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逮捕日漏えい収賄事件、元警官に懲役3年求刑

2019年12月27日 23時03分32秒 | 事件・事故

「信用を失墜させる重大で悪質な犯行」

2019年12月27日  京都新聞

強盗事件の容疑者に逮捕日を漏らす見返りに現金を受け取ったとして、加重収賄罪などに問われた元東山署巡査長の被告(40)=懲戒免職=と、贈賄罪などに問われた会社役員の被告(49)の論告求刑公判が27日、京都地裁(入子光臣裁判長)であった。検察側は「警察への信用を失墜させる重大で悪質な犯行」として、巡査長に懲役3年、追徴金200万円を、会社役員に懲役3年をそれぞれ求刑し、結審した。

 起訴状によると、元巡査長は今年3月、会社役員の被告から監禁、強盗事件の逮捕予定日を教えるよう依頼され、同月末~4月末、京都市内を走行中の乗用車内で同被告から2回にわたって計200万円を受け取り、7月10日、電話で逮捕予定日を漏らしたとされる。

 被告人質問で元巡査長は、事件が及ぼした社会への影響について「現金を受け取った時点では考えられず、お金に目がくらんだ。府民の警察への信頼を失墜させてしまい申し訳ない」と述べた。

 検察側は論告で、元巡査長の犯行動機はギャンブル代欲しさだとした上で「積極的に犯行に及んでおり、倫理観の欠如は甚だしい。会社役員が逮捕を免れて1週間にわたり逃走しており、捜査に与えた悪影響も大きい」と指摘した。

 一方、被告2人の弁護側は、事実を認め反省していることなどから執行猶予付き判決を求めた。判決言い渡しは2月19日。

 
 

女児に強制性交疑いで逮捕の大学生、不起訴処分

2019年12月27日 22時51分03秒 | 事件・事故

 地検、理由明らかにせず

12/23(月) 京都新聞
京都地検
 京都地検は23日、強制性交の疑いで逮捕された京都市西京区の男子大学生(20)を不起訴処分とした。地検は、理由を明らかにしていない。

男子大学生は、11月16日午後5時45分ごろ、南区のショッピングモールの室内遊園地で遊んでいた女児(5)を近くの倉庫に連れて行き、わいせつな行為をしたとして、今月5日に逮捕されていた。

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5歳女児に強制性交疑い、大学生の男逮捕 京都、ショッピングモール遊園地から倉庫に連れ出す

2019年12月5日
京都府警南署は5日、強制性交の疑いで、京都市西京区、大学生の男(20)を逮捕した。

 逮捕容疑は11月16日午後5時45分ごろ、京都市南区のショッピングモールの室内遊園地で遊んでいた女児(5)を近くの倉庫に連れて行き、わいせつな行為をした疑い。女児にけがはなかった。

 同署によると、容疑者は遊園地のアルバイト店員で、「やった行為に間違いはない」と容疑を認めている。女児はこの遊園地を何度か利用しており、この日は父親と来ていた。容疑者と一緒に遊びながら倉庫に連れて行かれたといい、帰宅後に家族に話して発覚した。

 


除夜の鐘ってうるさい? 札幌の寺院、苦情受け中止に

2019年12月27日 22時47分50秒 | 社会・文化・政治・経済
「社会の空気、戦時中と似ているのかも」

 大みそかの夜の除夜の鐘について、市民からの「うるさい」という苦情で、札幌市内の寺院が今年初めて中止を決めた。除夜の鐘の中止は全国的に増えているが、市内では「大切な伝統行事。やめないで」という声から続ける寺院が大半。社会の寛容さが失われつつあると心配する声もある。

駅に響くストリートピアノ 札幌市営地下鉄・大通駅 (2019/12/19)

 1907年(明治40年)建立の大覚寺(東区北10東11)は今年、除夜の鐘の中止を決断。寺院前に中止を知らせる看板を立て周知している。今春からは朝6時に突いていた鐘もやめた。荒木道宗住職(47)は「数年前から数十件、匿名の苦情が届いていた。継続を望む声も同じくらいあったがやむを得ない」と話す。

 除夜の鐘が途切れたのは、太平洋戦争中に軍需物資製造のため鐘を供出した時以来。「伝統行事を容認しない社会の空気は戦時中と似てきているのかも知れない」(荒木住職)。

「日本文化の一つとして残してほしい」

 ただ、除夜の鐘の中止は一部にとどまる。西区の浄国寺(山の手1の12)では31日午後11時45分から1時間かけて参拝客が108回鐘を突く。高橋浄英住職(63)は、鐘を突いて闇を取り除き、心新たに新年を迎える大切な行事だとし、「夜突くことに意義がある。昼にしたり、やめたりするつもりはない」という。

 家の裏が寺というギャラリー経営法邑美智子さん(73)=東区=は毎年、寝室で1年を振り返りながら除夜の鐘を聴くといい、「音は心にも響く。日本文化の一つとして残してほしいですね」と話す。

 

 


"女子高生誘拐"で逮捕された無職の男性 札幌地検「不起訴」

2019年12月27日 22時46分03秒 | 事件・事故

出会いはSNS… 2人の関係に配慮か

12/23(月) UHB 北海道文化放送

胆振地方の女子高校生を誘拐したとして愛知県の男性が逮捕された事件で、札幌地方検察庁は2019年12月23日、男性を不起訴処分としました。

 


強制わいせつ疑い 高校教師の男性不起訴

2019年12月27日 22時31分52秒 | 社会・文化・政治・経済

12/27(金) 日本テレビ系(NNN)

強制わいせつの疑いで逮捕された高校教師の男性が不起訴処分になった。

元教え子の女性にわいせつな行為をしたとして強制わいせつの疑いで逮捕された高校教師の男性について、東京地検は27日付で不起訴処分とした。東京地検は不起訴とした理由を明らかにしていない。

 


新聞(紙版)を「毎日必ず読んでいる」人は34.2%

2019年12月27日 22時27分56秒 | 社会・文化・政治・経済

女性10・20代はわずか6%

マイボイスコムは、2018年11月1日~5日に実施した『新聞の利用』に関するインターネット調査の結果を発表しました。これによると、新聞(紙版)を読む人(「まったく読んでいない」以外)は67.0%となり、過去調査と比べて減少傾向であることが分かりました。

新聞(紙版)を「毎日必ず読んでいる」人、10~30代では1~2割

男性や高年代層で閲読者の比率が高く、50~70代では各7~8割、10~30代では各4~5割となっています。「毎日必ず読んでいる」は34.2%、「ほとんど毎日読んでいる」は13.7%です。「毎日必ず読んでいる」は、60・70代では男性6割、女性5割ですが、10~30代では1~2割にとどまります。女性10・20代では6%と特に低くなっています。

ニュースの情報を得る手段、ニュースアプリが増加

ニュースの情報を得る手段は「テレビ番組」が7割弱、「ヤフーなどポータルサイトのニュースサイト・アプリ」「新聞(紙の紙面)」が各5~6割です。過去調査と比べ「ニュースアプリ(SmartNews、LINE NEWS、グノシーなど)」がやや増加しています。男性10~40代では「ヤフーなどポータルサイトのニュースサイト・アプリ」がテレビを上回り、1位となりました。

高年代層は「新聞(紙の紙面)」「テレビ番組」など、10・20代は「ニュースアプリ(SmartNews、LINENEWS、グノシーなど)」「SNS(Twitter、Facebookなど)」の比率が高くなっています。

新聞のニュースサイトや電子版サイト・アプリ利用者は全体の3割強

新聞のニュースサイトや電子版サイト・アプリ利用者は全体の3割強で、「日経新聞」「朝日新聞」などが各1割強となっています。日経新聞を読む人のうち、日経新聞の電子版サイト・アプリ利用者は5割弱、朝日新聞を読む人のうち、朝日新聞電子版サイト・アプリ利用者は3割で、他の層より高くなっています。

ニュース情報を入手したい情報源は「テレビ番組」「新聞(紙の紙面)」「ヤフーなどポータルサイトのニュースサイト・アプリ」が各5~6割です。「ニュースアプリ(SmartNews、LINE NEWS、グノシーなど)」が19.0%で、過去調査と比べ増加しています。男性10~40代では「ヤフーなどポータルサイトのニュースサイト・アプリ」、男性60・70代では「新聞(紙の紙面)」が1位です。

新聞を読む理由、読まない理由についての、主な回答者のコメントは以下の通りです。

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◆新聞を読む理由

・時事ネタを知っておかないと会話などに困るから(男性 16歳 たまに読んでいる)

・手元に置けてスマホよりもめくりやすいので読みやすい(男性 29歳 毎日必ず読んでいる)

・同居家族が購読しているのがあるのでテレビ欄ぐらいは見る(男性 30歳 ほとんど毎日読んでいる)

・紙の新聞を読むことは安心を与えてくれる。(男性 76歳 毎日必ず読んでいる)

・世の中の動向を把握しておきたいから、人との雑談にもなるから(女性 28歳 ほとんど毎日読んでいる)

・小学生の頃から実家で新聞を読んでいたので、習慣的に。(女性 26歳 ほとんど毎日読んでいる)

・ネットのニュースも利用しているが、やはり紙に書かれた文字を読む方が、頭に残るから。(女性 69歳 ほとんど毎日読んでいる)

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◆新聞を読まない

・紙の新聞を契約しても読む時間がなさそうだし、ニュースはネットで事足りる。(男性 29歳 まったく読んでいない)

・ネットのニュースサイトに比べて不便だから(男性 25歳 まったく読んでいない)

・1度外に取りに行くのが大変、ゴミになるから、使い捨てでエコではないから(男性 33歳 まったく読んでいない)

・インターネットで十分。新聞は、社の思惑が反映されていて、真実を純粋に書かない。(男性 48歳 まったく読んでいない)

・読む必要があまり無いから。読む集中力や気力が無いから。(女性 33歳 まったく読んでいない)

・お金を払ってまで読もうと思わない。ニュース番組で充分(女性 25歳 まったく読んでいない)

・新聞を読まなくてもテレビやネットで間に合うので問題ない(女性 69歳 まったく読んでいない)

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読書習慣がある人は4割弱?

2019年12月27日 21時47分23秒 | 社会・文化・政治・経済

紙派と電子書籍派の割合に変化あり

本は読んでおくに越したことはない。そんなことはわかっている。しかし今の時代、ネットにゲーム、動画サイトにサブスク配信サービスと、娯楽が多すぎる。読書離れが起きて当然ともいえるが、では実際のところ、世間の人たちはどの程度読書に親しんでいるのだろうか?また、紙の書籍派と電子書籍派の割合はどのようになっているのだろうか>

そこでこのほど、株式会社クロス・マーケティングによる、15歳~69歳の男女1,200人を対象にした「読書に関する調査」が行われたので、その結果を紹介していきたい。

※グラフありの元記事は下記同タイトルをクリックすることで見ることができます

「読書習慣あり」派は39.8%。2017年からほぼ横ばい
読書習慣の有無を尋ねる調査が行われたところ、2015年調査時点で「読書習慣あり」と「読書習慣なし」が約半数ずつだったが、2017年調査時点で「読書習慣あり」が2015年の50.8%から39.4%となり、11.4pt減少。今回の2019年調査では「読書習慣あり」が39.8%と2017年からほぼ横ばいという結果になった。

習慣化するほどじゃない「ライトな読書好き」が増加中?
読書が好きか嫌いかの好意度調査では、2015年・2017年・2019年とも「読書は好き」が多い。2015年から2017年にかけて「読書が好き」と回答した人は減少したが、2019年調査ではわずかに増加した。

読書を頻繁にするような“習慣化”には至ってないが、読書自体は好きという層の存在が見られる。


今年初めて、「紙の書籍派」の割合が9割を切る!少しずつ電子書籍派隆盛の兆し
読書手段に関する調査では、2015年から今回まで変わらず「主に紙の書籍で読む」という紙の書籍派が大多数を占めた。しかし、今回初めて紙の書籍派の割合が9割を切り、「主に電子書籍で読む」という電子書籍派が2015年調査からの4年間で4.2ptアップと微増。

2015年の調査以降、少しずつだが電子書籍派の割合が増えてきていることから、今後も伸びていくことも予想される。<図3>



若年層では、読書数が増加傾向に
1年前と比較した読書数の変化を年代別に見ると、男性15歳~19歳と、女性20~29歳の「増えた」の割合が高く、若年層の読書数増加が目立つ結果となった。<図4>



■調査概要
調査手法  : インターネットリサーチ
調査地域  : 一都三県(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)
調査対象  : 15~69歳の男女
調査期間  : 2019年10月11日(金)~10月14日(月)
有効回答数 : 1,200サンプル
※調査結果は、端数処理のため構成比が100%にならない場合がある

出典元:株式会社クロス・マーケティング

構成/こじへい

@DIME

 

最終更新:11/22(金) 11:42
@DIME


[完全版]上杉鷹山

2019年12月27日 21時37分55秒 | 社会・文化・政治・経済
 

内容紹介

米沢藩の第9代藩主で、領地返上寸前の米沢藩再生のきっかけをつくり、「江戸時代屈指の名君」として知られる上杉鷹山。その鷹山公が、米沢に初めてお国入りをして今年(2019年)で250年を迎えます。
本書は、単行本として出版される以前、約1年にわたって連載された「山形新聞」掲載時の『小説 上杉鷹山』と、ビジネス書としてベストセラーになった『上杉鷹山の経営学』に加え、著者最新の上杉鷹山論、そして600冊近くにわたる童門冬二著作リストを収録。「上杉鷹山・総まとめ」となる一冊です。
名藩主はどのようにして、人の心を蘇らせたのか――?愛民の思想にもとづく、やさしさと思いやりに満ちた地域づくりに目標をおいていた鷹山の改革は、SDGs(国連サミットが全会一致で採択した持続可能な開発目標)の先駆けとなるものであるという研究者もおり、世界標準の中での地域づくりという視点からも、再び熱く注目されています。

内容(「BOOK」データベースより)

経済破綻した米沢藩を立て直した名藩主の事績。ベストセラーとなった『小説 上杉鷹山』『上杉鷹山の経営学』の2作品に加え、著者最新の「上杉鷹山論」を収録!

著者について

作家

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

童門/冬二
昭和2(1927)年、東京生まれ。東海大学付属旧制中学校在学中、予科練(海軍少年飛行兵)に入隊。昭和20年(1945)8月、特攻隊員として三沢基地で敗戦を迎える。昭和22年(1947)、目黒区役所に就職し、約12年間を税務課で勤務。

その後、目黒区役所国民健康保険課企画係長、庶務係長を務めた後、昭和35年(1960)、東京都立大学(現・首都大学東京)事務長を経て、昭和39年(1964)、広報室副主幹(課長)として本庁に勤務。

昭和42年(1967)の美濃部亮吉東京都知事誕生以降、広報室長、企画調整局長、政策室長など要職を歴任。昭和54年(1979)、美濃部知事の退任とともに都庁を去り、作家活動に専念する。

昭和33年(1958)、生田直近と文芸2人誌『さ・え・ら』を創刊するなど、目黒区役所勤務時代から小説を執筆し、数々の文芸誌小説賞に佳作入選。昭和35年(1960)、「暗い川が手を叩く」で第43回芥川賞候補。平成11年(1999)、勲三等瑞宝章受章。平成15年(2003)、上杉鷹山の師・細井平洲を顕彰・研究する愛知県東海市立平洲記念館の名誉館長に就任。平成27年(2015)、美しい日本人の心の情報発信施設として、東海市芸術劇場2階に「[細井平洲・童門冬二記念]嚶鳴広場」がオープン、同広場の顧問に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)






他人よし、世間よし、そして、自分よし

2019年12月27日 21時29分31秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

今の時代は、<単一>ではいかないと思います。
何といっても情報が多過ぎます。
私たちのキャパシティーに入り切られず、整理できないほどです。
情報整理のモノサシは人のため、世の中のために役立つ情報の選択です。
<自分よし>が国内外ともに幅を利かせているのも気になります。
近江商人の言葉に「三方よし」はあります。
「自分よし、相手よし、世間よし」です。
自らの利益だけでなく、社会の幸せを願う理念です。
大事にすべき心だと思います。
自分よしが最初にきてないけません。
他人よし、世間よし、そして、自分よしであってほしい。
作家 童冬二さん


介護予防が期待される「通いの場」とは?|介護のコラム

2019年12月27日 19時02分41秒 | 医科・歯科・介護

公開日:2019.07.24 【探しっくす】

少子高齢化が進むわが国では、医療や介護に充てる財源、そしてケアに携わる家族の時間やホームヘルパーの労働力の確保といった問題が山積みとなっています。政府は将来的に要介護状態にならないための予防策を打ち出していますが、このたび厚生労働省は介護予防のあり方に関する有識者検討会を開き、高齢者が集う「通いの場」の実現に向けて議論しました。同省が提唱する「通いの場」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?

地域の高齢者が集い、介護予防に向けたプログラムを実践する

「通いの場」は、地域に住む高齢者が定期的に集まり、さまざまなアクティビティを通じて仲間と楽しんだりリフレッシュしたりと、日々の生活に活気を取り入れてもらうための取り組みです。

その中で大きな柱となるのは、「介護予防」に直結するための取り組みになります。具体的にはイスに座った状態でもできるストレッチや運動、テキストやドリルを用いた頭の体操(認知機能訓練)、口の中を清潔に保つための口腔ケアなどです。

またそれ以外でも、参加者同士でお茶やお菓子を飲食しながら語らう会合や、パソコンやタブレットといったIT機器の操作を教える教室。男性の場合は囲碁・将棋サロン、女性にはお花や料理教室などがあります。また、料理をレクチャーする場合、管理栄養士などが講師として招かれ、高齢者に必要な栄養素を多く取り入れたメニューの提案など健康面に配慮した内容になるため、台所を預かる主婦としては大変心強いことでしょう。このように「通いの場」の内容は多岐に渡り、様々な人の趣味や嗜好、ライフスタイルに合致した広がりを見せてくれます。

これらの活動は、全国の自治体による「新しい総合事業」によって行われるもので、住まいのある自治体に住む65歳以上の高齢者であれば誰でも参加可能です。現実的には、「要支援1・2」または「自立」(要介護または要支援にも該当しない)の人が利用することになります。

費用面について、「通いの場」は介護保険外のサービスになりますが、自治体が主催する取り組みのため原則費用は公費で賄われます。そのため参加者は1回につき数百円程度の参加費で済むため、家計を圧迫する心配もありません。近年は社会貢献に対する国民の意識も高まり、ボランティアを募り、講師や運営スタッフとして協力してくれる人も増えているため、今後ますます充実した活動が期待できそうです。

介護予防の必要性と「通いの場」ができた背景

通いの場ができた背景

なぜ今、介護予防の必要性が問われているのでしょうか? 第一の理由に、人生の最期まで他人の力に頼らずに自分らしく生きることが人間の尊厳につながると考えられるからです。寝たきりや認知症になれば手厚い介護は必要不可欠になりますが、食事やトイレなどはできるかぎり独力で済ませたいと思うのは当然のことです。そのためには、適度な運動や生活習慣の見直しを比較的若いうちから実践していくことで、重度の要介護になるリスクを少しでも減らせるのです。

続いて、介護にかかる費用を抑制することが挙げられます。ご存知のとおり介護保険の財源の約半分は、40歳以上の国民が納める介護保険料で成り立っています。しかし、このまま少子高齢化が進めば、納める側の保険者は減る一方で被保険者の数は増え続け、介護保険の仕組み自体が破たんしてしまうことが予想されます。

介護保険の財源に少しでもゆとりを持たせる目的で、2015年の介護保険法改正時に、要支援者が利用する通所介護と訪問介護を介護保険の適用から外し、全国の自治体の「新しい総合事業」に移管されることになりました。要支援者の多くは手厚い介護サービスを必要としていないものの、わずかながらも介護サービスを受けていた人たちに対する何らかの施策が必要となったため、全国の自治体で介護予防への動きが活発になってきたのです。

「通いの場」を継続していくために必要なことは?

自治体によっては「新しい総合事業」がスタートして間もないところもあるため、今後継続的に、より多くの高齢者に参加してもらうことが当面の課題となるでしょう。

まずは告知にしても、近所づきあいも少なく、普段からパソコンも利用しない高齢者に対して「通いの場」の情報を伝えることは簡単にはいきません。そこで定期的に高齢者宅を訪問するソーシャルワーカーなどに代わって告知をしてもらう、案内を記したチラシを作成し手渡してもらうといった方法が有効です。特に男性の場合、女性が多く集まる会合にはなかなか顔を出しにくいものですが、町内会などの自治会長に「通いの場」のイニシアティブを取ってもらい、率先して活動してもらうことで男性や夫婦同士での参加のハードルも低くなることでしょう。

介護予防エクササイズといったプログラムの場合、内容がついマンネリ化してしまい、飽きて次第に参加しなくなるケースもあるようです。こういった場合も、月別でエクササイズの内容を変えることや、皆勤賞の人を表彰するといったことで、少しはモチベーションの向上につながるはずです。

こういった取り組みは自治体主導ではあるものの、やはり主役は地域の高齢者たちです。与えられたプログラムをこなすだけではなく、「あれをやりたい」「〇〇に挑戦したい」といった具合に、楽しく取り組むためのアイデアも重要です。様々な要望を実現するためにも、参加者の中からリーダー格になる人を決めて、場を提供する自治体や協力するボランティアの人たちとコミュニケーションを図りながら、「通いの場」を充実させていくビジョンの共有も必要になってくるでしょう。

改めて考える、地域コミュニティの大切さ

地域コミュニティの大切さ

「通いの場」の存在意義の一つに、プログラムの内容に関係なく「参加してもらう」ことがあります。現在、日本では65歳以上の高齢者が単身で暮らす、いわゆる独居老人が増えていて、安否確認の重要性が叫ばれています。

ここで「通いの場」が普及していくことで、地域で暮らす独居高齢者の安全や健康状態も周囲が確認できるため、孤独死を減少させることにもつながります。参加した先で「元気そうでよかった」「また、来てくださいね」などと声をかけてもらうことで、社会の中で必要とされているという自覚が芽生えます。こういった些細なことからでも、人は生きる活力を与えられるものなのです。

高齢者が楽しくいきいきと参加できるために

「通いの場」をはじめとする介護予防に向けた取り組みは、まだ歴史も浅く、効果に対する科学的根拠が乏しい面もあるため、今後専門家を交えながら実証実験を進めていくことが必要です。それでも、高齢者が楽しくいきいきと参加できることで、将来の介護に掛かる負担を減らすことはできるはずです。今からでも情報を少しずつ集めて、家族が参加したいと思えるようなプログラムを見つけてみるのもよいでしょう。

■参考記事
「通いの場」普及策を議論 介護予防効果の実証方法も_日本経済新聞
地域づくりによる介護予防を推進するための手引き(日本能率協会総合研究所)



「通いの場」の介護予防効果 検証はどこまで進んだか

2019年12月27日 18時31分01秒 | 医科・歯科・介護

千葉大学予防医学センター

国立長寿医療研究センター

日本老年学的評価研究(全国約40市町が参加)

近藤克則

高齢者約1万4000人を約10年間追跡した研究では、「友人との交流がある」「地域のグループ活動に参加している」といった社会との多様なつながりがある人は、ない人と比べると、認知症の発生リスクがほぼ半分だった。

背景: –住民主体の「通いの場」とは? –導入時にわかっていたこと/いなかったこと

• 6年間(第47回介護保険部会以降)にわかったこと

–効果評価の3つの方法と長短 1. 名簿で2群(参加・非参加)を把握 2. 参加者(のみを対象とする)調査 3. ニーズ調査で参加状況を把握して比較

–費用抑制は期待できるか?

 

介護予防事業を活用した地域づくりの例 -愛知県武豊町- 厚生労働省: 介護予防マニュアル改訂版 (平成24年3月) p4

ボランティアのグループワーク どんな企画を したら人が集 まる?

特に男が・・・ 後片付けで 身体を動かし フィットネス 頭を使ってボケ予防 5 6 武豊町

☆新年かくし芸大会 【憩いサロン・各会場の取り組み】 【主な活動・・・季節のイベント】

☆ひな祭り ☆ 夏まつり ☆ ミニ運動会 ☆ クリスマス会 (盆 踊 り) (玉 入 れ) 

導入時にわかっていたこと • ハイリスク戦略ではうまく行かない • 社会参加が多いまちは健康らしい

住民主体で「通いの場」をつくれるらしい

わかっていなかったこと

• 他のまちにも普及できるのか? • 健康な人ほど社会参加しているだけ? –「逆の因果関係」ではないのか?

効果はあるのか?

• 費用対効果からみても良いのか?

ニーズ調査でわかったことと今後の展開

• 行政が把握する割合よりも多くの高齢者が「通いの場」に参加していると回答している

• 横断調査では,参加前の健康状態の違いか効果か区別

• ニーズ調査で参加状況を把握して2群間比較可能 • 25自治体の高齢者7223名で2群比較すると,参加群で, フレイルや要介護リスク点数悪化の確率が半減していた • 相応の費用はかかるが,立ち上げ数年間で減少する. それ以上の給付費の抑制が期待できる • 11年間の累積介護給付費は,参加群で30-50万円少ない。

サロン間,市町村間で比較できるマネジメント支援システ ムのプロトタイプを開発中

6年間にわかったこと

他のまちにも普及できそう • 健康な人ほど社会参加しているだけでも, 「逆の因果関係」だけでもない • 効果はある.再現性もある –異なるまちで,似た方法で効果あり –効果大/小の群・やり方はある • 費用対効果からみても良さそう

残された課題

–(費用対)効果検証の仕組みづくり

 

 

 


自衛隊の国際貢献

2019年12月27日 10時35分38秒 | 社会・文化・政治・経済

国際平和協力活動等の仕組み

International peace cooperation operation

陸上自衛隊は、国際平和のための努力及び国際協力の推進に寄与するため、世界各地における国際平和協力業務や大規模な災害に際しての国際緊急援助活動及びイラク人道復興支援活動に対し主体的・積極的に取組んできました。

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2019/4/27産経新聞

外交安保取材】国際貢献、災害派遣、安保法制…平成期に変革遂げた自衛隊 令和に積み残した課題

存在する自衛隊から行動する自衛隊へ-。平成期の30年間は、自衛隊にとって変革の時代だった。海外では国際平和への貢献を重ね、国内では相次ぐ災害派遣を通じて国民から高い支持を得た。本丸の国防任務でも、戦後長らく続いた米国依存の姿勢から脱却を図りつつある。一方、令和の時代に積み残した課題もある。
「カネだけ」から国際貢献の手本へ

 「防衛大入校当時、自衛隊に対する世間の目は厳しく、時に言われなき非難を浴びることもある時代だった。しかし今日では国民が最も信頼を寄せる機関であり、ほとんどの国民が好感を寄せる組織になった。われわれが歩んできた道は決して間違っていなかった」

 4月1日、自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長は退官のあいさつでこう述べ、42年間にわたる自衛官人生に終止符を打った。
河野氏が平成期の転換点だったと指摘するのが、自衛隊にとって初の海外実任務となった平成3年の掃海部隊のペルシャ湾派遣だ。それまで自衛隊の海外展開は「専守防衛を越える」としてタブー視されてきた。湾岸戦争に際しても、各国による多国籍軍が編成される中、日本は130億ドルの資金協力にとどめた。国内事情を理由に人的貢献に及び腰な日本への風当たりは冷たかったが、掃海部隊の派遣で評価は一変した。
 以来、自衛隊は特別措置法に基づくイラク派遣やインド洋での補給活動に従事したほか、カンボジアやモザンビーク、ゴラン高原、南スーダンなど数々の国連平和維持活動(PKO)にも参加した。

 現在も、アフリカのソマリア沖アデン湾では海賊対処任務が続いている。今年4月からは、エジプト・シナイ半島でイスラエル、エジプト両軍の停戦監視活動をする多国籍軍・監視団(MFO)の司令部要員として陸上自衛官2人を派遣する。今や自衛隊は国際貢献の面で各国から手本とされる存在にまでなった。

災害派遣で存在感

 国内に目を向ければ、平成は断続的に大規模災害に見舞われる時代でもあった。皮肉にも、これが国民の自衛隊への支持を押し上げる原動力となった。

 東日本大震災では10万人態勢の統合任務部隊を初めて編成し、原発対処や人命救助の最前線に立ち続けた。その後の熊本地震や西日本豪雨での献身ぶりは記憶に新しいところだろう。政府発表の世論調査では、自衛隊に好印象を持つ回答は9割を上回る。
自衛隊本来の任務である国防でも役割の拡大を図っている。平成28年施行の安全保障関連法では、同盟国を守る集団的自衛権の行使が限定的ながら認められた。平時から米軍を守る「武器等防護」も可能になり、着実に実績を積み重ねている。世界最強の打撃力を持つ米軍との関係の深化は、敵に攻撃をためらわせる抑止力にもつながっている。

 昨年末に策定された新たな「防衛計画の大綱」は、防衛力の抜本強化に踏み込んでいる。「いずも」型護衛艦の空母化改修や、敵基地攻撃にも転用できる長射程の「スタンドオフミサイル」の保有はその一例といえる。いずれもかつては議論さえ許されなかった装備だが、中国やロシア、北朝鮮への危機感がそれを可能にした。

令和時代は「抑制」だけでいいのか

 一方、解消されることなく引き継がれる課題もある。

 防衛白書には「基本政策」として(1)専守防衛(2)軍事大国とならないこと(3)非核三原則(4)文民統制の確保-が記載されている。陸上自衛隊でイラク復興支援群長や西部方面隊総監などを歴任した番匠幸一郎元陸将は、この4つの基本政策に違和感を覚えていたという。4月12日に日本記者クラブで開いた記者会見で、番匠氏はこう本音を語っている。
「この4つは自衛隊をどう抑制するか、どう使わないようにするかということだ。もうそろそろ、その時代は過ぎつつある。国家・国民の財産である自衛隊という実力組織を、どう有効に使っていくかという運用論が活発に出てきてほしい」

 幸いなことに、自衛隊は平成の時代に一人の戦死者も出さずにその使命を全うすることができた。令和でも同様であることを願うが、安全保障環境はさらに加速度的に厳しさを増していく。専守防衛など国際標準から逸脱した“くびき”を抱えたままで、国防を完遂することが本当に可能なのか。自衛隊を通常の軍隊とは認めない現行憲法の問題点も含め、改元を機に自衛隊のあり方についても議論を深めるべきだ。

(政治部 石鍋圭)

 

 


人間の安全保障をすべての人に

2019年12月27日 10時31分38秒 | 社会・文化・政治・経済

特に最近10年間の脅威の変遷により、私たちの安全に対する理解は大きく変わりました。

冷戦の終結以来、私たちは国際紛争や国内紛争だけでなく、慢性的にはびこる貧困や気候変動関連の災害、組織的犯罪、人身取引、流行病、そして急激な経済・金融危機によっても、数多くの人々の暮らしが脅かされる姿を目にしてきました。

これら新旧の課題は、全世界で非常に多くのの生命と生活にとって、深刻な脅威となっています。国家安全保障が平和と安定に不可欠なことに変わりはありませんが、現在の複雑かつ多次元的な課題の影響は、私たち一人一人が、分野横断的な幅広い脅威のリスクの高まりに対して脆弱であることを明らかにしています。内的要因によるものか、外的要因によるものかに関係なく、今日の脅威は、安全が脅かされうる状況が国内で、そして国境を越えて一気に拡大し、さらに解決困難な危機となって、個人の安全はおろか、より幅広い国家、地域および国際レベルの安全が脅威にさらされることも多くなっています。

その一方で、安全が脅かされうる状況を取り除く機会も、以前に増して高まっています。これまでになかった資源と技術の組み合わせにより、私たちには人間の安全保障の実現に向けて、目に見える前進を遂げるための手段、知識、そしてリソースが備わっているからです。こうした機会を活用するためには、人々の生存、生活、尊厳が現地、国内、地域、国際の各レベルで平和・開発・人間の進歩の礎をなすような新しい枠組みが安全保障に必要だと、政策決定者と実務者が認識しなければなりません。

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人間の安全保障とは

2005年世界サミット成果文書『人間の安全保障』(A/RES/60/1)パラグラフ143において、各国首脳は「すべての人々が、自由に、かつ尊厳を持って、貧困と絶望から解き放たれて生きる権利」を強調するとともに、「すべての個人、特に脆弱な人々が、すべての権利を享受し、人間としての潜在力を十分に発展させるために、平等な機会を持ち、恐怖からの自由と欠乏からの自由を得る 権利を有していることを」ことを認めました。

人間の安全保障は、現在の、そして新たに生まれつつある脅威、すなわち幅広く分野横断的な脅威に対応し、人々の生存、生活、尊厳を守ることをねらいとしています。このような脅威は、絶対的な貧困や紛争の中で暮らしている人々だけに及んでいるわけではありません。現在では、先進国、途上国を問わず、全世界の人々が多種多様な安全が脅かされうる状況の下で暮らしているからです。こうした脅威は各国の政府と国民にとって、ともに深刻な課題を突きつけています。

したがって、人間の安全保障では、恐怖からの自由、欠乏からの自由、尊厳を持って生きる自由という人間の生活にとって基本的な一連の自由の普遍性と相互依存性を重視します。その結果、人間の安全保障は安全、開発、人権の間の相互関連性を認識し、これらを人間の安全保障、そして、国家の安全保障の礎石とみなすものとなっています。

さらに、人間の安全保障が欠如する原因とそのあらわれ方は国やコミュニティによって大きく異なるため、人間の安全保障では、各地の現実に根差し、各国のオーナーシップに基づく解決策の策定強化を図ります。人間の安全保障は、各国の政府と国民がその潜在力を高め、 貧困と絶望のない状態で、尊厳を持って生きる能力を高めることになります。

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ビデオ:人間の安全保障

» 人間の安全保障:複合化した脅威に対する新たな対応[別窓]
 (人間の安全保障ユニット作成、日本語字幕:OCHA神戸事務所)

 


「平和の文化に関する宣言

2019年12月27日 10時18分13秒 | 社会・文化・政治・経済

国連総会は、

1999年9月13日に採択された「平和の文化に関する宣言」を受け、

2001年から2010年を「世界の子どもたちに平和と非暴力の文化をつくる国際10年」と宣言した1998年11月10日の53/25決議と、2000年を「平和の文化国際年」とした1997年11月の52/15決議を思い起こし、

平和の文化に関する以下の行動計画を採択する

A 目的とすすめ方ならびに主な担い手

1 行動計画は「平和の文化国際年」「世界の子どもたちに平和と非暴力の文化をつくる国際10年」のための基本を提供するものでなければならない。

2 国連加盟国は地域的ならびに国際的なレベルだけでなく、国内的なレベルにおいて、平和の文化を促進する行動をとることが求められる。

3 市民社会は、その地域や地方、そして全国それぞれのレベルにおいて、平和の文化に関する視野を広げるために活動領域を広げることに関わらなければならな
い。

4 国連組織は平和の文化を促進するために現在取り組んでいる努力をさらに強化しなければならない。

5 ユネスコは平和の文化を促進するために引き続いて重要な役割を果たし、そのために中心的な貢献をしなければならない。

6 平和の文化のために、宣言に述べられた担い手たちの間の協力関係が、地球的な運動のために奨励され強められなければならない。

7 平和の文化が情報の共有によって促進されるので、この点において担い手たちの主体的な活動が必要であ る。

8 行動計画の効果的な実現のために、関連する政府や各種団体、ならびに個人による、財源を含むさまざまな資源を動員する必要があ る。

B すべての関係者による国内的、地域的そして国際的なレベルでの行動を強化すること

9 教育を通じて平和の文化を育てる行動

(a) 人間的、社会的そして経済的な発達という視点をもって、また平和の文化を促進するという視点で、「全ての人に教育を」という目標を実現するために、国内的あ るいは国際的な努力を再活性化すること。

(b) 子供たちが早い時期から、あらゆる争いを平和的に、また人間の尊厳を尊重するような精神、寛容と非差別の精神をもって解決することが可能になるような価値観の形成、態度、行動の様式ならびに生き方を身につけるような教育をすすめること。

(c) 平和の文化の価値と目標が身についていく行動に、子どもたちを参加させること。

(d) 女性、特に少女達への教育への機会均等を保障すること。

(e) ユネスコが専門的な協力をした1995年の「平和、人権 、民主主義に関する行動要綱」を心に留めて、教科書を含めた教育課程の改訂を促進すること。

(f) 対話と合意形成を促進する教育と訓練をはじめ、平和の文化に役立つ価値や技能を発達させることをめざしている「平和宣言」に位置づけられたの担い手たち、とりわけユネスコの努力をはげまし強化すること。

(g) 紛争後の平和建設とともに、紛争の予防、危機管理、対立の平和的解決の分野において、適切な訓練と教育をめざしている国連機関の現在取り組んでいる努力を強めること。

(h) 国連大学、平和大学及び国連姉妹大学の計画、あ るいはユネスコの大学講座計画をはじめ、世界のあらゆる地域における高等教育組織によって行われる平和の文化促進の主体的な取り組みを拡大すること。

10 持続可能な経済的及び社会的発展を促進する行動

(a) 国際的な協調をふまえて,国内的ならびに国際的努力によって、貧困を根絶するという適切な方策と合意された目標を基礎とする、総合的な行動をすすめること。

(b) 各国における経済的、社会的不平等を軽減することをめざした政策や計画を具体化する力量を、国際的な協力を通じて強めること。

(c) 途上国の対外債務や債務返済問題に対して、効果的で公正な、開発を志向し持続性のあ る解決法を、とりわけ債務軽減によって促進すること。

(d) 持続可能な食糧の安全な確保の国家的な方策を実現するためのあ らゆるレベルの行動を強化する。その中には、国際協調を通して債務軽減から資源を生み出し、あ らゆる資源の分配と利用を、積極的かつ最も効果的にすすめる行動を発達させること。

(e) 開発の過程が参加型であり、開発の計画にすべての人々が参加することを保障するさらなる努力をすること。

(f)  ジェンダーに基づくもののみかたと、女性と少女がエンパワメントすることは開発の過程の大切な一部であ る。

(g) 発展の方策は、特別な要求を持っている人々と同様に、女性や子供たちの要求に焦点を当てた特別な対策が含まれなければならない。

(h) 紛争後の状況に置ける開発の援助は、紛争に関わるすべての人々を含めて、社会復帰、 再統合そして和解の過程を強化しなければならない。

(i) 天然資源の保全と再生を含めて、持続可能な環境を確かなものとするための開発方策や計画の力量を高めること。

(j) 自決の権利を実現する上での障害を取り除くこと。特に植民地、あ るいはその他の形での外国人の支配占領、社会的経済的な発展に影響を与えている外国の占領下に生活 している人々の障害を取り除くこと。

11 あらゆる人権の尊重を促進する行動

(a) 「ウイ−ン宣言」と行動計画を完全に実施すること。

(b) あらゆる人権を促進し擁護するための国内的な行動計画の発展を奨励すること。

(c) 国の人権擁護機関をはじめとして、人権 の分野において国内の組織と力量を強めるこ と。

(d) 「発展の権利に関する宣言」と「ウイ−ン宣言」ならびに「行動計画」で確立さ
れたように、発展への権利を自覚し実施すること。

(e) 「人権教育のための国連10年(1995-2004)」の目標を達成すること。

(f) 「世界人権宣言」をあらゆるレベルで普及し促進すること。

(g) 1993年12月20日の国連総会決議48/141で確立された国連人権 高等弁務官の権限と、その後の諸決議・諸決定で決められた責任の実行を、さらにより強く支えること。

12 女性と男性の間の平等を保障する行動

(a) あらゆる国際文書の適用にあたってジェンダーの視点を貫くこと。

(b) 女性と男性の平等を促進する国際文書をさらに実現すること。

(c) 第4回世界女性会議で採択された「北京行動綱領」を、適切な資源と政治的決意をもって実施すること。とりわけ、国内行動計画を、練りあ げ、実施し、徹底しなければならない。

(d) 経済的、社会的そして政治的意志決定において女性と男性の平等を促進すること。

(e) 女性に対するあらゆる形態の差別と暴力をなくすために、国連組織の関連した部局による努力をさらに強めること。

(f) 家庭、職場そして武力紛争時をふくめて、あ らゆる形態の暴力の犠牲になっている女性への援助と支援の対策を講じること。

13 民主主義的な参加を促進する行動

(a) 民主民主主義の原則と実践を促進するあ らゆる行動を強化すること。

(b) 学校教育・社会教育・家庭教育などあ らゆる学習の場において、民主主義の原則と実践を特に強調すること。

(c) 民主主義を発展・維持させる国内的な組織と過程の強化と確立をはかること。特に公務員の訓練と力量形成が重要であ る。

(d) 関係する諸国家の要請と、関連する国連の指針に基づく、選挙の協力の準備によって、特に民主主義的な参加を強化する。

(e) テロリズム、組織犯罪、汚職・腐敗、不法な薬物の製造・密売・使用、マネーローンダリング(不正資金浄化)とたたかうこと。それらは民主主義の土台を崩して、平和の文化の十分な発展を遅らせるからであ る。

14 相互理解、寛容、連帯を促進する行動

(a) 1995年の国連寛容年の「寛容の原則に関する宣言と行動実施計画」を実行す
ること。

(b) 2001年の「国連文明間の対話年」に関連する活動を支援すること。

(c) 地域固有のあるいは先住民による対立決着と寛容促進の実践と伝統を、そこから学ぶ という目的で、さらに研究すること。

(d) 社会全体、とりわけ弱い立場の人々との相互理解と寛容と連帯を強める行動を支援すること。 

(e) 「世界の先住民の国際10年」の目標の達成をさらに支援すること。

(f) 難民や避難民の自発的な帰還や社会的な統合を促進する目的を心にとめて、彼らとの寛容や連帯を促進する活動を支援すること。

(g) 移住者との寛容や連帯を促進する活動を支援すること。

(h) とりわけ新しい技術の適切な使用と情報の普及を通じて、全ての人々の間のより深い理解、寛容協力を促進すること。

(i) 人々の間と国内および国家間の相互理解、寛容、連帯、協力を促進する行動を支援すること。

15 参加型のコミュニケーションと情報や知識の自由な流れを支える行動

(a) 平和の文化を促進するメディアの重要な役割りを支持すること。

(b) 報道の自由および情報とコミュニケ−ションの自由を保障すること。

(c) 国連や関連する地域的、国内的、地方的な機構を含めて、平和の文化に関する情報の宣伝と普及のためのメディアを効果的に利用すること。

(d) さまざまなコミュニティが要求を表明し意志決定に参加することを可能にするマスコミを育てること。

(e) 新しいコミュニケーション技術とりわけインタ−ネットを含め、メディアの中の暴力問題への措置を講じること。

(f) インタ−ネットを含めた新しい情報技術についての情報の共有を促進する努力をさらにすすめること。

16 国際的な平和と安全を促進する行動

(a) 軍縮の分野での国連によって確立された優先順位を考慮しつつ、厳密で効果的な国際的なコントロ−ルのもとに、全般的完全軍縮(軍備撤廃)をすすめること。

(b) 平和の文化を推進するにあたり、できるところでは、世界のいくつかの国で取り組まれている「軍事から民事への転換」の努力に学ぶこと。

(c) 戦争による領土の獲得の不承認と、正義に基づく永遠の平和のために世界中のあ らゆ るところで働く必要性を強調すること。

(d) 交渉によって平和的な解決を導くために、信頼醸成の措置と努力を励ますこと。

(e) 不法な小火器や軽武器を製造したり売買したりさせないように手だてをとること。

(f) 紛争後の状況からおこってくる具体的な問題にたいして、国内的、地域的、国際的なレベルで自発的・積極的な構想とその実行を支えること。たとえば、軍隊の解体、戦闘員の社会復帰、難民や避難民の帰還、武器回収プログラム、情報交換、信頼構築な どがある。

(g) 国際法や国連憲章の精神に反するような一方的な措置を押さえ抑制すること。一方的措置とは、当事国に住む人々、とりわけ女性や子どもたちの経済的・社会的発達の十分な達成を遅らせるような措置であ り、人々の幸福を損ない、人権の十全な享受を妨げる。その人権には、すべての人の持つ権 利である、健康な生活のための最低基準の権利、および、食料や医療や必要な社会サ−ビスを受ける権 利がある。食料や医療の提供が政治的な圧力として使われてはならない。

(h) 国際法や国連憲章の精神である国家の政治的な独立や領土の保全に反する、軍事的・ 政治的、経済的あるいはその他いかなる形態の弾圧も、これを認めないこと。

(i) 制裁措置の民衆への影響をできるだけ小さくするという視点で、制裁における人道的に問題のあ る影響、特に女性や子どもへの影響の問題について、適切な配慮をするように勧告すること。

(j) 紛争の予防と解決に、女性のより多大な参加と活躍をすすめること。紛争後の平和の文化をすすめる行動の中では特に必要であ る。

(k) 紛争状態の中での、予防注射の促進と薬の配布キャンペ−ンための休戦日、人道的な 物資供給・配布を保障する平和の通路、病院や診療所などの健康や医療の施設の役割 を尊重する平和の聖域、などのような積極的・主体的な構想とその実行を推進するこ と。

(l) 国連や、関連する地域機構や、国連加盟国のスタッフにたいして、要請に応じ適切な場合に、紛争の理解と予防と解決のための技法のトレーニングを推進すること。

 

出典 http://homepage2.nifty.com/peacecom/cop/cop_actionplan.htm


安倍政権は、なぜ続くのか

2019年12月27日 07時00分57秒 | 社会・文化・政治・経済

2019年11月19日 NHK

安倍総理大臣の在任期間は、11月20日で第1次政権から通算2887日に達し、憲政史上最長となる。

支持する人、しない人、様々な立場はあると思うが、なぜ長期政権になったか、世論調査を分析すると見えてくるものがないだろうか。
今回、過去のデータを改めてひもといてみた。
(政木みき)

3度のピンチも・・・

安倍総理大臣の在任期間は2019年11月20日で、憲政史上、最長となる。
今回、分析に利用するのはNHKが毎月蓄積してきた世論調査の結果だ。

グラフは2012年12月に発足した第2次安倍政権以降の約7年にわたる支持率(2013年1月~2019年11月)である。

 
(注:現在の電話調査は18歳以上、固定電話と携帯電話を対象に行うRDD方式で行っているが、これまで2度、調査方法を変更している。変更の前後では単純な数字の比較はできないが、過去との大まかな傾向を比較する)

 支持率は発足直後に最高66%を記録するが、2015年安保法制の議論のとき、森友・加計問題で急落した2017年、2018年と大きくみて3度の局面で30%台に落ち込み、「不支持」のほうが多くなる事態に陥った。

ただ、支持率が下落するたび盛り返し、2017年7月に記録した最低支持率35%を下回ることはなく、2019年4月以降はおおむね50%近くを維持している。

第1次安倍政権の後、毎年のように変わった自民・民主の歴代政権末期の支持率が20%前後と低かったのと比べると、安定して30%を超える固定支持層が存在していることがみてとれる。

似てる?似てない?小泉と安倍

なぜ長い間にわたり政権を維持できたのか。平成時代のもう1つの長期政権、小泉政権の支持率の特徴と比べながら検証を進めたい。

回復のカギは「外交」と「選挙」

発足時の支持率が驚異の80%超、国民的人気を誇った小泉政権も、5年5か月の間には安倍政権同様、浮き沈みを繰り返してきた。

2つの政権には共通点がある。落ちた支持率が上昇に反転するときに、目立った外交の動きや選挙があったことだ。

まず外交でみると、小泉政権では「日朝首脳会談」が行われた後、2002年11月をピークに大きく上昇している。

他方、安倍政権では、2017年2月の58%の山に向かって支持率が上がっている。直近の2016年末から2017年はじめにかけて、日ロ首脳会談、オバマ大統領との真珠湾の慰霊訪問、トランプ大統領との初の日米首脳会談などといった外交イベントが重なり、有権者の期待感が高まったことも考えられる。

もう1つの共通点は衆議院の解散総選挙による回復だ。小泉政権で象徴的なのは2005年の「郵政選挙」である。

支持率は選挙の前後で47%から58%へと急上昇した。

一方、第2次から第4次の安倍政権では約7年で衆参合わせて5回もの国政選挙があり、うち2回が支持率が下がるなか安倍総理大臣が踏み切った2014年と2017年の解散総選挙である。

支持率は、2014年衆院選前後で47%から50%、2017年衆院選前後では37%から46%にアップし、戦略的に解散というカードを切り事態を打開しているのがわかる。

幅広い支持の小泉政権、固定支持層の安倍政権

男性と女性で分かれる支持

戦略的に長期政権を維持してきた2人の総理大臣。しかし支持率を詳しくみると、「誰が支持するのか」という点で大きな違いが浮かぶ。いわば幅広く支持を集める小泉政権に対し、特定の固い支持層に支えられる安倍政権だ。

わかりやすいのが男女の差である。小泉政権は男女の線が重なり男女の支持率の差が小さい。

安倍内閣は第2次政権以降一貫して男性が女性を上回る。男女差の平均は8ポイント。男女で好みが分かれる。

年代別でも違いがみられる。小泉政権の年代による支持率の差は一定程度でむしろ政権末期には縮小している。

これに対し、安倍政権では支持率が高い傾向の30代までの若い層と、低い傾向の高年層との差が徐々に広がり、第4次政権では差の平均が10ポイントを超えている。安倍政権では支持する人と支持しない人の特徴が年を追うごとに明確になっている。

自民支持層とそれ以外(支持なし層・野党支持層)で進む「二極化」

有権者の「二極化」がさらに顕著なのが支持政党別の結果だ。

「自民支持層」「野党支持層」、支持する政党を持たない「支持なし層」に分けてみると、小泉政権はこのような状態。

比較すると、安倍政権は、小泉政権に比べ支持なし層の支持率が低い。
むしろ野党支持層寄りになり、70%~90%台で高位安定する自民支持層との隔たりが大きい。

第2次安倍政権以降の支持率の平均で傾向をみると、自民支持層では80%を超えるのに対し、野党支持層と支持なし層はともに20%台と、60ポイント前後もの開きがある。しかも第2次政権と比べ、第3次・第4次政権では差が拡大しているのだ。

第2次安倍政権以降の支持なし層の支持率は40%台でスタートした後、2015年8月の14%で底を打ち2017年2月には39%まで回復する。しかし森友・加計問題で再急落した後、第4次政権ではほぼ20%台に沈んだままだ。

東京大学名誉教授の御厨貴さんは、こう分析する。


小泉さんは先手を打つんです。これからこういうことにしたいとか、全体の政治の流れをこういうふうに持っていきたいというときに、必ずそれに合うようなワンフレーズの言葉を入れて、みんなが何だろうと思ったところで、またぽんぽんと言っていくから自然とみんなそれについていくわけです」

 「安倍さんの場合、既に起こったことや何かについて、必ずそれに立ち戻ってこれはこうだったという説明をするわけです。そして追及されたことに関して最初ははぐらかす。はぐらかしがきかなくなってくるとついに逆襲するわけです。小泉政治というのはちょっとポピュリズム的なところがあって、あまり説明はしなくても『おい、行こうぜ』みたいなところで、みんなついていってしまう。だけど安倍さんの場合そういう風にはならない。絶対安倍さんが嫌だっていう層がいるから。だから安倍政治というのは、ポピュリズムだとは誰も思わない」

支持の理由 不支持の理由

「他の内閣よりも良さそうだから」 消極的支持への変質

第4次政権では全体の3割~4割を占める支持なし層での支持離れは政権にとって大きな痛手であるはず。でもなぜ選挙に勝ち続けられるのか。

「安倍内閣を支持する人の理由」をみると、「他の内閣より良さそうだから」という理由を挙げる人が政権の長期化とともに増え、2017年3月以降は支持する人の40%~50%に及んでいる。

安倍内閣を支え続ける底堅い支持の動機は、政策への期待でも実行力への期待でもなく、「他の内閣より良さそうだから」といういわば消去法の「消極的な支持」に変質している様子がうかがえた。

一方、「安倍内閣を支持しない人の理由」は、森友・加計問題などで支持率が落ち込む第3次政権末期から第4次にかけて「人柄が信頼できないから」が大きく伸び、「政策に期待が持てないから」をほとんどの月で上回っている。「政策」ではなく「人柄」が不支持のキーワードだ。

個別政策の評価などをみると、安倍政権では固定支持層と支持なし層それぞれを引きつける理由があることがみえてきた。

最も評価された「外交・安全保障」

直近の11月の調査で、これまでの安倍内閣の実績として最も評価していることを6つの政策課題の中から選んでもらった結果、最も多かったのは「外交・安全保障」の23%で、特に自民支持層では33%と3人に1人があげた。

背景の1つに安全保障環境の変化があげられる。北朝鮮が相次いで弾道ミサイル発射した後の2017年7月と9月の調査では8割超が不安を示し、政府が北朝鮮に対する厳しい措置や圧力強化を打ち出すと、「評価する」という人は半数を超え、自民支持層はさらに高い割合だった。

外交の他の項目をみると、たとえば日韓関係が悪化するなかでの「韓国を輸出管理優遇対象国から外す決定」について尋ねた2019年8月調査では「支持する」が55%、自民支持層では66%だった。こうした外交政策では全体でも一定の評価を得つつ固定支持層でさらに高い支持をつかんでいる。

看板の「アベノミクス」

安倍内閣で評価する実績を尋ねた質問で「経済政策」をあげた人の割合は4番目だったが、第2次政権以降、大胆な金融緩和と財政出動、成長戦略を打ち出した「アベノミクス」が自民支持層の結束を固めていると分析する識者もいる。

確かにアベノミクスについて、2016年7月の調査で「期待する」と答えた人は46%だったが、自民支持層では76%と高かった。この差はなんなのか。


一橋大学教授の中北浩爾さんは、「アベノミクス」こそが経済を大きくして成長をめざす自民党の伝統的手法への回帰であり、安倍政権は第1次から第2次政権で、小泉政権時代から受け継いだ「改革」から「成長」にシフトチェンジしていると指摘する。

 

そのうえで「『成長』というのは自民党の支持基盤にとっては受け入れやすい。特に国土強靭化とか公共事業とかいったことは小泉改革とか2000年代の民主党政権時代ではずっと否定されてきたわけですけど、成長はそういったことも含むわけです。『改革』という言葉は無党派層に届きやすい一方、敵を作る可能性もある。安倍総理は自民党のありかたというものを傷つけない範囲で改革を行い、自民支持層を固めているのが小泉政権との大きな違い」と話す。

安倍政権では消費税率の引き上げを2014年4月に8%へ、2019年10月に10%へと2度行っている。消費税率10%への引き上げの実施前、「どちらともいえない」を含む三択で賛否を聞いた結果、「反対」が半数を超えることはなかった。

 

過去の政権が苦労した消費税引き上げという課題についても乗り越えているのは、第2次安倍政権以降、日経平均株価が上昇したり、大学生の就職内定率が高い水準で続いていたりするといった状況のなかで、全体としても経済の安定について一定の評価があることが考えられる。

自民党の原点 憲法改正

固定支持層の支持固めとしては安倍総理大臣が意欲を示し続ける憲法改正もあげられるだろう。2019年7月の参院選前の調査では今の憲法を改正することについて「必要がある」、「必要はない」、「どちらともいえない」の3択で尋ねた結果、ともに3割程度で意見が割れた。

しかし自民支持層では「必要がある」が43%と全体に比べ10ポイント以上高い。世論調査の推移をみる限り、憲法改正について、国民全体の改憲機運の盛り上がりはみられない。しかし、それでも自民党結党以来の重要政策を掲げ続けることが、自民党支持基盤を固めているとみられる。

民主党政権の記憶

政権交代前夜で、民主党の存在感が増していた小泉政権時に比べ、安倍政権下では、野党への期待感の低さも特徴的である。

安倍政権下の2019年7月の参院選前の調査で「野党の議席が増えたほうがよい」と答えたのは約3割だった。野党支持層では7割近くに上ったが支持なし層では3割台にとどまった。支持なし層の安倍政権の支持率は低いものの、野党への期待も低いという状態だ。

7月の参院選の選挙戦で安倍総理大臣は「悪夢のような民主党政権」といった刺激的な言葉や「あの暗く低迷した時代」といった言葉を多用し、政権を担えるのは自民党しかないということを強調してきた。

支持なし層の政権に対する支持率が低くても、「民主党時代よりはまし」という暗黙の前提を有権者に醸成し、それが「他の内閣より良さそうだから」という消極的支持を引き出しているのだろう。

御厨さんはこう話す。


「『あの民主党政権』と言われたときに、ああ、あれよりは安倍さんいいよねという気持ちを起こされる。だから、あのときの政権交代というのは本当に安倍さんには有利に働いて、単にそこで政権交代しただけでなく後の選挙に全部効いてくる。だからある時期からもう安倍さんは不戦勝みたいなもので、戦わずして勝っているようなところがある

中北さんは次のように指摘する。


「『改革』を打ち出すことで熱狂的な支持を獲得してきた小泉総理に対し、安倍総理は、国民の熱狂的支持があるわけではないが、やっぱり消極的支持がある。民主党よりはましだ、経済もいいでしょ、政治も安定しているでしょということが下支えになっている」

単に政権の力だけでできたわけではなくて、民主党という対抗する最大勢力が失敗したっていう後にこそ出現したという感じでしょうか。それは安倍総理自身、相当意識してやられているし、また、民主党の失敗ということで国民も安倍政権がいいと。政権を戻しちゃいけないということで自民党も結束していくと。そういう中で安倍長期政権が成立したのではないかと」

選挙でも二極化 投票意欲が下がる支持なし層

有権者の二極化の進行、支持なし層の野党への失望が最終的にもたらしているのが投票意欲の低下であろう。

安倍政権下で毎年のように行われた国政選挙では、衆院選、参院選ともに投票率の落ち込みが目立ち、2019年7月の参院選の投票率は48.80%と半数を下回った。国政選挙前の調査でも、特に支持なし層で投票意欲や選挙への関心の顕著な低下が確認できる。

「必ず選挙に行く」という人は、支持する政党を持つ人で多い。投票に行く人と行かない人の二極化が進むなか、安倍政権は自らの支持層を固めて選挙に勝ち続け、政権を維持してきたのである。

死角は「風」?

では、安倍政権に死角はないのだろうか。ポイントの1つは他の選択肢が生まれるかどうかだ。2019年7月の参院選では、選挙直前に発足した「れいわ新選組」は比例代表で得票率4.6%、2議席を獲得し、れいわ旋風とも称された。


2017年の衆院選前、自民党に変わる政権政党を目指す「改革保守」の旗を掲げて発足した「希望の党」の例もある。


小池百合子東京都知事のもとで発足した直後にもかかわらず、衆院選前の調査の支持政党の質問では5%前後の支持を集めた。

希望の党はその後解党し、れいわ新選組の支持の広がりも現時点ではみられない。しかし、自民党に代わる選択肢が出て「風」が吹けば、長く続いた安定に変化が起きる可能性もありうる。

有権者の信頼を損ない、身内の支持まで失ったり、支持なし層のさらなる支持離れが起きたりしても状況は変化するだろう。

2019年10月に改造直後の安倍内閣で2人の大臣が相次いで辞任したのもつかの間、11月に入ると総理大臣主催の「桜を見る会」のありかたが大きな問題となっている。


いずれも政権は即座に大臣を更迭したり、桜を見る会の中止を決定したりして、問題の収拾を図ろうとしているが、長期政権の緩みとの批判は根強い。

こうしたさまざな要素が絡み合い、選挙で変化をもたらす重要な要素となるのが投票率の向上だ。ずっと選挙で勝ち続けてきた安倍政権。しかし、支持なし層の支持は低く選挙での投票率は低い。有権者の4割から5割は投票さえしていない選挙が続いている。

「選挙での選択」について有権者の関心が上向き、残りの有権者が選挙に行くような事態になったら・・・盤石にもみえる政治状況に変化が起きるかもしれない。

選挙プロジェクト記者
政木 みき
1996年入局。横浜局、首都圏放送センター、放送文化研究所世論調査部を経て現在、政治意識調査を担当。