小泉農相 コメ流通の実態把握へ 事業者に報告求める方針
小泉農林水産大臣は、17日の閣議のあとの会見でコメの流通の実態を正確に把握するため、コメの販売や出荷を担うおよそ7万の事業者に対し、在庫などの報告を求めることを明らかにしました。
【Q&Aで詳しく】

農林水産省はコメの流通状況を把握するため、年間の取り引き量が500トン以上の主に集荷業者や卸売業者を対象に毎年6月末時点でコメの在庫量などを調査しています。
これについて、小泉農林水産大臣は17日の閣議のあとの会見で「従来からの報告だけでは流通実態の把握ができなくなっている。食糧法に基づき届け出をしているすべての事業者に対し、集荷、仕入れ、販売、在庫について報告を求めることとした」と述べ、コメの販売や出荷を担うおよそ7万の事業者に対し、ことし6月末時点の在庫などの報告を求めることを明らかにしました。
また、これまで調査の対象だった集荷業者、卸売業者に対しては、大手を中心に現場を訪問して台帳と報告内容を突き合わせる調査を行うとしています。
さらに、これまで報告や調査の対象でなかった中食や外食、スーパーなどの小売、食品メーカーといった事業者についても、コメの流通に関する報告や調査の対象とする仕組みを検討することも明らかにしました。
小泉大臣は「流通全体の解明に対して本気であるという明確なメッセージにしたい。どこにどれくらいのお米があるのかないのか、こういったことについて一歩これから進めていく取り組みの一環だ」と述べました。
【Q&A】なぜ流通実態の把握を強化?
Q. コメの流通の把握を強化するねらいは?
A. コメの価格が高止まりする中、農林水産省は流通が原因ではないかとみて、その実態を正確に把握したいと考えています。
農林水産省はコメの流通状況を把握しようと、毎年6月末に主な集荷業者や卸売業者を対象にコメの在庫量の調査を行っています。
ただ、現在の調査では集荷業者や卸売業者以外の事業者がどのくらいコメを持っているか把握できず、適切な対応がとれなかったとしています。
このため農林水産省は調査の対象をこれまでより拡大してコメの流通の実態を調べることに決めました。
Q. 具体的にはどのような調査になる?
A. 調査の対象は、これまで年間の取扱量が500トン以上ある集荷業者や卸売業者で、去年6月の時点でおよそ1300ありました。
新たな調査では、取扱量の制限をなくした上で、コメを販売する小売業者などにも対象を広げる方針です。
対象となる事業者はおよそ7万まで拡大することになり、今月末時点の仕入れや販売、それに在庫の量について報告を求めることにしています。
調査結果は来月下旬にもとりまとめたいとしています。
さらに、これまで調査の対象外だった外食や食品メーカー、コメを取り扱っていないスーパーなどの事業者も対象に含めることができるか、新たな仕組みを検討することにしています。
今後、事業者に聞き取りを行う方針で、来月下旬にも方向性をまとめたいとしています。
Q. 新たな調査でコメの価格高騰は避けられることになる?
A. 農林水産省は、コメの流通に関わる事業者の状況をきめ細かく把握することで、仮に価格が高騰した場合でも何が原因か特定し、適切な対策につなげられるとしています。
小泉農相 経団連会長にコメ流通の実態調査へ協力要請

小泉農林水産大臣は17日、経団連の筒井会長と面会し、新たに打ち出した、およそ7万事業者を対象に行うコメの流通の実態調査への協力を求めました。
この中で筒井会長は「コメをはじめ食料の価格高騰や需給ひっ迫などによって、日本の食料、農業をめぐる課題が浮き彫りになっている。経団連として可能なかぎり協力していく」と述べました。
これに対し小泉大臣は、大手コンビニなどで随意契約で売り渡した備蓄米の販売が始まっていることについて、「経団連の加盟企業のスピード感をもった協力に、心から感謝を申し上げたい」と述べました。
さらに小泉大臣は、17日に新たに打ち出した、およそ7万の事業者を対象に行うコメの流通の実態を把握するための調査について触れ、「コメの流通実態の把握をしっかり行うことについて、私は国民に対しても、大きな責任を負っていると思っている。ご協力をお願いしたい」と述べました。
このあと懇談会では、農業の課題をめぐっても意見交換を行い、農業への新たな技術の導入や農産物の輸出強化などについて、政府と経団連が協力して取り組んでいくことで一致したということです。
専門家「取り引き・価格明らかにしたいのだと思う」

今回の調査の見直しのねらいについて、農業政策が専門の東京大学大学院の安藤光義教授は「コメの流通がブラックボックスになっているように見えるので、どこでどんな取り引きがあり、価格が上がっているかを明らかにしたいということだと思う」と分析しています。
外食などにも調査の対象を拡大することについては「コメを買って自分で炊いて食べる量がずいぶん減っているので、コメの生産量と需要がどうなっているか、足りてるか足りていないかも含めて、量をしっかり把握したいということではないか」と話しています。
一方、課題については「これまで進めてきたコメの流通の自由化の路線とは違う方向になるので、ねらいがどこかよく見えないところがある」と指摘しています。
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