毎日新聞 2021/4/28
犠牲となった妻の真菜さんと長女莉子ちゃんの遺影とともに記者会見に臨む遺族の松永拓也さん=東京・霞が関の司法記者クラブで2021年4月27日午後4時34分、小川昌宏撮影
犠牲となった妻の真菜さんと長女莉子ちゃんの遺影とともに記者会見に臨む遺族の松永拓也さん=東京・霞が関の司法記者クラブで2021年4月27日午後4時34分、小川昌宏撮影
東京・池袋で2019年4月、近くの主婦、松永真菜さん(当時31歳)と長女莉子ちゃん(同3歳)が乗用車にはねられ死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(89)は27日、東京地裁(下津健司裁判長)で開かれた被告人質問で、「ブレーキとアクセルは踏み間違えていない」と改めて無罪を主張した。「車が制御できないと思いパニックになった」としながらも、運転ミスはなかったと強調した。
グレーのスーツに黒のネクタイ姿の飯塚被告は弁護人に車椅子を押されて入廷。裁判長に促されると、車椅子のまま証言台につき、はっきりした口調で事故の状況を語り始めた。
池袋暴走事故、被告「アクセル踏んだ記憶ない」と往生際の悪さ露呈[新聞ウォッチ]
東京・池袋で乗用車が暴走して2人が死亡、9人が重軽傷を負った事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた、89歳になる旧通産省工業技術院の元院長飯塚幸三被告が、改めて無罪を主張したという。
きょうの各紙にも社会面で「踏み間違えていない。被告改めて無罪主張」とのタイトルで大きく取り上げているが、東京地裁で開かれた初の被告人質問では、車椅子で出廷した飯塚被告が「アクセルを踏んでいないのに加速した」と述べ、自身に過失はないとの認識を示したという。しかも、左側に車線変更しようとした際、意図せずに加速し「車が制御できず恐ろしく感じ、パニック状態になった。ブレーキを踏んだが減速せず、ますます加速した」と話したそうだ。
まるで、乗用車の『プリウス』が欠陥だったような答弁だが、これまでの公判では、走行時の記録装置にアクセルペタルを踏み込んだデータが残っていたことや、ブレーキランプが点灯していなかったとする目撃証言も明らかになっている。いわゆる“暴走老人”の踏み間違えによる運転ミスの事故の可能性が大きい。
裁判の後、遺族は会見で「これだけの物証とドライブレコーダーの映像があっても、被告は、絶対に自分は間違えていないと言う。悲しいとか苦しいとかを超越して、あきれてしまう。妻と娘の命を奪われ、被告とは本当に出会いたくなかった。永久に知らない人でいたかった」と話したという。
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