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漱石は、ホイットマンの「独立精神」を称揚

2019年01月26日 21時55分39秒 | 社会・文化・政治・経済

イギリスから独立したアメリカの思想に夏目漱石が共感を示した点である。
この彼が共感をもって受容したアメリカの思想こそ、ホイットマンの文学に浸透していた民主主義思想に他ならない。
アメリカ民主主義のもつ個人主義的性格は、ホイットマンに先立ち、エマソンによる自
恃論のなかにも垣間見ることができる。
 『民主主義と教育』(Democracy and Education)の著者でも知られる、プラグマティズムの哲学者デューイ(John Dewey,1859-1952)は、エマソンを「民主主義の哲学者」と呼ぶ。

「自己の個性の発展を遂げようと思うならば、同時に他人の個性も尊重しなければなら
ない」、「自己の所有している権利を行使しようと思うならば、それに付随している義務というものを心得なければならない」、「自己が全力を示そうと願うならば、それに伴う責任を重んじなければならない」である。
組織に所属する者にはなかなか判らない見識かもしれないが、漱石が提示する「個人主義」は決して自分勝手に何をしてもよいというものではなく、常に自己責任と義務を伴うものであり、また同時に他人の個性をも尊重しなければならないものでもある。
ここでは、自分が生きる道は他人に従い、他人の価値観によって引きずられて生きるのではなく、自分で見いだすと説かれている。
そのうえで、その出発点に立てたら、自分の仕事に邁進することが大事であり、そ
うしなければ一生の不幸であると述べている。
 1892年10月に漱石は「文壇における平等主義の代表者『ウォルト・ホイットマン』の詩について文章を著す。
漱石は、ホイットマンの「独立精神」を称揚し、その「独立精神」から自身の「個人主義」の形成に大きな影響を受ける。
彼は西洋人の近代的個人主義に感化
されながらも、無批判な西洋化の風潮を拒絶する
一方、帰国後は日本の封建主義の残滓という「世
間」から脱皮を図ろうと試みる。
他人本位というのは、自分の酒を人に飲んで貰って、後からその品評を聞いて、それを
理が非でもそうだとしてしまういわゆる人真似を指すのです」。
 「私の個人主義」の中では、漱石はイギリス留学中に自分の生きるべき道を決めたと述懐しているが、この作品のライトモチーフは、「自己本位」とは何かを立証することであった。
 その後、心の内部を掘り下げながら、近代的自我をぎりぎりまで追求した漱石が最後にたどり着いた境地は、「許す」ことを理想とする立場であった。
それは晩年に彼の揮豪に見られる「則天去私」の思想に通ずる。
個人の自我を超えた大きな存在(天)に、自分を委ねる生き方である。
天に委ねることで人に寛容であり、何ものをも包摂できるという、ある種の悟りであった。


社会の繁栄と平和の実現

2019年01月26日 21時12分55秒 | 社会・文化・政治・経済

自己の安らぎのみを願って、自己の世界にこもるのでなく、人びとの苦悩を解決し、社会の繁栄と平和を築くことを願っていく。
周囲の人びとを思いやる心は、必然的に、社会建設への自覚を促し、行動となっていかざるを得ない。
そこで、大事になってくるのが、そのために、現実に何かするかである。
実践がなければ、すべて夢物語であり、観念だ。
生命の尊厳という哲理を、人びとの胸中に確立し、社会の基本原理としていくことだ。
社会の繁栄と平和の実現することだ。
民衆一人一人の幸福を離れて社会の繁栄はないという基本的な理念。
「対話の姿勢」「対話の精神」は、さまざまな紛争を解決し、調和の世界を構築する<宝の道>である。
<一対一の対話>は、地味で、目立つことのない労作業かもしれない。
しかし、この「対話の道」こそ、崩れない平和を築く<宝の道>なのだ。


由紀 坂口安吾碑へ

2019年01月26日 15時38分01秒 | 創作欄

「何処へ行こうか?」と徹は由紀に尋ねながら、別れた姫木順子に指摘され言葉が蘇った。
「何時も、私に聞くのね。<何処へ行こうか?>って、女は男の後に着いていくのものなのよ」
順子は如何にも昭和の女である。
言われてみれば、デートに誘ったのが男の徹である。
映画を観るとか、美味しい物を食べに行くとか、予め決めていて当然。
「聞かれて私、困っちゃうのよね」順子に徹を紹介した従兄の酒田直喜に不満を述べたそうだ。
3回目のデートの後、順子は徹に愛想を尽かす。
「徹さん、坂口安吾知っている?」
徹は改めて由紀の横顔を注視する。
「安吾を知っているんだ」と驚く。
「私、精神病院に入院したことがあるの。読書室に安吾の小説があって、初めて本を手に取ったの。安吾の安の文字に興味が湧いて、読んでみたくなったの」
「・・・・」徹は沈黙した。
「安吾は、新潟生まれでしょ。ゆかりの場所があったら行ってみたいな」
徹は学生時代から安吾のファンだった。
安吾の生家が現存していたら、行ってみたいと思った。
彼は新潟駅万代口観光案内センター(駅前)を駅員から教えられた。
そして、2人は教えられたとおり、徒歩で寄居浜を見下ろす砂丘に建つ坂口安吾碑へ向かった。
この砂丘を少し下った西大畑町で安吾は生まれた。
「心が踊るな」と由紀は石碑に興奮した。

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碑文の「ふるさとは語ることなし」は、地元の放送局の丸山一に贈られた色紙の言葉。
色紙は3枚あって、順に、
「雪も新潟の 雪は変に親切 すぎる」 
「コタツはガサツで 親切すぎてイヤなものだが あたらぬわけにもいかぬ 悲しい新潟」
そして、「ふるさとは 語ることなし」。 

3枚の色紙から「ふるさとは 語ることなし」を選んだのは檀一雄だとか。
この言葉の意味に関しても、さまざまな解釈がなされてきた。

「中学校をどうしても休んで海の松林でひっくりかえって空を眺めて暮さねばならなくなってから、私のふるさとの家は空と、海と、砂と、松林であった。そして吹く風であり、風の音であった。」(坂口安吾『石の思い』)とあるので、この詩碑の配されたシチュエーションは、まさに安吾好みかもしれない。

(生家跡の近くに鎮座する新潟大神宮の参道に「安吾生誕碑」がある。)
「石の思い」「ふるさとに寄する讃歌」などを読むと,安吾が少年時代を過ごした海辺の風景がよみがえる。
碑の正面には「ふるさとは 語ることなし 安吾」と彫られ,側面には尾崎士郎名の建立趣意が刻まれている。(1957年に除幕式がおこなわれた。)
中学校をどうしても休んで海の松林でひっくりかえって空を眺めて暮さねばならなくなってから、私のふるさとの家は空と、海と、砂と、松林であった。そして吹く風であり、風の音であった。
……学校を休み、松の下の茱萸(ぐみ)の藪陰にねて空を見ている私は、虚しく、いつも切なかった。
(坂口安吾「石の思い」1946年)
新潟市中央区西船見町,JR 新潟駅から徒歩40分)

坂口安吾文学碑(護国神社)

坂口安吾文学碑(護国神社)



原発災害からの再生

2019年01月26日 13時29分16秒 | 社会・文化・政治・経済

福島原発事故後の親子の生活と健康
に関する調査報告書(2018 年)

原発事故後の生活変化とコミュニティ分断の実態 (特集 われわれは何をなすべきか : 東日本大震災と心理学の5年間を振り返る) -- (コミュニティの分断の問題)

子どもの適応と精神的健康は年々、支援の必要性が低くなっている
子どもの適応と精神的健康について、国際的に広く利用されているSDQ日本語版を使って評価しています。SDQ日本語版は「情緒」、「行為」、「多動・不注意」、「仲間関係」、「向社会性」の5領域からとらえます。

「情緒」は抑うつや不安など情緒の問題、「行為」は反抗挑戦性や反社会的行動、「多動・不注意」は不注意や集中力の欠如、「仲間関係」は友人からの孤立や不人気など、「向社会性」は協調性や共感性をそれぞれ意味
>します。「向社会性」のみ点数が低いほど、それ以外の項目は点数が高いほど、支援の必要性が高いことを示します。
これまでの経年変化とMoriwaki Aらの全国の小学1年から3年生9,968名を対象とした調査結果(赤)*1を示しています。ほとんどの項目において小学校入学前と比べ、入学後は支援の必要性が低くなっています。ただ、全国の小学1年生から3年生の結果と比較すると、とりわけ、福島の子どもの「行為」の領域において支援の必要性が高いという結果が示されました。
子どもの健康状態は「良好」が続いている
「良い」と「まあまあ良い」を合計した割合は 2014 年以降、続けて 95%を超えており、良好な状態であることがわかります。
子どもの症状のうち「頭痛」が年々増加傾向にある
身体症状は、ほとんどの項目で減少、あるいは横ばい傾向にありますが、「頭痛」に関しては年々増加し、2016 年の全国調査を上回っています。「皮膚のかゆみ」「疲れやすい」「食欲不振」「眠れない」に関しても、全国調査より高い値になっています。
母親の健康状態もおおむね良好
母親の健康状態について「良い」と「まあまあ良い」を合計した割合は、2015 年以降継続して 8 割を超えており、おおむね良好であることがわかります。
母親の症状の上位 3 位は昨年同様「肩こり」「頭痛」「腰痛」

母親の心の状態は安定している
下記 6 項目は、心の健康状態を調べる際に広く利用される指標(K6)です。原発事故直後から半年後にかけて母親の心の状態は不安定であったが、その後、安定してきました。

ただ、「神経過敏」「気分が沈み込む」「何をするのも骨折り」の 3 項目で「いつも」「たいてい」「ときどき」が 2 割以上あることを今後も注視したいと考えています。
災害後の心の健康状態という点では、まだ影響が残る
下の項目は、災害後に特化した心の健康状態を調べる指標(SQD)です。

一般的な心の健康状態を評価する指標(K6)だけをみると、福島の母親の心の状態は安定しているようにみえますが、6 割以上の母親が「イライラ・怒りっぽい」「疲れやすく身体がだるい」と訴えており、「寝つけない・途中で目が覚める」も約 4 割が感じています。
放射能汚染の深刻度は徐々に緩和されているが、依然 3 割の方が深刻
「お住まいの地域の放射能汚染について、どの程度深刻だと考えているか」については、「深刻ではない」「あまり深刻ではない」が増加傾向です。

一方、事故から 7 年が経過しても、ほぼ3割の方が「深刻」「ある程度深刻」だと考えています。
保養に「出かけていない」方が増加する一方、一定割合の方は「よく出かける」
昨年から「出かけていない」という回答がもっとも多くなり、「たまに出かける」方も
減少しています。ただ、「よく出かける」方も一定割合を保っています。
「補償不公平感」「情報不安」が増加
原発事故後の生活変化には 5 つの傾向が確認できます。
1 つめは、事故後 7 年が経過しても約 6 割の人が「あてはまる」と回答している項目
(「補償をめぐる不公平感」「放射能の情報に関する不安」)です。昨年に比べて増加。
2 つめは、ゆるやかな減少傾向にありながらも約 4 割から半数近くの方が「あてはま
る」と回答している項目(「健康影響への不安」「経済的負担感」「保養への意欲」「子
育てへの不安」)です。
3 つめは、「あてはまる」が急激に減少し、その後、横ばいとなっている項目(「地元産の食材を使用しない」「洗濯物の外干しをしない」「避難願望」)です。
4 つめは、事故直後から該当者が少ないながらも、一定の割合で推移している項目
(「放射能への対処をめぐって配偶者、両親、周囲の人との認識のずれ」)です。
5 つめは、「いじめ・差別への不安」は、一昨年までは上記の「2 つめ」の傾向に該当していましたが、昨年の福島からの避難者へのいじめ報道の影響で急増し、今年は横ばいとなっています。

甲状腺検査の「現状維持」と「拡充」を求める声が 9 割
甲状腺検査を「拡充したほうがいい」という回答は、「縮小したほうがいい」を大きく
上回っています。また、「その他」の意見の代表的なものを以下に記します。
「他県のデータがないので、普通なのかそうでないのか分からない。」「大人も(検査
の)対象にしてほしい。」「信用していないので個人的に医療機関や保養先で受けさせて
います。」「市町村により健康の基準や検査内容が違いすぎる。」
「他県でも受けやすくしてほしい。」
「希望者のみでも良い。」
「他の県民もやってほしい。」
「もっと回数を増やしてほしい。」
「画像をちゃんとみながら説明してほしい。」
市町村、福島県への評価は徐々に改善
原発事故後の取り組みについては、「市町村」「福島県」は半数以上の方に評価されています。

また、「国」に対しても 3 割の方が評価すると回答しています。

一方、「東京電力」については、2 割程度の評価にとどまっています。
居住意思は「住み続けたい」が圧倒的に多い
現在の地域での居住意思では、「ずっと住み続けたい」「当分住み続けたい」の割合が9 割以上に上る一方で、「できれば引っ越したい」「すぐ引っ越したい」も約 1 割の方にみられました。
地元への愛着、誇り、人間関係の良さなど肯定的な回答が多い事故前の水準にはまだ戻っていないものの、原発事故後、低下した地域愛着度は回復しつつあります。


【お問い合わせ先】
福島子ども健康プロジェクト
〒470-0393 愛知県豊田市貝津町床立 101 中京大学 成元
そんうぉん

ちょる
研究室
電話&FAX:0565-46-6516(直通)
e-mail:sungwonc@sass.chukyo-u.ac.jp
ホームページ:https://fukushima-child-health.jimdo.com/


【報ステ】統計不正“身内”調査で追加調査へ

2019年01月26日 11時59分58秒 | 医科・歯科・介護

テレビ朝日

毎月勤労統計の不正問題で、根本厚生労働大臣は25日、特別監察委員会による“追加調査”を行うことを明らかにした。

今月22日に厚労省幹部らから聞き取りをした調査結果が公表されたが、この聞き取りを行ったのが第三者の特別監察委員ではなく、厚労省の職員、つまり“身内”だったというケースも多く含まれていた。

追加調査では、これまで実施していなかった東京都への聞き取りも行う方針だという。
厚生労働省による不正統計問題を受け、総務省は各省庁の基幹統計を点検し、22の統計で不適切な事案があったと発表しました。

 三宅政策統括官:「毎月勤労統計のように重大な事案はなかったということは確認できたが、その他の事項についてこうした点が確認できたということは非常に残念」
 総務省は56あるすべての基幹統計を点検し、22の統計で記載ミスのほか、統計の抽出方法が国が認めている方法と異なっているなど不適切な事案があったと明らかにしました。

しかし、毎月勤労統計のように国民生活に直接影響を与える問題はなかったということです。

総務省は今後、新たな専門部会を設置し、233ある一般統計についても検証することにしています。


勤労統計で公明・山口代表「政治家の責任も議論を」[2019/01/24 19:17]


公明党の山口代表は厚生労働省の毎月勤労統計が不正に調査されていた問題について、政治家の責任も問う必要があるという考えを示しました。

 公明党・山口代表:「職員の処分の方向性というものは示されました。これらの結果に基づいて、その政治家の監督責任の在り方についても今後、議論されてしかるべきだと思っています」
 山口代表は党の会議でこのように述べ、職員だけでなく歴代の厚生労働大臣の責任を問う必要があるという認識を示しました。

そのうえで山口代表は、今回の問題の原因究明について「国会論議を通じて深掘りされていくべきだ」と指摘しました。

また、政府が実施している他の統計についても「国民の信頼確立を目指して議論をしていかなければならない」と話しました。

「毎月勤労統計」不正 厚労事務次官ら幹部22人処分[2019/01/22 18:42]


不正統計問題を巡り、根本厚生労働大臣が事務次官ら幹部を訓告処分などとすると発表しました。

 根本匠厚生労働大臣:「今回の処分は統計の信頼を毀損することや国民に大きな影響を与える事態になった。厳正な処分を行ったものであります。

組織をあげて再発防止に取り組んで参ります」
 厚生労働省の毎月勤労統計調査を巡る特別監察委員会の調査結果を受け、根本大臣は鈴木俊彦事務次官を訓告処分にし、ほか21人の幹部らを訓告や減給などの処分にすると発表しました。

また、根本大臣ら政務三役も就任時からの給与などを自主返納するなどとしています。


異例の閣議決定やり直し 勤労統計不正で予算修正[2019/01/18 11:46]
 厚生労働省による毎月勤労統計の不正問題で、雇用保険などで追加の給付が必要となったことから、政府は異例となる来年度予算案の閣議決定のやり直しを行いました。

 麻生財務大臣:「1回決まった話をもう1回やり直すというのはいかがなものかと、隠してそのままいっちゃうよりは良いんじゃないかなと考えるしかない」
 厚労省が2004年以降、毎月勤労統計の調査対象を不適切に少なくしていた問題で、延べ2015万人に対し、雇用保険や労災保険など560億円余りが少なく支払われていたため、国は不足分を追加で給付する方針です。

これらは主に保険料収入を積み立てた特別会計から支払われますが、雇用保険の一部は国が負担する仕組みのため、来年度の一般会計の総額に6億5000万円を上乗せして、18日に閣議決定をやり直しました。

こうした事態は極めて異例です。

必要となる財源は、新たに赤字国債を発行して賄います。


日本で猛威振るうインフルエンザ

2019年01月26日 11時19分42秒 | 医科・歯科・介護

韓国ではタミフルの副作用が問題に

1/26(土) 9:22配信 朝鮮日報

日本全国でインフルエンザとみられる患者数が200万人を越え、47都道府県全てで「インフルエンザ警報」が発令された。NHKが25日に報じた。患者の中には建物の窓から飛び降りようとする異常行動も100件近く報告されたという。


 日本の厚生労働省によると、今月20日までの1週間にインフルエンザに感染したとみられる患者数は213万人に達した。

とりわけ今月22日に東京の目黒駅で線路に落下して死亡した30代女性と、埼玉県でマンションの3階から転落した小学6年生の男子児童はいずれもインフルエンザに感染していたことが確認され、異常行動に対する警戒も強まっている。

 厚生労働省によると、2017-18年にインフルエンザが流行した際、突然走り出したり窓から飛び降りたりする異常行動は95件報告されたが、その中には10歳前後の幼い子供が特に多かったという。

またこれらの異常行動を起こした患者のほとんどはタミフルなどインフルエンザ治療薬を服用していたこともわかった。

ただその一方で20パーセントは何も服用していなかったことも確認され、薬と異常行動の因果関係は今のところ完全には解明されていない。

 韓国国内でも同じような事例が報告されている。昨年12月には釜山でインフルエンザによりタミフルを服用した女子中学生がマンションの12階から飛び降りて死亡した。

女子中学生の家族は「タミフルによる幻覚症状が原因」と主張している。食品医薬品安全処に報告されたタミフルによる副作用の件数は2012年には55件だったが、それが16年には257件へと一気に増加し、昨年は9月までの時点で206件報告されている。

 副作用とみられる症状は主に吐き気や下痢、めまいなどだが、中には幻覚の症状も2014年から昨年9月まで12件報告されている。

ソウル大学病院感染内科の呉明燉(オ・ミョンドン)教授は「インフルエンザに感染したからといって無条件タミフルを服用すべきと考えてはならない」と指摘する。

09年に新型インフルエンザが韓国で流行した際「インフルエンザ治療薬はタミフル」という認識が定着したが、今回のような季節性インフルエンザではタミフルを服用する必要はないという。

呉教授は「心臓などの慢性疾患を抱えた患者は季節性のインフルエンザでもタミフルを服用すべきだが、普段から健康な人はタミフルではなく安全性が確認された薬を服用した方が良い」と説明した。

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NHK

全国でインフルエンザが猛威を振るっている。 この冬の特徴は感染拡大のスピードの速さ。

老人保健施設での集団感染や、幼い子供の死亡が相次ぎ、インフルエンザ警報を発する自治体も急増している。

東京都では公立校の患者数の累計は9万人を超え、昨年の40倍。「学校閉鎖」も続出した。数年前、特効薬といわれる「抗ウイルス剤」が登場したが、今年は予想外の流行に生産が追いつかず、幼い子供を持つ親の間に不安が広がる事態も起きた。

しかし専門家が危惧しているのは「新型ウイルスによる大流行」だ。かつて世界で2000万人以上が死亡したといわれるスペイン風邪のような事態は「いつ起きてもおかしくない」という。 インフルエンザをめぐる現状と研究の最前線を追う。

最近、大規模な温泉施設におけるレジオネラ菌の集団感染事故が多発している。感染による肺炎で、毎年10人をこえる死者が出ており、現在、厚生労働省は全国で入浴施設の一斉調査が行っている。

調査が進む中で明らかになってきたのは、大規模な温泉施設における衛生管理の予想外の難しさ。こうした施設では循環式という浴槽水を繰り返し循環させて使う方式が多い。

この循環式の施設では、レジオネラ菌の温床となる“生物膜”ができやすく、規定通りの塩素殺菌を行っていても、大量の入浴者が入ると菌が増殖してしまうのだ。

しかも、塩素を大量に投入すると温泉の泉質が変わってしまうことや、アルカリ性の温泉では塩素が効かないといった問題点も指摘されている。 レジオネラ菌の感染事故を防ぐためには何が必要なのか。温泉施設における感染の実態と対策を探る。