ひねもす のたりのたり かな

映画やら舞台やら日常やらお仕事やら

先日、新感線の「蜉蝣峠」を観てきました

2009年04月13日 19時06分45秒 | 観劇
新感線の「蜉蝣峠」を観てきました。
いのうえ歌舞伎「壊」ってなっていた通り、クドカンの脚本が今までのいのうえさんとはちょっと違ったものになっていました。
歌舞伎なんて、言葉の発祥を考えると壊す事に意味があると思うので、良かったと思う。
新感線も、どんどん変わっていくのが面白いんだと思う。
エンタテーメンとに面白く、面白いもんなら何でも取り込んで、みっちみっちのぎっちぎっちに楽しませるための舞台。壊して壊して、新しいもん取り入れてガツガツ取り込んで、それでこそが、新感線なんだし思う。
本当に面白かったぁ。

新感線の舞台って、基本的に「わくわくと楽しむ」のを目的で観に行くので、今回も充分に楽しませて頂きました。
ごちそうさまでしたって言いたくなる、舞台だったよん。
特に、チケット取ってくれたS子が……最前列ゲットしてくれたので、久々に役者の表情まで全部見れて、本当に良かった。


堤さん…ステキ。軍鶏でもステキ。ってよりしょっぱらかに軍鶏だったし。染ちゃんと別の意味で、白の衣装がお似合いで。裾から伸びる足に悩殺。最前列ですので、ぐっと腰を下ろす度に筋肉の筋が動くのよ。がっつり脳に焼き付けましたよ。いっつも酒飲んで、酔っぱらっていないと、どこまでも血が冷えてしまいそうな天晴という男が、本当に良かった。
古チンもステキ。古チンったら、フルチンでもステキ。偽フルチンだったけど。(いや、偽じゃなかったらヤバかったんだけど)役柄も、今回は何時もとちょっと違った役柄だった。けっこういのうえ歌舞伎では、ちょっと冷めた感じで飄々と楽しく生きてる「かぶいた男」だったのに、ずっと底冷えしたような闇太郎という男だった。でも、なに演じても良いんだから、凄いよなぁ。
情けなくて熱い男は、橋じゅんにぴったり。暑苦しくて、弱虫でヘタレだけど、声がでかい。血の熱い男。劇団員内初のトリオ、心から応援します。本家の30倍濃いけど、応援するよっ!またやってっ!
聖子ちゃんは、相変わらず色っぽい。鉄火肌で、弟思い。コロコロと裏切っても、憎みきれないのが良いわ。
勝地くん、最初の方で踊りのシーンで目が覚めていた。観客ちろちろ観て、集中しているのかなぁって心配になったけど、どんどん集中していって、馴染んでいっていた。あいまいでどうにも悲しい役なのに、飄々として。
木村了くんは、線が細くて、役にぴったりだった。役柄の秘密も、納得できちゃったよ。
高岡さんは、最初はどーしよーって思うぐらいに声が細かったんだけど、時間とともに劇団の雰囲気に溶け込んで、良くなって行っていた。闇太郎を拒んで拒んで、でも抱きしめる腕が切なかった。
右近さんの、高いこえぇぇぇぇぇぇ(シャウト)やっぱり、すてきですぅぅぅぅぅぅっ!(シャウト)
善ちゃん。空回りしそうで、空回りしないのが、凄い。浮きそうで、浮かないのが凄い。上手いんだよなぁ。


最後の殺陣の場面で、今までずーっと天晴の表情の裏にあった冷めた部分が、闇太郎との殺陣の場面でさっと消えて無くなっているの。笑ってるの。あぁ、なんて顔するんだろう。
びょうびょうと吹く枯れた風の音、この二人の頭の中ではずっと絶えずに吹いていたのだろう。「人と生まれたかった、人でなし」の二人の中の、獣の叫ぶ声。獣が獣として生きるための戦い。その中で、燃えるような「生」を迸らせて笑う顔。天晴は、この時のためだけに生きていたのかもしれない。
短い時間の殺陣だったんだけど、長く感じられた。
女にだって女の戦いはあるが、男のこんな戦いはない。だから、私はこうやって相手の意地も見栄も生きざまも理解しながら、「生」と「生」をぶつけ合うような戦いのシーンが大好きだ。
それが大好きな役者なら、もうたまらない。
本当に本当に、新感線よ、ありがとーーっ!

赤坂大歌舞伎を観てきました

2008年09月11日 00時57分59秒 | 観劇
昨日、S子ちゃんがチケットを取ってくれた赤坂大歌舞伎を観て来ました。
演目は「狐狸狐狸ばなし」と「棒しばり」。

「棒しばり」の方は、前に錦秋歌舞伎の時に観たのですが、今回は席が二階席だったので違う角度から見れて、面白かった。ぱったーんって横になるところとかあるのですが、これ上から観ると、本当に面白い。勘太郎も七之助も、可愛いんだよぉ。
「やんやーやんやー」って、手を縛られているから足でやるんだけど、横から観るのと上から観るのでは、これがまた違った可愛さがあって、楽しかったぁぁ~。

「狐狸狐狸ばなし」の方は初見だったんだけど、とっても分かりやすい面白い話なので充分楽しめた。勘三郎は芸がイロイロと細かい細かい。アドリブをちょろっちょろっと入れるとこなんか、上手いんだよなぁ。
「これが赤坂で傘さす」……赤坂sakasuもじってるし。くすくすと本当に笑わせてくれます。
亀蔵さんも上手くてねぇ、可愛いんだ。ある意味怖いけど、本当に可愛い女だったよ。
これは二階席ってのが、悲しかった。
だって赤坂ACTシアターには花道が無いので、道行きを客席使うんだけど、二階席からはなーーんにも見えないの。ただでさえ少し前のめりにならないと舞台の前方が見えない席だから、客席使われるとどこで何しているのか、さっぽり分からん。
赤坂で傘さす二人はどうなっているの~っと、もうやきもきしてしまいました。
本筋にはちっとも支障無いんだけど、何やら小芝居しているみたいなので悔しい。
その分安いんだけどさぁ~。残念。

両方とも単純なお話なので、単純に楽しく観れました。

S子ちゃん、今度はちゃんとフル舞台の歌舞伎に行こうや。
会社休んでさ、じーっくり楽しもう。
……来年の春ぐらいなら、お財布大丈夫だよね。


瞼の母を観てきました

2008年05月11日 08時36分42秒 | 観劇
初日の舞台に行ってきました。
今回は上の方からの観劇だったので、全体的に観れて良かった。
なんというか、声はかっこいい方の声で、いつもの甘えたさんのナチュラルな声じゃない方で、演技をしていたなぁ。父帰るの賢一郎の方ね。

颯爽とした登場シーンだけど、上から過ぎて顔はまったく見えない。立ち振る舞いもしっかり頑張ってくれたので、最初多分これが剛なんだろうなと、声を聞くまで分からなかった。
慣れない渡世人言葉も、カミカミ王子は噛まずに頑張る。
ゆっくりと私の中の剛が抜けて、忠太郎が姿を結んでいく。

半次郎の母おむらに手を取られた時には、もう母を恋う忠太郎にしか見えなくなっていた。目線や仕草だけじゃない何かが、忠太郎からおむらに向かっていた。遠いから表情なんて見えない、でも泣きたいぐらいに切ない気持ちが溢れている。
月明かりの中の四人は、とてもとても美しい絵だった。おむらの手が肩にかかった時、観ているこっちの体が震えるかと思った。身か絞られるように、切なくなった。

一途な希望と、喜びと、絶望。
最後に母が自分の名を呼んで、呼んで、叫んでくれたから、彼は振り切れたのだろう。
子を思ってその名を呼ぶ。大竹しのぶさんの声には、千切れんばかりの恋しさと絶望の織り交ざった響きがあった。
その声を聞いて私は、両の瞼を閉じては昔の母の姿を結んでいた忠太郎だけど、この後はきっと自分の名を呼ぶ母の姿を結んでいくのではないかと思った。
そうであってほしいと、願った。

1時間半のシンプルで短い舞台。
思う存分楽しみました。

「49日後…」を観てきました

2008年04月28日 01時15分41秒 | 観劇
先日、マイヒーロー古ちんの舞台「49日後…」を観てきました。

部分エグくてグロでした。
なんていうか、悪趣味なとこを攻めるよなぁ。
ゴミ袋いっぱいのゴキ…(フルネームでなんか言えないっ!)とか、腐乱死体に、切断された肉体とか、リアルなモノは出してこなかったけど、言葉とかイメージがむんむんでした。
苦手な人は、とことん苦手なんだろうね。
私は、ゴ…(だから言えないってっ!)はダメだけど、後は臭いの再現は無いので大丈夫。腐乱さんは、ミドリ色のスライムでろでろで代用だったしね。

役者も、みんな好みでした。
松重さんは、もう昔っから好きなんだけど、脛むき出しのつんつるてんの浴衣姿が拝めて、うはうはでした。にょきーんって、一人で背高さんだったわ。
そしてその背高さんの周りで、くるくるくるくるとコマのように忙しく回っていた八嶋さんが、大変可愛らしゅうございました。なんていうかね、どっちかっていうとぐーたらで動かない古ちんや松重さんの分も、一人でくるくると精力的に動いていてね、もうこの人は10分舞台で動かないでいたら、ストレスで死んじゃうんじゃないかってぐらいだった。ヤッシーに、動かない芝居をやらせてみたいーーっ!観てみたいーっ!(笑)
古チンは……また痩せた??なんか、細くない?白ムチは?って思っていたんだけど、脱いだら腹がちゃんと白ムチでした、あ~安心。でも、痩せたのは確か。白ムチのムチムチが好きなんだけど……我慢します。今回は、ある意味「普通」の人の役だった。ホモ…いや、バイだったけど、普通の人間だった。久々の普通の人だったので、普通に怒ったりすると、怖さ抜群。怒られたく無いです、この人に。もの凄く怖くて、張り合えません。
でも、小田茜ちゃんは、張り合っていた。すげーっ!声はとても細かったのが、ちょっと残念だったけど、でも張り合う姿はきれいだった。背のしゃんとしている女の人は、とても好きです。立ち姿が、絵になる人っていいよね。
池田さん……もっと観たかったです。演出もしているからか、出番が少なくて残念。
っていうか、全体的に全員の場面が少ないのが、残念。
二人、三人の組み合わせで、話を進めていくパターンだったから仕方ないんだけど、全員でガシガシと火花散らすような場面が観たかったなぁ。……全員出たら、一人サボる人がいるけどね。
五人の劇なんだし、全員が出たら舞台が狭くなるって事も無いんだから、全員の場面がもっと欲しかった。勿体無いです。良い役者いっぱいなんだもん、役者全員のパワーで、劇場を席巻して欲しかった。それを全身で、たんまりと味わいたかった。

でも、贅沢な舞台ではあったと思います。
台詞のいいまつがいを、さらりと流してくれる人いなかったしね。
独特のエグ味はあったけど、それが癖になるような、そんな劇でした。



しかし、あんな部屋でも、どんどこ捨てると片付くものなのね。
私の部屋もきっと、捨てればもっとすっきりするんだろうなぁ。


ここから先は、余談の上にとてもグロなので、どんなんでも大丈夫だって人以外は。絶対に読まないように。腐乱関連です。



キーワードってのは、重なるもんだなぁって、この劇を見ていて思った。キーワードは死体、腐乱。
ちょっと前に、猟奇的な彼女のエキストラに行ったんですが、その現場が本屋だったのです。そこで最初に振り当てられたのが、本を物色している人でした。何度も繰り返すカメラテストの最中、物色しなきゃいけないのに、ついつい読み込んでしまった本がありました。
題名は忘れてしまったんだけど、死体処理業者の話でした。しかも、破損の激しい死体専門らしい。最初の数ページぐらいしか読んで無いので、本当にそうなのかは不明。でも読んでいた部分は、風呂場で無くなった女性の死体の処理でした。夏場、湯の入った風呂で亡くなって、発見が一ヶ月後近く。もう、ここまできたら、それがどんなものだったか想像できると思います。周囲に腐臭が立ち込め、浴槽の中にはもう形というものを留めていない、どろどろの液体と骨。
その死体の処理(といっても、液体から骨を掬い出し、密閉された容器にその液体を入れて廃棄するってだけだけど)が終わった場面まで読み終わったところで、ADさんに、ちょっとバランスが悪いので、あなたはやっぱりこっちに来て来て下さいと、別の場所に移動させられちゃったのだ。
あんなグロくてエグい場面が、この後にどんな結末に続くのか、続きが気になるけど、これじっくり読んだらモノが食べられなくなりそうな、そんな話だった。
一ヶ月未満の間に、腐乱死体なんて、あんまり縁起良くない言葉に出会うなんて……かなり、いやん。
本当はもう一つあるんだけど、これ以上は私の胃もひっくり返りそうなので止めておく。それも推理?ホラー?小説だった。推理小説は良く読むけど、腐乱にぶち当たるのは、そんな無い。だって推理小説ってのは、大概取れたて出来たての新しい死体ってのが相場だ。
あ~~エグいの三つも思い出したから、胃がむかむかしてきた。
全然ダメってわけじゃないけど、好きではありませんよ。

ちなみに本を物色する人の次は、パンフを見る人でした。しかも移動した先は剛の正面。その後のテスト中は、ずっと剛に尻向けているという、ちょっと残念な場所でした。近くにいるのに…顔見れないんだもんよ。


「座頭市」の初日を観てきました

2007年12月04日 18時50分37秒 | 観劇
社会復帰第一弾の観劇が、友達のS子の取ってくれたサダヲかぶりつき席の「座頭市」でした。

何ともびみょーーーな劇だったなぁ。
初日だったので、みんな台詞カミカミなのはもう仕方ないんですよねっ!
席が良すぎたのもあるかもしれないんだけど、見えない部分が多過ぎでした。かなり役者の尻とか脛越しに、劇を覗き見していましたよ。
コマ劇場って、観客席に半円が飛び出ているので、脇の席だったから、真ん中でやっている劇が群集の向こうだったから、もう埋没しちゃって大変。
しかもアングルが決まってるっぽい感じで、アングル外の私たちの席は、見難いったらありゃしない。
場面の転換も多いので、集中できない。あんなに集中できない劇は久しぶり。脚本が悪いのかなぁ、何だか台詞も説明しすぎ。

私たち、劇を見る人間には想像力ってのがあるんだぞっ。

ただの箱だって、役者が机に見立てれば机に見えるし、墓に見立てれば墓に見える。セットばたばた動かして、いちいちあっちこちに配置しなくても、別に良いのに。
余計な事が多すぎる気がする。
もう三池さんは、映画だけ作っていなさいっ!映画の世界観とか、映像は好きなのになぁ、アングル外の席に座った私たちが悪いんでしょうか……。三池さん、劇場で演出家の目じゃなくて、観客として見たのかなぁ。お稽古場でしか見て無かったんじゃないのかな。君にはコマ劇場は早すぎる。これはコクーンとかサンシャインとか、スクエアな脇の席の無い劇場でやった方が良いよ。やるならせめて、マツケンさんの暴れん坊将軍とか、コマ劇場常連演劇を見て、どう演出しているのか見てからにして欲しかった。

そして……翔兄ぃは大好きだが、「あえいうえおあおー」を1000回ぐらいやってから舞台に立って欲しかった。
山場の台詞が、全く何を言っているのか分かりませんっ!サダヲのつぶやくような台詞の方が、よっぽど染み通っていました。
サダヲと長門さんばっかりが、演技が練れていて目立っていた。
長門裕之……あのクソジジイっ!どうなのよ、あの演技はっ!あんなよごよごっぽく見えるのに、もう目が行くったら無い。熟練の演技って、ああゆうの言うんだろうなぁ。凄い上手かった。長門さんの台詞の後だと、翔兄ぃの台詞が軽く聞こえてしょうがないの。長門裕之と津川雅彦兄弟に、私は昔からやられっぱなしです。凄いいやらしいオヤジっぷりから、これまたとんでもないクソジジイになりやがってっ!もーーうっ!たまらないわよっ!カーテンコールでぴょこんぴょこん飛び跳ねてる姿なんて、小脇に抱えて持ち帰りたい衝動に駆られましたわ。
サダヲも、可愛らしかった。劇中でひょいって小脇に抱えられていたんだけど、私も小脇に抱えて持ってみたーーい。脇の席だったから、正面の顔よりも尻ばっかり見えていたので、尻堪能しました。脛も、堪能しました。ごちそうさまでしたっ!
遠藤さんも、ごちそうさまでした。あなたの低い声が、とってもステキでした。みんな声高かったんだもん。すらりと高いそのお姿は、舞台下から見上げると首が痛くなりそうなぐらいに高かったけど、てらてらした涎まで見えて楽しみました。市と竜のシーンでは、あなたが確実に兄ぃを引っ張っていました。
麻路さんは……あの、その声が地声なんでしょうか?女の声は無いんでしょうか?男役さんの声のような気がするんですが……。話の流れが、役者か女かという部分があったのですが、アテ書きだったのかなぁ。別に太夫は「女」でも良かったと思うのは、間違いなのかなぁ。「若衆の姿をした女」が、一座の太夫って事なのかなぁ。勉強不足で申し訳ないんだけど、恋しい人を想う女を、別に「若衆の姿をした女」にした意味が分からなかった。どうせなら男役をやっていた人だけに、「女」で見たかったなぁっと思います。ファン的には、これで良いのかもしれないけど。

個人的に、お茶屋のおいとちゃん?名前が良く分からなかったんだけど、可愛かったです。大嫌いだーって言う部分と、泣くとこが胸にきた。キレイゴトを言ってばかりで実践までできなくて、でも理想に近づこうとして実行したのに遅くって躓いて、わちゃくちゃになってしまった気持ちとか、どん底に来てから一歩を踏み出す少女の姿だったと、私にはそう理解できた。

巧い舞台役者と、上手い映像役者と、上手い映画監督と、上手い宝塚役者とを、集めすぎて不協和音になっちゃったと感じた舞台でした。

犬顔家の一族の陰謀 ~金田真一耕助之介の事件です。ノート

2007年08月27日 18時37分18秒 | 観劇
見てきましたよー「犬顔家の一族の陰謀 ~金田真一耕助之介の事件です。ノート」を、23日に。

もう時系列バラバラだけど、いいの。
忙しいの、いっぱい遊んでいるからっ!

笑いのビリーズ・ブートキャンプよね、これはっ!
毎日見ていたら、二週間後には笑いで腹筋が割れると思うよ。目尻に笑いジワも出来ると思うけどね。
とにかく、本気で笑い続ける劇だった。
やっぱりチャンピオン祭だねっ!スキが無いよ。畳み掛けるように次から次へと、怒涛の笑い波。酸欠か過呼吸になりそう。
フランス人の古ちん……古ちんがフランス人……いかん、これだけで思い出し笑いが出る。
橋じゅんも、あっちこっちに出て、出ただけで笑ったけど、なんか意味無く居るだけで笑っちゃったけど、素晴らしかった。
池田先輩には、やっぱり勝てませんか??
池田先輩は…………凄い……ですもんね。うん、本当に……凄い。他に何て表現して良いのか分からないぐらいに、あの人はアレで完結していて、本当に凄い。
役者の力量にも笑ったけど、シナリオにもいつぱい笑えた。
パンフレットに、笑いは引き出しの多い分面白いってあったが、本当に引き出しいっぱい出して笑いました。
ネタが広いんだもん、今回のは。
横溝シリーズ全域に広がってるし、なまかもいるし、デスノもいる。コーラスラインも出れば、オペラ座の怪人もある。いろんな事を知るって事は、面白いことも広がるって事だった。
本当に面白かったよ。

今回は演出も凝っていて、新感線って凄いなぁって思った。
計算づくなのだ。こうゆう映像を途中で使うから、こんな脚本にして、こう演出する。脚本ギリギリで内容と台詞を頭に突っ込んで、練習したらハイ舞台……ではない。こうゆう演出をするので、その下準備にこうゆう映像を作る、そして撮影をしておく。凄いなぁ……本当に。
こんな計算づくなのに……内容は徹底的な笑いの追及なのだ。
人を笑わせるためだけに、あれだけの準備をかける。演出をする。
凄いなぁ……

パンフレットも、細心まで凝っていた。文庫本は巻末の言葉まで、ちゃんと作りこんでいるし。手を抜かない。
これだけされたらね、値段が高くても納得しちゃうのよね。
三時間みっちり笑う、その場の勢いじゃない、計算し尽くされた糸の上で、心地よく笑う。しかも、昨今の安いお笑いやテレビのバラエティにある人を嘲笑うのではなく、自分の引き出しの中で笑えるのだ。
至福の時間だと思う。

あと一回行ける。
また三時間、じっくり笑ってくる。

魔法の万年筆

2007年05月29日 02時19分57秒 | 観劇
随分遅くなっちゃったけど、24日に「魔法の万年筆」を観てきました。

総合的に観ると、可愛い吾郎さんフェスティバルでした。うーーん、だって他に言いようが無いんだもの。
ストーリー的にもね、最後はぶっちゃけ身も蓋も無いじゃん?テーマもあんまり無いじゃん?
とにかく最初から最後まで、吾郎さんのための劇だったなぁ~って感想しか持てない。

でも吾郎さんのための劇だから、吾郎さんは本当に可愛らしいし、かっこいい。
吾郎さん好きにはたまらないぐらいに、色んな吾郎さんの魅力が詰まっている。
滑稽な吾郎、慌てる吾郎、悲しむ吾郎、笑う吾郎、怒る吾郎、焦燥する吾郎、傲慢な吾郎、ナルシストな吾郎。
この全部が、とってもキレイにストーリーの中に織り込まれてて、吾郎さんはさぞかし演じていて楽しいだろうなぁ。
そして、吾郎さんのファンは何回でも観たいだろうなぁ。

まあね、前回の吾郎さんの劇「ヴァージニアウルフなんかこわくない?」が本当に重くて深くて、辛い部分(内容がね)が多かったから、からりと乾いた劇でもファン的には良いんじゃないかな。
からりと乾いた……あんまり乾いてないかなぁ…。ハートフルさはその前の「謎の下宿人~サンセット・アパート~」の方が、断然ハートフルで優しかったしまとまっていた。
うーん、ストーリー的には本当にね、好きじゃ無い部類に入っちゃうんです、私には。これは好みだから、仕方ないよな。

演者は良かったです。みんなキレイにぴったんこで、あんまりはみ出して無くて。
阿南さんの、どーしようも無い人へのやさしさとか、編集者としての意地や根性とか良かったし、小林さんの職人気質の頑固さとか、河原さんの飄々とした佇まいと弱さひねくれ方とか、三鴨さんの色っぽさに純粋さ蓮っ葉な可愛らしさ、西牟田さんの可愛さ男らしさ、久世さんの頑なさ、山崎さんのとっとこ。良いのになぁ……。
西牟田さん、男デルタの方がなんだか見慣れてるのは、勇ましい役の時ばっかり見ているからかなぁ、女らしいデルタ役が新鮮で、本当に可愛かった。
久世さん……実は最初高畑淳子さんかと思っちゃった。役の系統、ちょっと似ているよね。


あれさ、落ちをつけたらいかんっ!若い者はすぐに落ちをつけたがるっ!って事でついてないのかなぁ。
私なら最後に、
「デルタっ戻って来たよっ!」
「……パーカーっ!」
びよよよよん!
「……もう一度いくよ…デルターっ!」
「パーカーっ!」
ばよよよよん!
「えぇぇっ!」
って落ちをつけちゃうけどなぁ…(笑)


薮原検校

2007年05月19日 01時57分50秒 | 観劇
17日に劇「薮原検校」を観て来ました。

劇の内容自体は、非常に深いものでした。色んな部分で、胸に痛かった。
多分ね、自分の中に確実にある「差別」だと思う。気をつけて隠して見ないふりして、誤魔化していた事を、目の前につきつけられました。
この問題とどうやったら、何時になったらきちんと向き合えるのかなぁ。差別っていうのは本当に難しくて、自分の中で生まれては潰し、生まれては隠して生きている。完全に無くす事は出来ないものだと思う。
あの人と自分は違う……大なり小なり生まれる色んな事への差別化、これはある意味生きる糧でもある。
とりあえずはこの劇を、真摯な気持ちで見る事から始めよう。

この「薮原検校」のポスター、悪いよね。みんな揃いも揃って悪い顔。ふてぶてしくて、何が何でも悪い事やってでも生きてやるって顔。
最近どこか優しい役の多い段田さんまで、悪人顔。紳士的な語りの多い壌晴彦さんも、酷い悪人顔。
コクーンの劇場に入る前から、期待でぞくぞくしちゃった。

古ちんはどこまで行くんだろう…。
何なんだ、あの凄い「早物語」はっ!手を叩き、鳴り物鳴らして拍子取り、一緒に騒ぎたくなる。あの時、舞台は舞台じゃなくて、コクーンって場じゃなくなった。古ちん…いや杉の市の演ずる「早物語」を聞く場になっていた。
そして、終わった途端にその「早物語」への大拍手。劇にじゃない、その芸に拍手だ。すげーよー。
あの人は、どこまで芸を広げるんだろう。
面倒臭い事、こつこつと積み重ねるのなんか大嫌いだよって顔して、大変な事を身に着けていく。役者の鑑だよなぁ……、あんまりそう見えないけど。
飄々としているのに……深くて深くて、この人の魅力から離れられない。
この人の舞台が見たいって、本気で思わせてくれる役者だ。
ふんどしがチラチラする白い太ももにも、ラブ。

話が本当に深くて痛いのに、役者はとても楽しそう。
一人何役もこなし、さっきは情けない人なのに、今度は悪い人。清冽な役だったのに、人殺しの役。ふり幅の広い役をあっちこっち演じて、生き生きしている。
六平さん、嬉々として古ちんに仕掛けてみたり。神保さんが吠え、泣き、鳴らしたり。
田中裕子さんは、今幾つなんだよってぐらいに色っぽい。去年おかんだったなんて、信じられないし、間違ってるっ!なんか幼くて無垢そうなのに、色っぽくてねぇ。昼は貞女で夜娼婦って感じなの。色っぽいシーンなんか、もう絶妙。
彼女の顔の、左右非対称な表情が、二律背反そのもので素晴らしい。

段田さんと古ちんが最後に相対するシーンが、とても良かった。そして、とても胸に痛かった。
まったく正反対の方法だけど、二人は同じものを目指していて、同じ苦しみと怒りと憎しみと悲しみを背負っている。お互いに、自分が取れる方法が違っていただけ。
不穏で快活な二人の笑い。
ここで、この舞台は結実したと思う。
後は花道を華々しく歩くだけ。

面白かった。本当に面白かった。
話も役者も素晴らしかった。
舞台は本当にお金がかかるけど、こんな舞台を見れるのなら、惜しくないや。


余談だけど……
最初と最後の効果音がキーーンと響き過ぎて、治療中の虫歯にえらく響いた。
最後のシーンは、想像力が豊か過ぎなのか、その場面に行く前から気持ち悪くなっちゃった。帰りにトマトソースのパスタは、とてもじゃないけど食べれないと思った。
津川氏がいらっしゃっていたけれど、前半終わって休憩に行く時、寝ていたみたいだった。もうおねむの時間だったのかしらん。
パンフレットを見ていたら、今昔盲目物語という、視覚障害者の出てくる舞台や映画についての文章があった。その中に「按摩と女」について述べていた。簡単に抜粋……。
「温泉場の按摩と、東京から来た女の物語だが、会話にそこはかとなくおかしみがある。「目が見えないからこそ、物事の本質が見える」という真理が物語の鍵を握り、按摩の日常をごく当たり前に存在する光景として、ウェットに富んだ視線で描いている。大らかなコメディーを得意とした清水宏監督の隠れた佳作である」
との事。
これを、剛がチャレンジするらしい。楽しみだ。

劇「写楽考」を観てきました

2007年04月27日 21時32分06秒 | 観劇
昨日「写楽考」を観てきました。
選んだポイントは、チラシの堤さん。色っぽいんだもん、観劇の友のS嬢とNODA MAPのロープを観た帰りに決めました。

役者が光ってる劇だったなぁ~って思いました。
なんていうかね、久々に独白の多い劇だった。どこかしらその独白も、「青く」て「甘く」てね、こしょばゆい感じ。主人公が37歳なんだけどね、老成していなくて青春の香りをムンムンと漂わせているんだよ。
それを堤さんが、男の色気と情けなさとを加えて、もう本当にどーしよーもなさムンムンにしちゃっていた。うはーーたまらーーん。女は、絶対こうゆう男に引っかかったらダメだよ、もう世話するしか無いの、母性本能擽られまくって貢ぐしかなくなる。男らしいのが女を骨抜きにするフェロモンなら、この情けなさも女を惑わすフェロモンだよ。
堤さんは舞台上で、どっちのフェロモンも自在に操るフェロモン男だわ。ホント、顔まで良いから、タチ悪い。

西岡さんも、高橋かっつみーも上手さ抜群だし。ドリさんも色っぽい。何でドリさんの溜息と一緒に出される台詞って、きゅんってなるんだろう。可愛らしくあどけなく、それでいて毒含んでて、切なくて。胸がきゅーんってなる。M.O.P.はまたエンジェルアイズを演じるらしいから、観に行こうかなぁ……初演のチラシがまだ家にあって、ちょっとびっくりした。
七瀬さんも、変に一本調子なとこが役に合っている。わざとそうしているんだろうけど、その一本調子なとこが、おヨネの一本気な感じになっていて、本当に可愛らしかった。
長塚さん……うすっ!紙かと思ったよ。正座する場面とか、折り紙折ったのかと思ったよ。洋服の時も薄いなぁっておもったけど、着物だと薄っ!長っ!ってびっくりしちゃうぐらいだった。横に手を広げたら、衣桁だよ。堤さんが熱く語れば語るほど、長塚さんが冷たくなっててね、そのバランスも良かった。しかし、本当にうすっ!

昨日はラッキーな事に、私の愛する古チンが観劇に来ていた。丁度私がチケット出す時に後ろから追い抜いて行ったでかくて悪そうな怪しい人が古チンで、ついつい関係者でもないのに関係者列に並んでしまいそうになっちゃった。後は、升さんもいて、うん年前の関西小劇場一派だなぁ~っと思った。
さーて、次は「薮原検校」に「魔法の万年筆」だー。楽しみぃぃ~。

今日は歌舞伎2

2006年11月16日 23時24分28秒 | 観劇
せっかく撮った画像を忘れた。
芸談の時観客からの、「一日別人になるなら誰になりたい?」の質問に、七之助がまず「アラブの金持ち」っと答えた。凄いお金持ちになってみたいから…って、あんたは充分お金持ちのような気がするんだけど。でも、話しているうちに、あっスポーツ選手もなってみたいと、スポーツ選手にシフト。
そこから勘太郎と二人でトルシエジャパンのDVD「六月の勝利の歌を忘れない」を観て、盛り上がっていた話を披露。
俺はトルシエに……「タカ、行けっ……あっ僕の本名タカ何とかなんで、タカって呼ばれるですよ、トルシエにはっ。でね、タカ、行けって言われたら、俺はビブス脱いで行っちゃうよね、もちろん」っと、嬉々として妄想話に花を咲かせたてくれました。
ああ、普通の男の子なんだなぁって、しみじみ思いました。
可愛らしかった。