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氷河期世代 1700万票

2025年07月03日 08時46分54秒 | 社会・文化・政治・経済

【詳しく知る参議院選挙の争点】就職氷河期世代

7月20日投開票の参議院選挙で重要な論点になるとみられる政策や課題をお伝えする「争点ひとくちメモ」。

今回は「就職氷河期世代」です。

バブル経済崩壊後の雇用環境が厳しかった1993年から2004年ごろに就職活動を行っていた人たちを、国は「就職氷河期世代」としています。

全国に1700万人以上いるとされ、正社員を希望しながらかなわず不本意でアルバイトや派遣社員として働く「不本意非正規」が社会問題となり、国は2024年度までの5年間、集中的に支援しました。

内閣府によりますと、支援を始める前の2019年と去年を比較すると、この世代の人は会社役員を含めて正規雇用の労働者が975万人から31万人増えて1006万人に、「不本意非正規」は46万人から11万人減り35万人になったとしています。

一方、現在の年齢はおおむね30代後半から50代前半になり、厚生年金の加入期間が短い人がいて、上の世代に比べて金融資産が少ないというデータもあります。

また、厚生労働省の調査では若年層と比べて賃金の伸びが小さくなるなど、老後に対する不安を抱える人が少なくありません。

政府はことし6月、この世代を対象とした新たな支援プログラムの枠組みをまとめ、家計の改善や資産形成の支援に取り組むとともに、リスキリング=学び直しの支援の拡充などに取り組むことを検討しています。

今回の選挙では、就職氷河期世代の今後の支援のあり方も争点になる見通しです。

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公明党 「集票マシン」限界

2025年07月03日 08時40分48秒 | 社会・文化・政治・経済

【カリスマ・池田大作氏を失った創価学会】公明党にとって次回総選挙は“弔い合戦”、票を伸ばす可能性も 結果次第で自公連立解消あるか

公明党との関係はどう変わる?(左から創価学会・原田稔会長、公明党・山口那津男代表/時事通信フォト)

公明党との関係はどう変わる?(左から創価学会・原田稔会長、公明党・山口那津男代表/時事通信フォト)

 池田大作・名誉会長亡きあとの創価学会はどこへ向かうのか。宗教学者の島田裕巳氏と『宗教問題』編集長の小川寛大氏は、カリスマ不在の中、自公連立の解消など政界再編の動乱につながる可能性を指摘する。【前後編の後編。前編から続く

島田:直近で組織の今後を占う出来事となりそうなのが、やはり次の衆院選でしょう。創価学会は公明党の「集票マシーン」とも言われていますが、国政選挙での公明党の比例票は2005年の898万票をピークに下降傾向にあり、2022年は618万票でした。この10数年、選挙の度に一貫して得票数が減っていますが、池田氏の死でこれがどうなるか。得票数や議席が大きく落ちれば、創価学会ならびに公明党にとって組織的な大打撃となります。

 とりわけ1世の学会員は池田氏を尊敬し、ボランティアで聖教新聞の配布や選挙活動に勤しみ、連立を組む自民党の票を稼ぎ出してきました。そうした70~80代の学会員が選挙活動から手を引いた場合、残された2世や3世が積極的に選挙を手伝うとはなかなか考えにくい。

小川:私が知る学会員は「高齢で体が動かずつらい」とこぼし、2022年の参院選を「池田先生への最後のご奉公」として選挙活動に励んでいました。池田氏の死を機に選挙から身を引く人は少なくないはずです。ただし学会員には「負けじ魂」があるので、次回選挙を池田氏の弔い合戦と位置付け、組織を総動員して得票数を伸ばす可能性も捨て切れません。その意味では、池田氏が亡くなった記憶が鮮明なうちに解散総選挙があるかどうかがポイントでしょうね。特に関西は日本維新の会が勢いづいており、原田会長はこれを意識して結束を呼びかけている。熾烈な戦いになりそうです。

島田:1999年に自公連立が始まって四半世紀が経過し、自民党は創価学会の票にかなり依存するようになっている。さらに自民党は現在、派閥の裏金問題で対応に追われ、支持率も下落し続けています。こうした状況のなかで創価学会の票が減ったら、自民党の議席にも大きな影響が出てくる。そうなると、自公連立の解消もあり得るでしょう。池田氏の死をきっかけに政局が一気に流動化すると言えます。

小川:もともと選挙目当ての連立で、イデオロギーや政策でつながっているわけではなく、創価学会票がガンガン減るなかで連立の意味が薄れている。自公政権が瓦解するXデーは早い段階で訪れるかもしれません。個人的にはカリスマ指導者を失った創価学会は選挙にだけ過剰な力を入れる姿勢を改め、本来の仏教団体として再構築したほうが長期的に生き残れると思います。でも、そうする動機も機運も乏しいから難しいでしょうね。

(了。前編から読む

【プロフィール】
島田裕巳(しまだ・ひろみ)/1953年、東京都生まれ。1976年に東京大学文学部宗教学科を卒業し、1984年に同大学大学院人文科学研究課博士課程を修了。放送教育開発センター助教授などを歴任。現在は東京女子大学非常勤講師を務める。

小川寛大(おがわ・かんだい)/1979年、熊本県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。宗教業界紙『中外日報』記者を経て、2014年に宗教専門誌『宗教問題』編集委員、2015年に同誌編集長に就任。

※週刊ポスト2024年1月12・19日号


公明党 生活支援に全力

2025年07月03日 08時37分46秒 | 社会・文化・政治・経済

公明 “減税と給付組み合わせた物価高対策 住宅手当の創設を”

公明党は26日、参議院選挙の公約を発表しました。減税と給付を組み合わせた物価高対策に加え、所得の低い人や子育て世帯を対象にした住宅手当の創設などを打ち出しています。

公明党の公約は、物価高の克服、現役世代の所得の増加、社会保障の充実などを主要政策と位置づけています。

物価高対策では、減税と給付を組み合わせた「生活応援」を掲げ、減税では、子育て世帯の負担軽減に向けて、扶養控除を見直す形で所得税を減税するほか、ガソリン税の暫定税率を廃止し、当面、補助金による支援を継続するとしています。

給付については、自民党と足並みをそろえ、税収の増加分などを活用し18歳以下の子どもと住民税非課税世帯の大人に4万円、それ以外の国民には2万円を給付する方針を明記しています。

また、所得の低い人や子育ての世帯を対象に家賃を補助する住宅手当の創設を盛り込みました。

農業政策では、安定供給のためコメを増産するとともに、価格が急落するおそれがある場合は、政府による備蓄米の買い戻しで流通量を調整し、農家を守るとしています。

また防災対策では、避難所としても使われる小中学校の体育館のエアコン設置を加速するとしています。

一方、食料品を対象とする消費税の軽減税率の扱いについては、物価高対策のための一時的な引き下げは非効率で適切ではないとしつつも生活の安心につなげていくため、引き下げを検討していくとしています。

公明党の斉藤代表は記者会見で「国民の命と暮らしを守り、一人ひとりの生活を豊かにしていくための政策を掲げた。『物価高を乗り越える経済と社会保障の構築』を全体を貫くテーマとする。『やると言ったら、やり切る』ことを国民に約束すると強く訴えていく」と述べました。


参議院選公示 公明党アピール

2025年07月03日 08時28分02秒 | 社会・文化・政治・経済

2019年7月4日

参院選公示 党アピール

「小さな声を、聴く力。」で公明が希望の未来築く

本日、第25回参議院選挙が公示され、7月21日の投票日に向けて舌戦の火ぶたが切られます。公明党は、7選挙区(埼玉・東京・神奈川・愛知・大阪・兵庫・福岡)の完全勝利と比例区は6議席以上、合わせて13議席以上の獲得をめざし、きょうより17日間、死力を尽くして戦ってまいります。選挙区と比例区ともに、し烈な選挙戦になりますが、全国の有権者の皆さま、党員、支持者の皆さまの力強いご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

今回の参院選は、令和に改元されてから初めて行われる国政選挙であり、新しい時代を担うにふさわしい政党や政治家を決める重要な選挙戦となります。新時代の日本が直面する最重要の課題は、人口減少と少子高齢化の同時進行という世界に例のない難局を乗り越え、明るい未来を切り開いていくことです。自公連立政権は現在、子育て支援から老後の安心までを見据えた全世代型の社会保障に取り組んでおり、幼児教育・保育の無償化、私立高校授業料の実質無償化、大学や専門学校など高等教育の無償化という「3つの無償化」がスタートします。高齢者支援策として、低年金の高齢者の年金支給額は最大で年6万円上乗せされ、所得の少ない高齢者の介護保険料は軽減されます。いずれも公明党の主張が実を結んだものです。

公明党は今回の参院選に、4つの柱からなるマニフェスト(政策集)を掲げました。第1に「身を切る改革の先頭に」です。消費税率の引き上げで国民に負担をお願いすることから、国会議員歳費の10%削減に取り組みます。第2に「経済を再生し、安心の福祉を」です。最低賃金の引き上げによる経済の好循環の加速や、高齢者の就労意欲を高める在職老齢年金の見直しを進めます。第3は「希望ある“幸齢社会”へ」です。特に安全運転サポート車の購入支援やコミュニティーバスの整備などによる「新たなモビリティ(移動)サービス社会」をめざします。そして第4は「一人の生命を守り抜く」です。防災・減災・復興を政治はもちろん社会の主流に押し上げ、世界一災害に強い「防災大国」を構築します。これらの政策を実現するため、公明党は今回の参院選に断じて勝利する決意です。

国際的に社会の分断が深刻化する中、日本の社会的、経済的安定は際立っているといわれ、とりわけ「小さな声を、聴く力。」を持つ公明党が政権の一翼を担っていることによって、政治に国民の信頼と希望が生まれ、安定につながっていると多くの識者が評価しています。この政治の安定を確かなものとして、国民の暮らしを守り、希望ある日本の未来を築くため、何卒、公明党に絶大なご支援を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

2019年7月4日  

公明党


脱・レジーム(体制)と財政法改正

2025年07月02日 13時23分46秒 | 社会・文化・政治・経済

●財政法の一部を改正する法律案

  財政法の一部を改正する法律案

 財政法(昭和二十二年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

 第十六条の次に次の一条を加える。

第十六条の二 内閣は、我が国の経済及び財政等に関する将来の推計を信頼性のある統計等の情報に基づき中立公正に実施するための経済財政等将来推計委員会の設置に関する法律(令和五年法律第▼▼▼号)第十条第一項各号に掲げる事項についての推計の結果を踏まえ、三年ごとに、翌年度以降の三箇年度における予算の作成の基本的な方針を定めなければならない。

日本の財政を考える上で、避けて通れない問題の一つが「財政法4条」の存在です。
1947年に制定されたこの条文は、国の借金に関する重要な原則を定めていますが、現代の財政状況においてこの条文が足かせとなっているという見方があります。
今回は、財政法4条とは何か、なぜ問題視されているのか。

連合軍総司令部(GHQ)が日本の財政自主権を取り上げるためだった?!

財政法第4条(ざいせいほうだい4じょう)とは、日本の財政法での以下の条文[1]

  • 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。
  • 但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる[2][3]
  • (第2項)前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない

ユダヤ人とイスラエル人

2025年07月02日 13時01分48秒 | 社会・文化・政治・経済

中東や北アフリカまどの出身とする、ミズラヒ系。

建国60年を過ぎた今日、かつては少数派だった中東・北アフリカ出身のユダヤ人(ミズラヒ)が、高い出生率によって、人口の6割強を占めるまでに増大しました。 アシュケナジーユダヤ人です。 彼等はエリート層。 一斉に反ユダヤ感情が高まりました。 今イスラエルに暮らすミズラヒは、この時に亡命してきた60万人の難民とその子孫です。 アラブ系に対して恨みを抱く人々です。 対パレスチナ強硬派、リクード党の支持基盤です。

直接的にホロコーストの犠牲者でもそのその子孫でもない。

ユダヤ人とイスラエル人は、重なる部分がありながらも異なるアイデンティティを持っています。

 

ユダヤ人は宗教的、民族的、文化的な背景を持ち、世界中に広がっています。

一方で、イスラエル人はイスラエル国籍を持ち、その国内には多様な宗教や民族が存在します。 

 

イスラエル人はユダヤ人?

今、世界中で話題となることが多い「ユダヤ人」と「イスラエル人」の違いについて、多くの疑問が持たれています。この記事では、これら二つのアイデンティティがどのように異なり、またどのように重なるのかを掘り下げてみましょう。

「イスラエル人」と「ユダヤ人」には明確な違いがあります。

ユダヤ人:宗教と民族のアイデンティティ

ユダヤ人とは、一般的にユダヤ教の信者を指します。ユダヤ教は一神教で、トーラー(モーセ五書)に基づいた信仰を持っています。しかし、ユダヤ人という言葉は、単に宗教的な意味合いだけでなく、民族的または文化的なアイデンティティをも表します。宗教的にユダヤ教を実践しない人々もユダヤ人であることがあります。ユダヤ人は世界中に広がり、様々な国籍を持つ人々です。

イスラエル人:国籍に基づくアイデンティティ

一方、イスラエル人とは、イスラエル国籍を持つ人々を指します。イスラエルは多様な宗教と民族の人々が住む国で、ユダヤ人だけでなくムスリム、キリスト教徒なども含まれます。イスラエル人という言葉は、国籍に基づくアイデンティティを表し、1948年の国家設立以来、多くのユダヤ人が住む国となっています。

文化的・歴史的背景

ユダヤ人は数千年にわたる豊かな歴史と文化を持ちます。彼らの伝統、言語(ヘブライ語)、文化は長い時間をかけて発展してきました。一方でイスラエルは1948年に建国となった比較的新しい国家ですが、その土地自体は古代から重要な歴史的、宗教的意味を持っており、現在では多様な民族と文化が共存しています。

House with Israel flags

結論

ユダヤ人とイスラエル人は、重なる部分がありながらも異なるアイデンティティを持っています。ユダヤ人は宗教的、民族的、文化的な背景を持ち、世界中に広がっています。一方で、イスラエル人はイスラエル国籍を持ち、その国内には多様な宗教や民族が存在します。このように、二つの用語は異なる側面を持ちながらも、その理解は世界の多文化的な側面を深く理解するための鍵となります。

 


子供の自尊感情や自己肯定感を 高めるためのQ&A

2025年06月30日 10時21分20秒 | 社会・文化・政治・経済

本章においては、子供の自尊感情や自己肯定感を、教育活動全体を通して意図的・計画的・組織的に高めていく方法をQ&A形式で提案しています。
具体的には、自尊感情及び自己肯定感の定義や自尊感情と関連する要因、教員の職層や学級担任等の役割に応じた取組例などを示しています。また、各教科等の指導で取り組む際のポイントや家庭や地域と連携した活動、教育委員会
における研修会の企画・実施の際の工夫等についても掲載しました。
1 自尊感情や自己肯定感について
Q1自尊感情や自己肯定感とは何ですか
A
「自尊感情」や「自己肯定感」とは、心理学用語の
self-esteem(セルフエスティーム)を訳した言葉です。
「自尊感情」とは
◇ 東京都では「自尊感情」と「自己肯定感」を次のように定義しました。
自分のできることできないことなどすべての要素を包括した意味での「自分」を他者とのかかわり合いを通してかけがえのない存在、価値ある存在としてとらえる気ち
「自己肯定感」とは
自分に対する評価を行う際に、自分のよさを肯定的に認める感情
◇ 「自尊感情の3つの観点」で自尊感情の傾向を把握します。
東京都教職員研修センターと慶應義塾大学との共同研究により、ローゼンバーグなどの心理学者の先行研究やこれまでの調査研究から、自尊感情を構成する因子を分析しました。
その結果、自尊感情を構成する因子を3つのまとまりに分けることができました。これら自尊感情の3つの観点に基づいて、子供の自尊感情の傾向を把握することとしました。
自尊感情の3つの観点

自己主張・
自己決定

自己評価・
自己受容

関係の中
での自己
自尊感情の3つの観点を高めるポイント
A 自己評価・自己受容B関係の中での自己C自己主張・自己決定
 自分のよさを実感し、自分を肯定的に認められることができるようにします。
 この観点は、教師との関係において影響が大きいことから、教師からの評価や言葉掛けによる効果が期待できます。
多様な人との関わりを通して、自分が周りの人に役立っていることや周りの人の存在の大きさに気付くようにします。
学習に対する意欲や良好な友人関係においての影響が大きいことから、学習や友人関係の構築についての支援による効果が期待できます。
今の自分を受け止め、自分の可能性について気付くようにします。
学校では進路意識との関連や影響が大きいことから、キャリア教育などによる効果が期待できます。
6
Q2自尊感情の傾向を把握する方法はありますか
A
教師による行動観察等に加えて、自尊感情測定尺度(東京都版)「自己評価シート」や「他者評価シート※」で把握できます。
自尊感情測定尺度(東京都版)「自己評価シート」は、子供に自己評価を行わせることなどで、子供自身が自己をどのように捉えているかを把握できます。
※「他者評価シート」については、28〜33ページで紹介しています。
自己評価シート
「自己評価シート」等は、以下の方法でダウンロードすることができます。
東京都教職員研修センターホームページ(http://www.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.jp/)
> 教育情報の提供 > 研究報告書・紀要等の検索 > 紀要等の検索 > 平成23年度紀要等
7
Q3 自尊感情や 自己肯定感を 高めることはなぜすか
A
必要なので
子供の自信、やる気、確かな自我を育てるためです。
調査研究では、自尊感情や自己肯定感が高い傾向にある子供は、進路の目標が明確で、友人関係も良好であることが分かりました。一方で、学習への意欲や理解度が低い子供や、問題行動が見られる子供は、自尊感情や自己肯定感が低い傾向にあることが分かりました。
次の2つのレーダーチャートは、平成22年度に行った調査研究の結果で、中学校第1学年の2人の生徒の自尊感情の傾向を表したものです。
自己評価・自己受容
自己評価・自己受容
自己主張・自己決定
関係の中での自己
 欠席が続いた1学期は、自尊感情が低い傾向にあった。校内委員会等で組織的に対応を検討し、自尊感情の傾向を踏まえた指導を実践した結果、生徒は自分のよさや価値を見いだし、2学期には登校する日が多くなってきた。
自己主張・自己決定
関係の中での自己
 積極的に自己開示をしようとせず、周囲の評価を気にするあまり、自分の判断
・行動に不安があった。自信をもてるように学習面や友人関係での支援を行うことで、A、Bの観点はやや下がったが、全体のバランスが安定してきた。
上の左側のレーダーチャートは、1学期に調査をしたときには、自尊感情の低下に関わる課題がありましたが、その課題が解決に向かった2学期には自尊感情が高まり、自尊感情の3つの観点のバランスのとれた大きな三角形となっています。右側は、学習面や友人関係の不安などの要因を反映したバランスのとれていない三角形となっていたことが分かります。
このような調査結果からも明らかなように、子供の自尊感情の傾向に着目して子供の日常の学校生活を観察すること、そして、「自尊感情が低い傾向にある=問題がある」と一面的な捉え方をするのではなく、なぜ低下しているのか、その要因をA、B、Cの観点で検討した上で、組織的・継続的に指導していくこ
とが大切です。
参考文献 「自尊感情や自己肯定感に関する研究」報告書(慶應義塾大学 平成23年3月)
8
自尊感情や自己肯定感を高めるポイント①
 子供の自尊感情や自己肯定感を高める際には、自尊感情の3つの観点をバランスよく高めていくことが大切です。
調査研究から、自尊感情の3つの観点がバランスよく備わることで、学校での適応や自己の形成、人との協調性を学ぶことに生かされることが分かりました。
自尊感情や自己肯定感は、自尊感情の3つの観点のバランスを考慮し、指導することが大切です。
◉Aの観点のみが高い場合
人との関係の中で自己を捉えることができず、学校適応が難しかったり、人との協調性について困難な状況があったりすることが考えられます。
◉Bの観点のみが高い場合
自分の主義・主張がなく、安易に他の人の意見に賛成したり、他の人への依存性が前面に出たりする傾向があり、自我の埋没につながる危険性があります。
◉Cの観点のみが高い場合
わがままや自己中心的な負の部分が前面に出やすく、教師等と意見の衝突も増える傾向があります。
参考文献 「自尊感情や自己肯定感に関する研究」報告書(慶應義塾大学 平成23年3月)
3.2
 3
 2.8
「A自己評価・自己受容」
の観点の低下が最も著し
い時期
小学校高学年から中学校第2学年にかけて
「A 自己評価・自己受容」の観点が低くなる傾向があることが分かりました。子供と関わる、子供のよさを見付ける、子供を褒める・認める・励ます、子供の可能性を広げるなど、子供一人一人のよさを生かし、子供自身が自分を価値ある存在として認められるよう、この時期の子供の自尊感情の傾向に配慮した指導の工夫が必要です。
また、子供の自己評価による自尊感情の傾向と、教師等他者から見た子供の自尊感情の傾向の捉え方が一致しない場合(他者からは行動面など特に問題がないように見えても、自己評価が低い傾向にあるなど)があります。自己評価
の結果をより一層生かし、他者から捉えた自尊感情の傾向と重ね、指導の方向性を検討する必要があ
ります。(Ⅱ章28ページ〜参照)
2.2
 2
小5 小6 中1 中2 中3 高1 高2 高3
 A 自己評価・自己受容
B 関係の中での自己
C 自己主張・自己決定
再び低下傾向が
見られる時期
「自尊感情や自己肯定感に関する研究」報告書 慶應義塾大学 平成22年3月より
自尊感情や自己肯定感を高めるポイント②
 人権教育の視点から考えることが大切です。
~自尊感情や自己肯定感を高めることは、自分の大切さとともに他の人の大切さを認めることにつながります~
「自分は生まれてきてよかった」「自分の命を大切にしたい」「人の役に立ちたい」・・・これらは「自
分の大切さとともに他の人の大切さを認めること」(人権尊重の理念)です。
このような気持ちを育むためにも、子供の自尊感情や自己肯定感を意識し、高める教育は重要であると言えます。自尊感情や自己肯定感を発達段階に応じてよりよく育むことによって人権感覚を高め、自分の人権を守り相手の人権を守ろうとする意識・意欲・態度にもつなげていくことができます。
参考文献 「人権教育プログラム(学校教育編)」(東京都教育委員会 平成23年3月)
9
Q4 自尊感情や 自己肯定感と 関連する
A
要因は何ですか
規範意識や家庭での生活習慣と関連があることが分かりました。
昨年度までの研究で、自尊感情や自己肯定感と、学習や友人関係、教師との関係などに関連があることが分かりました。本年度の調査研究からは、次のことが分かりました。
1 「自尊感情や自己肯定感」と「規範意識」との関連本調査では、小学校・中学校・高等学校の児童・生徒を対象に、学校のきまりなどをどう思うかに関
しての調査研究を行いました。その結果、これらの規範意識と、自尊感情や自己肯定感には関連があり、規範を肯定的に捉えている児童・生徒ほど、自尊感情の3得点が高い傾向があることが分かりました。
規範を肯定的(そう思う)に捉えている児童・生徒ほど、自尊感情や自己肯定感が高い傾向にあります。
○ 正しいと思ったことはいつでも自分の気持ちに素直に行動すべきだ。
○ 学校の行事には、積極的に参加しなければならない。
○ 子供は保護者を大切にすべきだ。
○ 授業中に、授業に関係ないことをしてはいけない。
○ 服装や髪型などについてきちんと学校の決まりで決めるのは当然だ。
参考:慶應義塾大学が実施した調査項目より
次のような行動を悪いと感じている児童・生徒ほど、自尊感情や自己肯定感が高い傾向にあります。
○ 掃除当番などクラスの仕事を怠ける。
○ 先生の指示に従わなかったり、言い返したりする。
○ 保護者の意見に逆らったり、言い返したりする。
○ 授業中、居眠りをする。
○ 学校を「ずる休み」する。
○ 学校の品物や施設を壊す。
○ クラスの子をいじめる。
<規範を受容する理由>
参考:慶應義塾大学が実施した調査項目より
「いけない行動をしてはいけないのは、どうしてだと思いますか。」という質問に対して、小学校・中学校・高等学校ともに、9割以上の児童・生徒が、「人の迷惑になるから」と回答している一方で、「自分を大切にしたいから」と回答する児童・生徒は5割〜6割程度にとどまっています。
学校での、児童・生徒の指導に生かしましょう。
学校のきまりが守れず、注意されることが多い児童・生徒は、自信をもてず、やる気につながりません。日頃から、教職員の共通理解の下、継続的に、学校のきまりを守ることを指導することが大切です。小学校・中学校・高等学校で連携し、共通理解して指導することも大切です。
10
2 「自尊感情や自己肯定感」と「家庭での生活習慣」との関連
本調査では、小学校・中学校・高等学校の児童・生徒を対象に、児童・生徒が保護者をどのように捉えているかの意識や、家族との過ごし方などに関しての調査研究を行いました。その結果、これらの家庭での生活習慣と、自尊感情や自己肯定感には関連があることが分かりました。
家族と次のことを一緒にした経験が相対的に多い児童・生徒は、自尊感情や自己肯定感が高い傾向にあります。
○ 保護者は、私のすることによく賛成してくれる。
○ 保護者は、私をよく理解してくれている。
○ 保護者は、私が何かをするときに、自由にやらせてくれる。
○ 保護者は、私の生活態度についてよく注意する。
○ 私は、保護者の意見を受け入れている。
参考:慶應義塾大学が実施した調査項目より
保護者に理解され、認めてもらえていると認識している子供ほど、自尊感情が高い傾向にあります。
家族と次のことを一緒にした経験がある児童・生徒は、自尊感情や自己肯定感が高い傾向にあります。
○ 家族と料理をする。※
 ○ 家族とスポーツをする。※
 ○ 家族と読書をする。
○ 家族と劇や映画を見に行く。
○ 家族と美術館や博物館に行く。
○ 家族と海や山に行く。
※は特に関連がある
参考:慶應義塾大学が実施した調査項目より
家族と一緒に過ごす機会が多いほど、自尊感情が高い傾向にあります。
保護者会や面談等での、保護者への支援や助言に生かしましょう。
子供が、保護者に理解され、認められていると感じていることや、家族との関わりが、自尊感情や自己肯定感の高低にもつながることを踏まえ、保護者会や保護者との面談、相談などの際に、これらの結果を生かしてみましょう。
保護者への支援や助言の例⑴
自尊感情や自己肯定感が高い傾向にある子供は、「保護者が理解してくれている」 と感じています。このことから、保護者が子供との関係を振り返り、気持ちや状況を十分理解して、自主性や主体性を認め、励ますことができるよう
な支援や助言をします。
保護者への支援や助言の例⑵
自尊感情や自己肯定感が高い傾向にある子供は、家族とスポーツや料理をしたり、出かけたりする経験をしています。このことから、保護者が、家庭での生活の様子を振り返り、子供の自尊感情や自己肯定感を高めることのきっかけ
づくりができるような支援や助言をします。
保護者への支援や助言の例⑶
小学生の約90%、中学生約74%、高校生の約64%が、「相談できる人」について、「家族」と回答しています。このことから、保護者が、子供の悩みを受け止めたり、相談を受け入れやすい状況をつくったりすることができるような支援や助言をします。

【詳細は、実践事例3(44ページ)を参照】
日々の指導や働き掛け(2)
職場体験では・・・
事業所の方との交流を通して、直接その人の価値観や生き方に触れることで、自分の個性やこれからの生き方について考えさせました。
また、事業所の方から頼られているという責任感をもたせ、自分の役割をしっかりと果たしていかなければならないことを理解させることで、自分という存在について考えさせるよう助言しました。
【詳細は、実践事例11(69ページ)を参照】
さらに、次のような教師の指導や関わり方を日常的に行います。
学級では…
 ○○さんは、これまで自分の得意なことを発揮する場面や努力したことを他者から認めてもらう機会が少ない状況にありました。そこで、○○さんに学級での係活動などの役割を与え、その役割を果たしたり、努力して取り組んだりしたことに対して「ありがとう」という言葉
を意図的に掛けるようにしました。また、○○さんが学校で努力したことを保護者に報告するとともに、家庭でも○○さんが努力して取り組んだことを認め、励ましてもらえるよう保護者に話し、学校と家庭が共通理解の下で○○さんに関わるよう努めてきました。
 学級では、友達が努力して取り組んでいることを認め、互いに励まし合い、「努力する人が認められる環境」をつくりました。すると生徒は、努力している友達を積極的に見付け、その友達の成果を認め、「私も、○○さんのように頑張ろう」というように、生徒が互いに高め合う雰囲気ができ、意欲的に活動するようになりました。
 このような生徒の自尊感情や自己肯定感を高めるための指導を、全校で組織的に行うために、担任を受け持つ教員が集まって「担任勉強会」を開き、学級担任としての悩みを共有したり、学級担任同士が一緒に解決策を考えたりして、生徒への指導や関わり方についての共通理解を図っています。
このように、日々の各教科等の指導と合わせて、生活指導や学級経営、家庭や地域との連携等の充実を図ることが子供の自尊感情や自己肯定感を高めていくことにつながります。

以下省略


なぜ、創価学会は世界宗教となったのか?

2025年06月29日 21時45分17秒 | 社会・文化・政治・経済

創価学会の「世界宗教化」とは、単に会員が在住する国や人数が増えているという事象を言うのではなく、各国のローカルな社会のなかで〝生きた宗教〟として広がっていることを指している。

創価学会は南米大陸最南端の町から北極圏の地域まで、大西洋に浮かぶ島々にも、ロシアなど旧東側諸国にも、東南アジア、アフリカにも、〝御書根本〟に〝その国、その地域の宗教〟として、そこに生きるローカルの人々のあいだに根を張っている。

世界宗教化する創価学会(上)――〝魂の独立〟から30年

ライター
青山樹人

永遠に「御書根本」で進む

 日蓮大聖人の生誕から800年、牧口常三郎初代会長の生誕150周年、戸田城聖第2代会長の就任70周年の佳節を刻んだ2021年。創価学会は創立記念日にあたる11月18日に『日蓮大聖人御書全集 新版』を発刊した。
 御書とは日蓮大聖人が遺した論文や書簡など膨大な遺文のこと。
 創価学会による最初の『日蓮大聖人御書全集』の刊行は、立宗700年にあたる1952年4月28日におこなわれている。今回の新版は、その後に発見・公開された御書32編を新たに収録。文字を大きくして改行や句読点を増やし、現代仮名遣いを用いた。
 監修にあたった池田大作SGI(創価学会インタナショナル)会長は「序文」を寄せ、その冒頭に、

我ら創価学会は、永遠に「御書根本」の大道を歩む。

と記している。
 1930年に創立され、戦時下で軍部政府の弾圧によって一旦は壊滅状態となった創価学会が、今日これほど世界的な発展を遂げたこと。その大きな原動力が「御書根本」という精神だった。
 在家の民衆自身が宗教哲理の全貌を学び、血肉とし、それを生活と人生の格闘のなかで実践する。深く広々とした社会観、世界観を養っていく。
 学会は広宣流布をめざす在家の責任として宗門(大石寺を総本山とする日蓮正宗)の外護につとめてきたが、創立当初から勤行も教学研鑽も布教も、出家に依存することなく自立的におこなってきた。
 1952年の御書全集の発刊も創価学会の手でなされたのであって、日蓮正宗は戦時中に供出した本山の梵鐘の再建を理由に協力を拒んだ。立宗700年という慶事を迎えながら、宗祖の精神の宣揚よりも本山の威容を優先したのだ。
 信教の自由と教団の独自性を担保するための宗教法人法ができたのが、奇しくも戸田会長就任の1カ月前(1951年4月3日)。創価学会は翌52年9月8日には独自の宗教法人として認証を受けている。
 創価学会が日本最大の教団となり、世界各国へも布教拡大してきたことで、学会に外護された日蓮正宗も大きく発展してくることができた。

学会の破壊をもくろんだ宗門

 だが創価学会が発展し、仏法を基盤として平和・文化・教育を柱に人類的課題に取り組んでいくにつれ、江戸時代の檀家制度的な思考回路から抜け出せない宗門は嫉妬と不満を募らせていく。
 1979年に先代の法主が急逝したあと自己申告で法主になった阿部日顕は、宗内にも極秘で数人の取り巻きたちと創価学会破壊の謀略を企てた。これは宗内から流出した高僧の議事録で一部始終が明らかとなっている。
 大石寺開創700年の1990年の年末になって、宗門は学会に「お尋ね」という文書を送付。出所不明の録音を根拠に池田SGI会長のスピーチ内容に重大な問題があると通告してきた。
 学会側が話し合いを求めても拒絶。宗制宗規の改正という手口で、12月27日に池田SGI会長を総講頭(全信徒の代表)から罷免した。SGI会長と会員の師弟関係を分断して学会を破壊し、宗門に従順に隷属する檀徒を20万人程度だけ獲得できれば宗門の経営は維持できるというのが当時の法主らのもくろみだった。
 このとき、宗門が学会を難詰したことのひとつは、学会がベートーベンの交響曲第九番「歓喜の歌」を演奏したことが〝外道礼賛〟にあたるというものだった。もちろんシラーの原詩はキリスト教の神を讃えたものではなく、宗門の無教養と人類共有の文化さえ敵視する極端な非寛容性を露呈した言いがかりにすぎない。
 学会側はあくまでも事実に即し、御書をふまえて、宗門の難詰の誤りをひとつひとつ問いただしていった。
 宗門側は答えに窮し、「法主は御本尊と不二の尊体」「法主は現代における大聖人様」等といった、それこそ御書のどこにもない珍説をかざして批判を封じ込めようとした。それは、もはや日蓮正宗が日蓮大聖人の仏法とは無縁の奇怪な宗教になり果てている証左となった。
 結局、世界の創価学会員が微動だにしないとわかると、1991年11月28日、宗門は「破門通告書」を送り付けた。あきれたことに、16ページにも及ぶ文面のなかに御書の一片もなかった。御書に照らして創価学会を破門できる理由など何ひとつないからだ。
 1カ月後の12月27日、全世界の創価学会員1624万9638人から、「阿部日顕法主退座要求書」が宗門に送られた。

創価学会の「世界宗教化」とは

 この時代錯誤の「破門」によって、日蓮正宗は全信徒の98%を失うことになる。
 対する創価学会は、日蓮正宗という旧態依然とした日本の葬式仏教から訣別できたことで、もはや偏狭な足かせから自由になった。
 折しも冷戦構造が終焉し、世界が新たな人類統合の原理を模索していた90年代。池田SGI会長は自在に世界をめぐり、会員を激励して青年を育てつつ、各国首脳や第一級の知性らと縦横の対話を広げ、ハーバードなど諸大学で講演を重ねた。
 会長は1980年代までにモスクワ大学など世界の6大学から名誉学術称号を受けていたが、90年代の10年間で65大学が新たに加わり、2001年には100番目の授章を迎えている。宗門の鉄鎖を解き放たれた創価学会が、どれほど世界の注目と信頼を集めるようになったかを物語る一旦だろう。
 さる2021年11月28日で「破門通告」から30年。
 日蓮正宗は衰退の一途をたどっており、学会が支えていた往時の繁栄など見る影もない。末寺の3割ほどは本山からの支援がなければ財政的に立ちゆかない。創価学会を破門したことに抗議して数十人の僧侶が離脱したほか、将来に希望を抱けず還俗する僧侶が今も相次ぐ。
 創価学会は当時の115カ国・地域から192カ国・地域に発展し、世界最大の在家仏教の運動として国連や諸宗教とも協力してさまざまな人類的課題に取り組んでいる。日本社会でも最大級の中間団体として、とくに東日本大震災の際などにその力がいかんなく発揮された。支持する公明党は20年にわたって連立与党として日本政治の安定に寄与してきた。
 いずれに正義があったか、もはや明らかだろう。
 日本発祥の教団が海外に広がっている例は、もちろん創価学会だけではない。
 ただし、ほぼすべては日系人コミュニティの内部に留まっている。禅宗などは日系人の外側にも広がっているように見えるが、その場合もごく一部のインテリ層や富裕層の知的関心をひいている程度を越えていない。
 創価学会の「世界宗教化」とは、単に会員が在住する国や人数が増えているという事象を言うのではなく、各国のローカルな社会のなかで〝生きた宗教〟として広がっていることを指している。
 創価学会は南米大陸最南端の町から北極圏の地域まで、大西洋に浮かぶ島々にも、ロシアなど旧東側諸国にも、東南アジア、アフリカにも、〝御書根本〟に〝その国、その地域の宗教〟として、そこに生きるローカルの人々のあいだに根を張っている。
 1960年代初頭に弘教がはじまった国では、すでに学会の信仰を受け継ぐ「学会3世」「学会4世」が活躍する時代を迎えている。
 冠婚葬祭の儀礼的な宗教ではなく、日々の生活と社会を向上させていく信仰として受容され、しかもそれぞれの社会から共感されているのだ。
 このようなかたちで全世界に広がっている仏教は創価学会だけだろう。

「世界宗教化する創価学会」:
世界宗教化する創価学会(上)――〝魂の独立〟から30年
世界宗教化する創価学会(下)――「体制内改革」のできる宗教

創価学会創立90周年特集(全40回):タイトル一覧

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あおやましげと●著書に『宗教はだれのものか』(2002年/鳳書院)、『新装改訂版 宗教はだれのものか』(2006年/鳳書店)、『最新版 宗教はだれのものか 世界広布新時代への飛翔』(2015年/鳳書店)など。WEB第三文明にコラム執筆多数。 

いじめの厳罰化

2025年06月29日 21時31分47秒 | 社会・文化・政治・経済
いじめの厳罰化は、フランスや韓国などで進められており、日本でも議論が高まっています。

フランスにおける厳罰化

韓国の取り組み

日本の現状

まとめ

いじめの厳罰化は、フランスや韓国で具体的な法律として実施されており、加害者に対する厳しい処罰が設けられています。日本でもこの問題に対する意識が高まっているものの、実際の対応はまだ不十分であるとの指摘があります。いじめの根本的な解決には、教育や社会全体の意識改革が求められています。
 
 
  1. フランス、いじめ厳罰化「加害者を転校させる」背景

    2023年9月5日 · 9月に新学年が始まったフランスでは、学校内でのいじめが確定した加害者の生徒を、別の学校への転校させることが可能になった。「他の生徒の 


偽・誤情報 削除要請 総務省

2025年06月29日 09時32分58秒 | 社会・文化・政治・経済
 
総務省は7月の参議院選挙を前に、SNSを運営する企業に対して嘘や虚偽の情報を削除することなど社会的責任のある取り組みを強化するよう要請しました。

村上総務大臣
「SNS等を提供するプラットフォーム事業者には偽・誤情報等の低減に向けて社会的責任があり、各事業者が実効性のある取り組みを進めていくことが重要である」

 総務省は今月27日、参議院選挙を巡る偽情報や誤情報についてSNSを運営するすべての事業者に対し、利用規約などに基づいて自主的に適切な対応を行うように要請しました。

 また、大手のSNS事業者9社に対しては、これまでに情報流通プラットフォーム対処法に基づき、誹謗(ひぼう)中傷につながる情報の通報窓口を公表し、削除を迅速に行うことなどを求めています。

 一方、村上大臣はSNSを利用する有権者に対しても「情報をうのみせずに発信源を確認し、複数の情報を比較するなど真偽をよく確認してほしい」と呼び掛けています。
 
ネット上の違法・有害情報に関してお困りの方へ

インターネット上の違法・有害情報に関してお困りの方へ

 

ICTがつなぐ 案内図差替え

個別のサイトにおける削除依頼(権利侵害情報に関する対応)

 インターネット上に自身の権利を侵害するような情報(プライバシー侵害、名誉毀損等)があった場合には、本人もしくは代理人(未成年者であれば親などの保護者、弁護士)からサイトの管理者等に対して削除の依頼をすることが可能です。
 削除依頼に関する具体的な手続については、権利侵害情報が掲載されている各サイトにお問い合わせください。具体的な手続方法がわからない場合には、以下の違法・有害情報相談センターをご活用ください。

違法・有害情報相談センター

 違法・有害情報相談センターは、インターネット上の違法・有害情報に対し適切な対応を促進する目的で、関係者等からの相談を受け付け、対応に関するアドバイスや関連の情報提供等を行う相談窓口です。(総務省支援事業)
 当センターでは、サイト管理者等への削除依頼の方法等に関する相談を受け付けていますので、削除依頼の方法が分からない場合には、当センターへご相談ください。

違法・有害情報相談センターの相談実績

情報流通プラットフォーム対処法関連ガイドラインの書式を活用した削除依頼

 権利侵害情報が掲載されているサイトに削除に関する専用のフォームなどが用意されていない場合、民間団体(情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会)が策定した送信防止措置手続の書式を活用して削除依頼を行うことも可能です。詳細は以下のWebサイトをご覧ください。
(「情報流通プラットフォーム対処法 関連情報webサイト」 http://www.isplaw.jp/別ウィンドウで開きます参照)

法務省人権擁護局

法務省人権擁護局でもインターネットを利用した人権侵害に関する相談を受け付けています。詳しい内容や手続きは法務省のWebサイトをご覧ください。
http://www.moj.go.jp/JINKEN/index.html別ウィンドウで開きます参照)

法令違反、公序良俗違反の情報への対応

 インターネット上で、発信が法令上禁じられている情報(例えば児童ポルノや危険ドラッグの広告)を発見した場合は、サイト管理者への連絡のほか、「インターネット・ホットラインセンター」に通報するか、あるいは特に緊急な対応を要する場合には警察に通報してください。 また、「セーフライン」では、法令違反の情報に加え、公序良俗に反するような有害情報に関する情報提供も受け付けています。

 インターネット・ホットラインセンター及びセーフラインは、インターネット利用者から違法・有害情報に関する情報提供を受け付け、一定の基準に従って情報を選別した上で、警察への情報提供、電子掲示板の管理者等への送信防止措置依頼等を行う民間団体です。詳しくは、ホームページをご覧ください。

発信者情報開示請求

 自身の権利を侵害する情報を発信した者に対して損害賠償請求を行うために必要がある場合には、情報流通プラットフォーム対処法(「特定電気による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」)に基づき、サイトの管理者等に対して、情報発信者の名前や住所等の情報の開示を請求することが可能です。

 サイト管理者等への発信者情報開示請求の方法については、違法・有害情報相談センターにおいても相談を受け付けておりますので、開示請求の方法がわからない場合には、当センターへご相談ください(https://www.ihaho.jp/よりWebフォームからの相談のみ受け付けております)。なお、最終的には弁護士へご相談ください。

 また、発信者情報開示請求に関する具体的な手続については、情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会によりガイドラインや書式が作成されておりますので、こちらをご参照下さい(http://www.isplaw.jp/別ウィンドウで開きます参照)。

関連サイト


死刑存続 法務省許らず

2025年06月29日 09時25分42秒 | 社会・文化・政治・経済

死刑、2年超執行されず 異例の空白、識者から廃止論

配信
法務省=東京都千代田区

法務省=東京都千代田区

 国内での前回の死刑執行から約2年4カ月が経過した。近年はほぼ毎年執行されており、2年を超える空白は異例だ。この間に死刑囚だった袴田巌さんの再審無罪が確定し、識者から死刑制度廃止を含めた見直しを求める声が上がる。

7割超で「自白」、有罪証拠に 専門家、司法の問題指摘―殺人再審無罪20人

 死刑は刑法で定められ、法相の命令を受けて絞首により執行される。刑事訴訟法は判決確定から6カ月以内の命令を規定するが、これは「訓示規定」(法務省)と解釈されている。実際には関係記録などの精査に時間を要するのが通例だ。

 同省によると、判決確定から執行までの平均期間は12~21年の10年間の執行分で約7年9カ月。今年10月末時点の確定死刑囚は107人に上る。

 国内で最後に執行されたのは秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大元死刑囚に対する2022年7月の死刑。古川禎久元法相の時代で、その後の葉梨康弘、斎藤健、小泉龍司、牧原秀樹各氏は法相在任中に死刑を命じていない。

 死刑執行の空白期間が続いている理由は定かではない。この間、葉梨氏が在任中に「法相は死刑のはんこを押すときだけニュースになる地味な役職」と発言し、法相を事実上更迭された。

 23年3月には1966年の静岡一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田さんの再審を東京高裁が決定し、袴田さんは今年10月に再審無罪が確定した。法相経験者の一人は「死刑が執行されない理由は何とも言えない」と語った。

 一方、袴田さんの無罪確定を受け、死刑制度の見直し論が再燃しつつある。

 与野党の国会議員や元検事総長、元警察庁長官らが参加した「日本の死刑制度について考える懇話会」は今月13日、「日本の死刑制度は現状のまま存続させてはならない」との提言を発表。存廃を含めた「根本的な検討」を求め、結論を出すまでの間の執行停止を提唱した。

 法務省の有識者協議会も22日、再審請求中の死刑執行停止を含めた再審制度の議論を始めた。

 懇話会によると、世界196カ国のうち、事実上を含めて死刑を廃止した国は144カ国。経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国のうち、死刑制度が残るのは日米韓3カ国のみで、韓国は執行を停止し、米国も連邦レベルでは執行停止宣言を行っている。

 ただ、日本政府は死刑廃止に否定的な立場を崩していない。林芳正官房長官は14日の記者会見で「罪責が著しく重大な凶悪な罪を犯した者には死刑を科することもやむを得ない。政府として死刑制度廃止は適当でないと考えている」と語った。

法務省


死刑制度の存廃に関する主な論拠
1 死刑廃止の立場
① 死刑は,野蛮であり残酷であるから廃止すべきである。

・ 多くの論者が,死刑は野蛮であり残酷であって,人道上許されえないことを根
拠として廃止を主張する。死刑は野蛮時代の遺物である。18世紀後半以降,人
道主義的思想に基づいて,死刑は法の名のもとの殺人であり殺人が許されないの
と同じく死刑もまた許されない,とする死刑廃止論が強力に展開された (三
原憲三「死刑存廃論の系譜第6版 )

。」
・ 人道的見地から,どうしても死刑廃止論を採らざるをえないのである (団藤
「。」
重光「刑法綱要総論第3版 )


・ イスラム刑法ではこんにちでも,刑罰の手段として指を切ったり,耳を削ぐこ
とが規定されています。このような刑罰は野蛮だとだれでもおもいます。ところ
が死刑は身体の一部どころか命という,すべてを奪いとる刑罰なのです。これ以
上に野蛮で残虐な刑罰があるでしょうか (菊田幸一「改訂版死刑廃止を考え
。」
る 岩波ブックレットNo.306)
② 死刑の廃止は国際的潮流であるので,我が国においても死
刑を廃止すべきである。

・ 日本が・・・死刑を廃止して死刑を適用しないようにしようとする国際的な強
い流れに沿うべく,歩みを進めることを期待している (社団法人アムネステ
。」
ィ・インターナショナル日本「 今日が最後の日?』日本の死刑(仮訳版 )
『)」

・ 今日,死刑廃止が迫られている理由の第一は,国連の死刑廃止条約の批准を急
がなければならないということである。死刑廃止条約の批准のいかんにかかわら
ず,西欧のほとんどの国はすでに死刑を廃止しており,いわゆる先進国において
完全に死刑存置国といわれるのはわが国だけであって ・・・このようなことで
,,

『平和を維持し ・・・国際社会において名誉ある地位を占めたいと思ふ。われ
らは,全世界の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免かれ,平和のうちに生存する
。』
権利を有することを確認する (日本国憲法前文)と宣言したのはどうなった
。」
のであろうか (平場安治「死刑廃止を目指して-なぜ,今」佐伯千仭ほか編-1
著『死刑廃止を求める』所収)
③ 死刑は,憲法第36条が絶対的に禁止する「残虐な刑罰」
に該当する。
・憲法第36条 「公務員による拷問及び残虐な刑罰は,絶対にこれを禁ずる 。


・ 残虐な刑罰というのは,第一に『人間の尊厳』を傷つける刑罰であり,第二に
犯罪に比べて『過重』な刑罰を意味している ・・・死刑は 『人間の尊厳』を
。,
否定し,刑罰の目的を超えた残虐な刑罰といえないだろうか (石橋恕篤「 人
。」『
間の尊厳』を否定し,刑罰の目的を超えた残虐な刑罰」佐伯千仭ほか編著『死刑
廃止を求める』所収)

・ 死刑が残虐刑か否かは,死刑の威嚇力・排害力をもってしなければ,人権に対
する侵害を食い止められないかどうかによってきまる。排害力の点においては,
無期刑が十分に代替性をもっているから,現実には犯罪抑止の威嚇力が無期刑で
は不十分か否かによってきまることになる。この点で無期刑が死刑に代替しうる
のであれば,死刑は現状においても残虐刑となる (芦部信喜編「憲法Ⅲ人権
。」
(2 〔杉原泰雄執筆部分 )
)」〕
④ 死刑は,一度執行すると取り返しがつかないから,裁判に
誤判の可能性がある以上,死刑は廃止すべきである。

・ 少々の誤判があっても構わないという人はいても,誤判の可能性そのものを否
定することは誰にもできないはずです。その意味で誤判の問題は死刑廃止論にと
ってもっとも決定的な論点だとおもうのです 団藤重光 死刑廃止論第6版
。」(「 」)

・ 筆者は死刑は廃止すべきであると思う者の1人であるが,その理由は誤判に基
づくものである。そもそも裁判は人間によって行われるものである以上,どれほ
ど慎重に行われたとしても,無実の者に対する誤判がないとは何人にも断言する
ことはできないであろう (藤本哲也「刑事政策概論全訂第6版 )
。」」
⑤ 死刑に犯罪を抑止する効果があるか否かは疑わしい。

・ 死刑の威嚇力に関しては,その肯定・否定論双方にとっても全く信用のできる

実証的・科学的調査は存在していない ・・・人の命を奪う制度の存廃を論じる
際の正当化根拠としてははなはだ不適切であると言わざるを得ない (加藤久
雄「死刑の代替刑について」現代刑事法25号)
。」
・ 死刑が)凶悪な犯罪を抑止する効果をもつものなのかは疑問である (中略)
「(。-2
自暴自棄に陥った人たち,自らの命を賭して実行しなければならないという誤っ
た信念をもった人たちには,死刑は抑止力をもちえない。自殺願望により犯行に
及ぶ人たちに対しては,むしろ誘発性をもつのである (岩井宜子「刑事政策
。」
第4版 )」
⑥ 犯人には被害者・遺族に被害弁償をさせ,生涯,罪を償わ
せるべきである。

・ 死刑にしないで生かしておいて被害者賠償や悔悟の生活を送らせたほうが刑罰
。」
の目的に合致しています (菊田幸一「改訂版死刑廃止を考える 岩波ブック
レットNo.306 )

⑦ どんな凶悪な犯罪者であっても更生の可能性はある。

・ 正常人であるかぎり,よほど性格の偏した人でも,私は人格形成の可能性は無
限であると信じたいのであります そうすれば 死刑-少なくともその執行-は
。, ,
どうしても否定せざるを得ないのです (団藤重光「死刑廃止論第6版 )
。」」
・ たとえ凶悪な罪を犯した者でも更生の可能性があります (菊田幸一「改訂版
「。」
死刑廃止を考える 岩波ブックレットNo.306 )

2 死刑存置の立場
① 人を殺した者は,自らの生命をもって罪を償うべきである。
「,
・ 人を殺害したのであれば (その犯罪者は)死ななくてはならない。これには
正義を満足させるどのような代替物もない。苦痛に満ちていようとも生きている
ことと死とのあいだに同等といえるところはな(い (エマニュエル・カント
)。」
(井正義,池尾恭一訳 「人倫の形而上学 『カント全集11 (岩波書店,平
)」』
成14年)所収)

・ 死刑の廃止とは,どのような兇悪無慈悲な行為をする者に対しても,犯人の生
命だけは保障するという法律を作ることにほかならない。しかも,それをなんの
罪もない人々の生命の犠牲において行うことが正義人道にかなうであろうか。何
よりも,死刑は正義の実行として科せられるものであることを忘れてはならな
い (植松正「再訂刑法概論Ⅰ総論 )
。」」

・ 無辜の善良な人の人生を根本から破壊する犯行への批難度は下げられるべきで
なく,このような共通意識が社会全体にしっかりと根づくべきであり,根づかせ-3
る努力の一つに,極端な場合にかぎってではあるが,死刑の効用があり,この場
合の死刑は正義に適っていると考えられる (渥美東洋「わが国の死刑制度を
。」
考える」法律のひろば43巻8号)
② 一定の極悪非道な犯人に対しては死刑を科すべきであると
するのが,国民の一般的な法的確信である。

・ わが国家社会における現代の文化程度なり,社会一般人の法的確信の状態を考
察するに,いまもなお社会人の一面において凶悪なる犯行が頻々として行われ,
この種極悪の犯人に対しては死刑制を存置するのでなければ国家社会秩序の維持
は十全ならずとし,国民道徳もこれをもつて,なお社会正義の要求に属すると考
えているかぎり,国家はなおその存在を肯定しなければならないであろう (安
平政吉「改訂刑法総論 )


。」
・ 国民の一般的な法確信として,一定の極悪非道な犯人に対しては死刑を科すべ
きであるとする考え方が存在するとすれば,これを無視することは刑事政策上妥

当でない ・・・国民の一般的な法感情は,死刑廃止を肯定するまでには至って
いないとみるのが妥当であ(る (大谷實「新版刑事政策講義 )
)」」
③ 最高裁判所の判例上,死刑は憲法にも適合する刑罰である。
・最高裁判所昭和23年3月12日大法廷判決「死刑は ・・・まさに窮極の刑罰

であり,また冷厳な刑罰ではあるが,刑罰としての死刑そのものが,一般に直ち
に同条(憲法第36条)にいわゆる残虐な刑罰に該当するとは考えられない 」

(資料3参照)

・ 憲法学説では,死刑が憲法の禁ずる残虐刑にあたるとの立場は有力とはいえな
い (長谷部恭男「憲法第4版 )
。」」
「,
・ 憲法第31条の如きをみるも 『何人も法律の定める手続によらなければ,そ
の生命若しくは自由を奪われ,またはその他の刑罰を科されない』と規定してい
る点等に鑑みるとき,却つて右とは反対に死刑の合法的存在を前提としているも
のと考えられるからである (安平政吉「刑事政策概論 )
。」」
④ 誤判が許されないことは,死刑以外の刑罰についても同様
である。

・ 誤判の回復しえないのは,ひとり死刑に限るものではない。他の種類の刑罰に
あっても,程度こそ異なれ,回復できないことにおいて変わりはない ・・・生
。-4
ずることのありうべき稀有の誤判を普遍化して事を論ずるのは,刑事裁判の否定

論に通ずることとなる ・・・犯罪事件のうちには誤判の余地の絶無な事件も相
当あることを看過してはならない (植松正「再訂刑法概論Ⅰ総論 )
。」」
⑤ 死刑制度の威嚇力は犯罪抑止に必要である。
「。
・ 人間は本能的に生を欲する ・・・そうである限り,死刑の存在は罪を犯そう
とする者にとっては,大きな心理的抑制力をもつ ・・・長期にわたって,死刑

の存在が人間の本能そのものを抑制する (小野淸一郎「新訂刑法講義総論 )
。」」

・ 生命に対する人間の限りない執着は幾多の実証の存するところであり,死刑の
宣告または執行にからんで犯罪人の残した多数の挿話も人のよく知るところであ
る (植松正「再訂刑法概論Ⅰ総論 )
。」」
⑥ 被害者・遺族の心情からすれば死刑制度は必要である。

・ 具体的にも,多くの殺人事件で,その遺族が,特に子を殺された親,親を殺さ
れた子が,その悲痛な思い,やりばのない怒りを検察官や裁判官にぶつけて犯人

の死刑を求めるという現実があります ・・・事件が余りに凶悪で,残虐な一部
のものについて,被害感情が余りに激しく,大方の人が犯人は自己の生命をもっ
て償うべきだと考えるような場合には,死刑をもって臨み,被害者とその遺族の
悲しみと怒りを癒すことも,正義につながることであり,またその死刑判決が正
義の実現に寄与するものと考えております (本江威憙「死刑の刑事政策的意
。」
義について」刑法雑誌35巻1号)
⑦ 凶悪な犯罪者による再犯を防止するために死刑が必要であ
る。
・ 死刑の抑止力に関しては特別抑止効の視点も重要である ・・・何人殺しても
「。
死刑にはできないという理屈は,犯人を死刑にしておけば助かった可能性のある
被害者の生命をあまりにも軽視するもので承服し難い (椎橋隆幸「日本の死
。」
刑制度について」現代刑事法25号)-5


「偽情報」「2馬力」選挙防止へ

2025年06月29日 09時20分27秒 | 社会・文化・政治・経済

同一の選挙ポスターが大量に貼られた掲示板。

そしてSNSで拡散される偽情報。

去年の東京都知事選挙や兵庫県知事選挙などをきっかけに、選挙運動をめぐる新たな課題が生じています。

対策に向けて、今、国会が動いています。

(ニュースウオッチ9ディレクター 中村幸代)

「ニュースウオッチ9 ポスター・SNS…公選法どうなる」
2月25日 放送
3月4日(火) 午後10:00まで NHKプラスで配信
↓動画はこちらから↓

選挙ポスター問題が浮上

 

去年7月の東京都知事選挙をきっかけに浮上した、選挙ポスターの問題。

候補者ではない女性の顔が印刷されたポスターに、さまざまな動物のイラストが描かれたポスターも。いずれも1か所に20枚以上貼られていました。

政治団体の「NHKから国民を守る党」などが擁立した候補24人の掲示板の枠が事実上、販売される形となっていました。

「2馬力」への対応も課題に

 

もうひとつ、課題とされているのが、いわゆる「2馬力」への対応です。

去年秋の兵庫県知事選挙では、当選の意思のない候補者の選挙運動がほかの候補者のために行われたのではないかと指摘されました。

動き出した国会

公職選挙法で想定していなかった事態が起きている中…。

2月25日、与野党7党が提出した公職選挙法の改正案が衆議院の特別委員会で可決されました。

改正案のポイントは

 

改正案のポイントは「選挙ポスター」「SNSで偽情報拡散」「2馬力」の3つです。

選挙ポスターについては、

▼他人やほかの政党の名誉を傷つけるなど品位を損なう内容の記載を禁止すること
▼営利目的で使用した場合は100万円以下の罰金を科すこと

などが盛り込まれています。

さらに、改正案の付則では

▼SNSで選挙に関する偽情報などが拡散しているような状況に対応すること

それとともに、
▼いわゆる「2馬力」と呼ばれる状況を念頭に候補者間の公平を確保するため、施策のあり方を検討し、必要な措置を講じるとしています。

「SNSで偽情報の拡散」と「2馬力」なぜ付則?

 

改めて、今回の改正案のポイントを見てみると、「選挙ポスター」については、一定の規制が設けられることになったものの、「SNSでの偽情報の拡散」と「2馬力」については、付則にとどまっていて、具体的な措置については今後、検討となりました。

なぜ付則なのでしょうか?

取材すると、与野党の議員からは、次のような懸念の声があがっています。

「規制を強化すると表現の自由を制約しかねない」
「どこまでがセーフでどこからがアウトか線引きは難しい」

つまり、慎重に議論を進める必要があるということなんです。

今後、どのような対応が求められるのか?専門家に話を聞きました。

今後 どんな対応が求められる? 専門家は

 

日本政治に詳しい東京大学の牧原出教授です。

焦点となっている、選挙でのSNS利用自体は否定すべきではないといいます。

東京大学 牧原出教授
「SNSによって我々が関心を持ち、注目していくわけで、それによってやはり投票率は支えられている面はもう既にある。ただ問題はそこにフェイクがあるかっていうことで、これは必ずあるんですよ。まずはファクトチェックをきちんとやる体制を作って、あまりにも変なものについては『これは駄目だ』というべきだと思います」

Q.偽情報や誹謗中傷などの悪質な動画などに対して、公職選挙法で必要な措置を講じることは可能だと考えるか?

東京大学 牧原出教授
「ある程度はできると思うんですけど、例えば根絶するってことはできないんですよね。公職選挙法の規制はやはり何が駄目だということをはっきり言うことに意味があるわけで、グレーゾーンまですべて規制することはできないし、やるべきではないと思う」

カギは“収益”と“アルゴリズム”への対応

 

SNSでの偽情報の拡散をどう防いでいくか。

自民党が2月に与野党の協議会で示した案では対策として「情報流通プラットフォーム対処法」を改正してSNSの運営事業者の責任をより明確化するよう求めています。

具体的には、候補者へのひぼう中傷や偽情報を含むコンテンツが投稿された場合、事業者が収益の支払いを停止できる仕組みを導入すべきだとしています。

牧原さんは、こうした「収益を上げる目的でのSNS利用」を規制していくことが対策の1つになると指摘します。

東京大学 牧原出教授
「おそらく関心を集めるものは、ややフェイクに近かったり極端なものであることが多いわけですが、仮に収益化できないとなると、そういうものに対する過剰な関心が少なくなる。いくら、閲覧回数はあがっても収益にならないように働きかけていくっていうことは、私は不可能ではないと思うんですよね」

また牧原さんは、SNSでの偽情報の拡散の防止について、利用者の情報に応じて興味を持ちそうな情報を次々と表示させる「アルゴリズム」への対応も求められるといいます。

東京大学 牧原出教授
「フェイクに近い投稿があったとき、それを1回見てしまうと似たような投稿が次々に並んで、なんとなくフェイクに信頼感が出てしまう。そういう『アルゴリズム』にしてはいけない。これはプラットフォーム企業の側の対応の問題ですが、そうならないように働きかける、場合によって規制が必要だと思います」

有識者のリテラシーと既存メディアの役割も重要

もう1つ、改正案で付則に盛り込まれた、いわゆる「2馬力」への対応については、規制の強化だけでは限界があり有権者のリテラシーも重要だと指摘します。

東京大学 牧原出教授
「注目を集める選挙活動をすることは意味があって、これまでも自分が当選するかどうかはちょっとわからないけれども、選挙のために自分の政治的主張をするという候補ってたくさんいたわけですね。しかし良質な選挙のための討議の場が作られるかどうか、そこを見ていかないといけない。仮に公職選挙法に違反していない、そういう選挙活動をしている候補がいたとしても、『あの候補のやり方はやはりおかしい。あの候補が言ってることはあまり真に受けてはいけないんだ』っていうことが、まずは浸透することが大事です」

Q.ひるがえるとNHKも含めて既存のメディアの役割も問われていると思うが、どうあるべきだと考えるか?

東京大学 牧原出教授
「特に選挙期間中にやや自己抑制をかけすぎているのはこれまでの反省だと思います。これまでよりもっと踏み込んだ報道をしていいと思うんですね。悪質な動画や画像、誹謗中傷が激しいもの、あるいは(論理が)首尾一貫していないものが流れてきてるときにはオールドメディアも含めて『こういうような流し方がよくない』と、しっかりと声をあげていくことが大事だと思います」

取材後記

「2馬力」への対応については、鳥取県の選挙管理委員会が独自の対策として、県が執行する次回の選挙から、候補者に「みずからの当選を目的とする」という趣旨の宣誓書の提出を求めることを2月26日に決めるなど、地方からの動きも出てきています。

一方で、牧原さんが何度も強調していたのが「良質な議論」の重要性でした。

選挙運動で発信される情報のなかで何がよくて、何が駄目なのか、有権者や我々既存のメディアも含め議論していくことが大事だと話していました。

夏には東京都議会議員選挙や参議院選挙も控えています。表現の自由を確保しながらどこまで実効性ある対応をとれるのか、不断に考えていかなければならないと思います。

ニュースウオッチ9ディレクター
中村幸代
2015年入局
北九州局、福岡局、おはよう日本を経て政治番組班に所属
労働問題や働き方、政治改革などを取材

 


連立維持「信頼度重要」公明党 山口元代表

2025年06月29日 09時16分58秒 | 社会・文化・政治・経済

公明 山口元代表”野党との合意形成へ謙虚な姿勢と責任感で”

7月の参議院選挙に立候補せず政界を引退する、公明党の山口那津男 元代表が報道各社のインタビューに応じ、少数与党のもと、野党との合意形成に向けて、謙虚な姿勢と責任感を持って政権運営にあたる必要があるという認識を示しました。

この中で、公明党の山口元代表は、2024年まで15年にわたって党の代表を務めたことについて「厳しかったのは代表に就任した時だ。自民党とともに下野し、どん底というよりマイナスからのスタートの中、歯を食いしばって、徐々に党勢を回復して政権を取り戻すことができた」と振り返りました。

その上で「連立を維持していくことは極めて容易でない課題だ。カウンターパートの総理・総裁とあらゆる手段を通じて意思疎通し、信頼関係を保つことが大事だった」と述べました。

そして、少数与党のもとでの政権運営について「自公連立政権が長く続いたのは、議論を重ねて合意をつくる知恵と経験を持っていたからだ。少数与党となり、野党に託された民意も合わせて合意形成する努力が必要だ。謙虚な姿勢と責任感を持って頑張ってもらいたい」と述べました。


こども基本法 子ども新時代が到来した

2025年06月28日 10時52分08秒 | 社会・文化・政治・経済

子どもが主人公の新時代を実現!

子ども新時代が到来した。

こども基本法は、子どもの権利に関する基本条約の精神の則りこと、と明記されている。

つまり、子どもが大人と同様に一人の人間として権利を持ち、社会の形成に意見する機会を得られたことなどが示させた。

この法制化に伴い「こども家庭庁」を発足させ、基本理念として「こどもまん中社会」を目指すことを掲げた。

それまで言われた<子どもファースト>ではなく、社会の在り方を子ども中心に捉えなおす<子どもセンター>へ、考え方を変えた。

22年12月に文部科学省が、生徒指導の基本書である「生徒指導提要」を12年ぶりに改訂した。

これにより、教育現場においても、児童・生徒の個性や可能性を尊重し、校則の見直しや学校行事の意見を取り入れる方針になった。

さらに23年8月には、国連子どもの権利委員会が、気候変動に関わる子どもの権利を守るため、各国政府は環境に関する意思決定に際し、子どもの意見を考慮すべきであるとするなど、新たな指針を公表した。

このように今、社会で、学校で、そして世界で、子どもを主人公とした新時代への動きが加速している。

今の子どもたちは、その多くが現実の社会を生きなければならない。

未来を生きるのも、未来をつくるのも今のこどもたちだ。

だからこそ、子どもを中心とした新たな時代う築くことは、希望の未来に直結する。


井伏鱒二と太宰治:師弟25年の軌跡

2025年06月28日 09時59分44秒 | 社会・文化・政治・経済

井伏鱒二と太宰治:師弟25年の軌跡

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井伏鱒二=本名・井伏満寿二:M31(1898).2.15生:広島県安那郡加茂村粟根(現、福山市)
                :H5(1993).7.10没(享年95歳):墓所 「持法寺」(東京・北青山)

太宰治=本名・津島修治:M42(1909).6.19生:青森県北津軽郡金木村 (現、五所川原市)
            :S23(1948).6.14没(享年38歳):墓所 「禅林寺」(東京・三鷹市)
         (没日:6/14は戸籍上、6/13は禅林寺過去帳、6/19は桜桃忌)

井伏鱒二と太宰治は師弟の関係にあった。
井伏がいなければ、作家「太宰治」も名作『人間失格』も
生まれなかったと言って過言ではない。

本項は、靑森の中学生 津島修治が井伏鱒二の小説を読んで興奮した時から
「井伏さんは悪人です」 と書き遺して愛人と心中死するにいたった25年間、
二人の親交と別れを辿った。

なお、主な参考文献(典拠)は本項の末尾に記した。
また、詳細については 「太宰治(人生と作品)」 など
本文中に記した関連の別項目も参照してください。

Ⅰ.太宰の人生の節目と井伏の関わり

太宰文学は、作品傾向から 「前期(~S13)」、「中期(~S20)」、 「後期(S21~)」 の三期に分けられる。
これを “実生活”の面から見ると、期毎に異なる女性との関わりが強く、この区分は文学というだけでなく、
太宰の人生の節目をも示す。そして、太宰の意識の中には、常に井伏が存在する。

(前期・・田部シメ子、小山初代(妻)、 中期・・美知子(妻)、 後期・・美知子(妻)、太田静子、山崎富栄)

・「前期」(~S13)は、“生家と井伏と社会に甘えた奔放生活” ・・・ 破滅を認識、再起を決意。

 ・「中期」(~S20)は、“生家と井伏と社会の規制に服した生活” ・・・ 平穏な処世、家庭生活。

・「後期」(S21~)は、“生家と井伏と社会から分立した独善生活” ・・・ 糸が切れた凧の状態。

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それにしても、井伏は、何故 これほどまでに太宰の人生に深い関わりを持ち続けたのか?
太宰の生家、兄文治の側にも都合があったという背景が考えられなくもないが、
仮にそうだったとしても、井伏が太宰の文学的才能を認めたからとしか察しようがない。

ちなみに、津島文治は、後に次のように語ったとある。(月刊「噂」(S48/6))

「井伏さんといえば、一部の方たちは私が若い頃から井伏さんのお書きになるものを
愛読していたので、”弟修治をよろしく頼みます”という手紙を出して指導をお願いした
のではなかろうか、と考えていらっしゃるようですが、そのような事実は無かったと
記憶しております。やはり、修治が一番先に、井伏さんのご人格、文筆力といった
ものに引かれ、ついで中畑君、北(芳四郎)君が「頼みます」と強引に修治を
お願いしたというのが順序です。」

(月刊「噂」(S48/6)は、「特集 ”保護者”が語る太宰治」 を載せている。)
・中畑慶吉 「女と水で死ぬ運命を背負って」
・津島文治「肉親が楽しめなかった弟の小説」
(いつ、どこで、誰に語ったのかは記載なし)


また、井伏節代(夫人)は、後に次のように語っている。(井伏鱒二著「太宰治」
(2018/7:中公文庫:巻末インタビュー(1998・齋藤慎爾)より)

「井伏は太宰さんを本当にかわいがっていました。「もうあんな天才は出ない」と、その
死をくやしがってもいました。(中略) 太宰さんの葬儀のとき、自分の子供が死んでも
泣かなかった井伏が、声を上げて泣いたことを河盛好藏さんがお書きになっています。
(中略) 私にとって井伏を思うことは、太宰さんを思うことでもあります。」

井伏の関わりがなければ、作家「太宰治」は存在しなかったといっても過言ではないのである。