よく似てるんだもん

2011年06月17日 | ショートショート

真夜中、タクシーからふらりふらりと降り立ちます。ああ、夜風が気持ちいい。
こんなに遅くまで飲んで、きっと女房はカンカンです。飲んでるとつい、気が大きくなって、またやっちゃいました。
エレベーターで5階にあがると、ドアに鍵を差し込みます。カチャ、カチャ。
アレアレ?
鍵が奥まで入りません。
まさか、まさか女房のヤツ、腹立ちまぎれに、鍵を変えちまったんでしょうか。
そ、そんな。
連絡もせずに遅くまで飲んだことは確かにボクが悪かった。しかし、んな殺生な~
ん?
通路から見える別の棟の位置が微妙に違うような・・・地殻変動かなんか?
アッ、ここはボクが住んでる棟じゃない!
すっかり酔いが冷めました。表札もボクの名前、『海老沢』じゃありません。
しまったぁ!ここは隣の棟じゃないか!
誰かに見られたら恥ずかしいなぁなんて思いつつ、エレベーターで下りました。
それにしても、なんて間違いやすいんだ。なんの特徴もない、似た構造の棟をズラズラ並べおってからに。
ざけんなぁ!
酔っぱらって棟を間違ったことを棚に上げ、隣の棟の壁を蹴ってやりました。

ある日、東京上空に巨大な円盤が出現、何の躊躇もなくビルを押しつぶして着陸しました。
中から、身の丈3メートルもありそうな海老型宇宙人がゾロゾロ出てきます。
見回してキョロキョロ。
一同、頭を抱えました。
しまったぁ、ここは別の惑星じゃないか!
さっさと円盤の中に戻るとすぐに離陸です。
自分たちが惑星を間違ったことを棚に上げて、腹を立てた海老型宇宙人、大気圏から脱するやミサイルをボンッ。



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