カキぴー

春が来た

ジョン・バリーの逝去と、「ある日どこかで」

2011年02月01日 | 音楽
海外旅行の楽しみの一つは、ホテルのバーやラウンジで一杯やりながら、ピアノやトリオのライブでジャズの演奏やヴォーカルを聴いたり、好きな曲をリクエストすること。 僕はリクエストするとき自分の好きな曲の中から、ミュージシャンにも喜んでもらえそうな曲を選ぶようにしている。 配慮してることは、リクエストの多い曲は避けること、彼らも飽きてるだろうと思うからだ。 さりとてスタンダードからかけ離れたものは、場の雰囲気を壊すので遠慮することにしている。

条件を満たしてリクエストした曲が彼らに受け入れられたかどうかは、演奏の「ノリ」とミュージシャンの表情、それに時折こちらに向けられる視線で解る。 言葉は交わさなくても、たった一つの曲を通して心が通じ合ったときは嬉しい、そしてその後の彼らの選曲に僕の好みの傾向がはっきり読み取れたとき、僕は感謝の気持ちを握手で伝えながら、10ドル紙幣をさりげなく手渡すようにしている。   

そんなリクエスト曲の一つが、1981年日本公開のSFラブストリー映画 「ある日どこかで」のテーマ曲、「サムホエア・イン・タイム」(Somewhere In Time)。 この曲は世界を代表する映画音楽作曲者の一人で、「007シリーズ」11作や、アカデミー作曲賞を受賞した「愛と哀しみの果て」(Out Of Africa)や、「野生のエルザ」などの作曲家として知られる 「ジョン・バリー」の名曲。  日本ではなぜかあまり聴かれないが、世界中で愛されているスタンダードナンバー。

バリーが1月30日心臓発作のためニューヨークで亡くなったのを、今朝のテレビで知った。 1988年肺炎による食道破裂を患い気にかけていたが、77歳は若過ぎた。 1933年イングランド・ヨークシャー生まれで、若い頃スタン・ケントン楽団のジャズにしびれ、自らバンドを結成し演奏活動をしていたが、やがて認められて1950年代末映画界入りした。 彼の作風は様々なジャンルが融合していて幅広いが、僕が好きなのは彼が年齢を重ねてからの、心を癒してくれるような甘く優しい「バリーサウンド」。 その系統のベストが、「サムホエア・イン・タイム」、心身ともに疲れ果て時、ぜひこのサントラを聴いてみて欲しい。

この映画の主役リチャード・コリアーを演じたのが、スーパーマンでお馴染みの 「クリストファー・リーブ」。 1995年5月、彼はバージニア州の乗馬競争で転落、脊髄損傷によって首から下が麻痺し映画界から引退。 2004年10月、ニューヨーク州の病院で心不全のため死去、52歳。 清楚な雰囲気を持つ映画として今も根強い人気を保つ「ある日どこかで」だが、人気の秘密はバリーの織りなすバリエーションにとんだ甘美なテーマ曲に負うところが極めて大きい。 ご冥福をお祈りする。 


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