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「土偶展」と「法隆寺献納宝物 国宝 金銅灌頂幡 飛鳥の天人」

2009-12-27 09:29:00 | 徒然なるままに
12月26日(土)

今日は、上野国立博物館で現在開催中の『土偶展』を見てきた。http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=6908

午後から、教員のためのガイダンスがあり、学芸員の方に今回の展覧会の鑑賞のポイントなどを詳しく解説してもらった。

今回の展覧会は、イギリスの大英博物館で2009年9月10日~11月22日(日)まで開催されたTHE POWER OF DOGUの帰国記念展で、国宝の土偶3展が同時に公開される貴重な展覧会なのだそうだ。
教科書でおなじみの土偶から初めてみる土偶まで、けっこう見応えがあって面白かった。
土偶はほとんどが女性の形をしており、豊穣と子孫繁栄を願って作られたということになっている。
他にはその場所を予め壊すように作られており、壊した箇所を天然のアスファルトで接合することにより、怪我や病平癒を願っていたと思われる土偶もあった。

私が泣けたのは、人型の骨壷だった。
母親の姿を似せて作られた中空の土偶の中には、赤ちゃんの骨が入っていたのだという。
我が子の再生を願ってその骨を入れて埋葬したのであろう母親の気持を思うと、涙があふれてきた。

かつて、岡本太郎が縄文土器からインスピレーションを得たように、私も縄文人のインパクトのある造形表現にすごく触発された。
私は毎年、中学1年生には土器作りの授業をしているのだが、来年、また採用があって講師が出来るなら、ぜひ、土偶作りもやってみたいと思った。

展覧会を観て、もったいないなあと思ったことを、生意気にも2、3アンケートに書いてきた。(小・中学生に見せるならという視点で)
1.出土した場所は地名だけでなく、ぜひ、小さくてもよいから地図をつけて表示して欲しい。出来れば、どんな状態で発見されたのか、その時の写真も一緒に掲示して欲しい。

2.遮光器土器の命名の由来の『遮光器』とはどんなものか、説明文だけでなく、イヌイット族が実際に使用している『遮光器』を展示してはどうか?

3.せっかくの土偶が単なる陳列品になっている。祭礼で使われていたり、どうやって作られたのか、当時の縄文人の暮らしぶりや、衣装、化粧の仕方などをバーチャルリアリティーで再現した映像などがあるとより理解と興味が深まるのでは?

などなど・・・。でも、はっきりしたことはまだ何も分かっていないのに、想像だけで映像を作って見せてしまっては、余計な先入観を与えてしまう恐れもある。
ビジュアル重視ででデジタルな思考回路になっている現代っ子が、アナログ的な想像力で縄文時代を想像するにはかなり材料不足だと思う。
なんてったって、中学生の歴史の教科書の縄文・弥生時代はたった見開き2ページで、先生によっては教えない人もあるくらいなのだから。(現に、私の知り合いは『奈良時代からしか歴史は教えられない』と言っていた)
美術の教師で、土器作りを中学生に教えている先生も片手に余るぐらいしか知らない。
だから、紐作り、輪積み、板作り、加飾なんて言葉を言っても経験のない子はチンプンカンプンだと思う。
縄文の名前の由来の縄目の跡をつけるやり方だって、ひも状のものをドベ剥れないに貼り付けて加飾するやり方だって、やったことなければわからない。
だから、制作の工程の映像や、実際に加飾を体験できるコーナーとかあると、より、親近感を持って見ることが出来るのに・・・。

せっかくの珍しい展覧会なのに、よっぽど考古学に興味のある子しか面白くないような展示はもったいないなぁ・・・と思った。
      

      *(ジョリー)*     *(ラブリー)*     *(イージー)*     *(コム)*     *(カインド)*   DOG  ドッグ  どぐ  土偶・・・なんちゃって・・・*(酔払い)*

今回の収穫はもうひとつ。国立博物館のミュージアムシアターで「法隆寺献納宝物 国宝 金銅灌頂幡 飛鳥の天人」上映 を観たことだ。
国立博物館の敷地内にある法隆寺宝物館第1室にある国宝 金銅灌頂幡を、バーチャルリアリティーで制作当時の金色の姿に再現したり、展示会場では絶対に観ることの出来ない天蓋の上部の彫刻などをどアップで見ることが出来るのだ。

一昨年の薬師時展の水煙(塔の屋根の上の飾り)や日光・月光像の光背をはずした背面を観た時にも思ったことだが、誰も見ることのできない場所に掲げたり、光背を取り付けたら絶対に誰も見るはずのない所まで、けして手を抜かず完璧に仕上げている。
まるで、その作品を見るのは、地上にいる誰でもない、天にいる『その人』に見てもらいたいという思いがこめられているような仕仕上がりだ。

映像を見終わった後、法隆寺宝物館に行き、金銅灌頂幡の実物を見たときは本当に感動した。
山背大兄王の妹が作らせ、奉納したといわれる金銅灌頂幡。当時、輸入に頼るしかなかった銅を40kgも使い、金メッキと素晴しい彫刻を施したこの作品にこめられた、無念の死を遂げた兄を想う妹の心が時を越えて私の心に響いてくるようだった。        

冬休みの美術室へようこそ!

2009-12-27 00:02:00 | 徒然なるままに
12月25日(金)

今日はクリスマスと言うのに、1日中美術の補習をした。

1年生の読書感想画の冬休みの宿題が終わらなさそうな生徒たち25名を、『冬休みの美術室へご招待』して。

朝から、生徒数分の*(チキン)*を揚げて、*(みかん)*を持って出勤。

午前中だけの生徒達、午後からの生徒達、1日通しの生徒達と、にぎやかな美術室だった。

10月ぐらいから取り掛かっていた課題なのだが、『読書感想画』だから、まず、本を読んで、どんなシーンに感動し、どうしてそのシーンを描こうと思ったのかの動機やテーマが必要だ(これが一番大変だ)。さらに、作画上の工夫や苦労についてもコメントを書かなくてはならない。
毎回の授業の後は、一人ひとりのスケッチブックをチェックし、アドバイスを書いた付箋を貼って対応していたりしたのだが、インフルエンザで学年・学級閉鎖になってしまい、年内に描き終える事が出来なかったのだ。

何名かの生徒は今日1日で描き終わり、めでたく冬休みの宿題にならないですんだ生徒もいるが、半数以上は1月7日の提出が危ぶまれる生徒達だ。

通常の美術の時間は1コマ45分間。その中に絵の具の準備、後片付けが含まれるわけだが、作業時間は長くて30分。苦労して色を作って、やっと塗れると思ったら、後片付けの時間になってしまうことはよくある話なわけで・・・。

かと言って、今日みたいに3時間通しで絵を描いても、途中で気が緩んでしまう生徒もいるし、やはり、2時間ぐらいがちょうどいいのかなあ。

28日の午前中には、今回来られなかった生徒達と、今日私のOKが出なかった生徒達のための補習がある。
がんばれみんな!頑張れ私!!

        *(ツリー)*       *(ツリー)*        *(ツリー)*

夜、末娘と陶板浴に行き、レストランでクリスマスディナーを食べた。
陶板浴は娘も2日続けての*(テニス)*の大会の疲れも取れて大満足。
ディナーを食べながら、応援に行けなかった私に、試合の様子をいろいろと教えてくれた。
今回も惜しくも3位入賞だったが、自分なりに納得のいく試合が出来たようだ。

サンタさんからの最後のクリスマス*(プレゼント)*

2009-12-26 23:15:00 | 徒然なるままに
12月24日(木)

今年は末娘と二人きりのクリスマス*(ツリー)*イヴ。
DUNLOP杯で3位入賞で頑張った娘に、
「クリスマス*(プレゼント)*に何が欲しい?」
と聞いたら、
「包丁セット」
と返ってきた。
将来パテシエを目指している彼女には、できれば本格的な調理器具をプレゼントしたかったので、
「じゃあ、今回は間に合わないから、お正月、お年玉と一緒に奮発するからいいものを二人で買いに行こう」
「うん!」
「じゃあ、今年はクリスマス*(プレゼント)*がないけど、いいかな?」
「うん、いいよ」

と言うわけで、今年は手作りクリスマスディナーでシンプルにお祝いしておしまい。のはずだった・・・・。
ところが、末娘は、
「おやすみ・・・」
といいながら、ケーキをとりわけ、皿にのせて持っていくではないか!
『え?それって、サンタさんの分?!』

娘は小さい頃から、自分の部屋に、*(プレゼント)*を持ってきてくれたサンタクロースのために、ご馳走を取り分けておいて置くのだ。
そのために、毎年サンタさんは、夕食を控えめにして、*(プレゼント)*を置きに行きながら、真っ暗な中でご馳走を平らげて行ってくれるのだ*(汗)*

さすがに、今年はそれはないだろうと思って、油断してディナーの後にケーキを2個も食べてしまったサンタさんは焦った*(汗)*2個分もあるケーキを更に食べなくてはならないだけでなく、*(プレゼント)*を用意していないのだ!
サンタさんが焦った挙句、苦肉の策で考えた*(プレゼント)*は・・・

『16歳の教科書』と『ドラゴン桜』11巻分のセットだった。
(実はサンタさんが、仕事がらみで自分で読もうと思って買って置いた本だった。*(シャイ)*)
サンタさんからの手紙には
『来年は、いよいよ受験生ですね。
高校受験は、ピピさんの夢を叶えるための大切なハードルです。
準備運動をしっかり頑張って、大きくJUMPしてください。
今年は、その準備運動に役立つ本をプレゼントします。
日本には面白い本があるのですね!』
とあった。

翌朝、いつもは
『ママ~!サンタさんが○○をプレゼントしてくれたよ~!』
と2階から駆け下りてきていたのだが、今年は・・・。シーン・・・。

息子の時は、度付きのゴーグルだった。
プレステをお願いしていた息子は、朝、泣いていたっけ・・・。
長女の時は、『サンタの正体暴露作戦』で真夜中に目覚ましをかけて起きていた娘に、
「ママ?何やっているの?」
と見つかってしまった。
その二人に
「ピピがサンタを信じているうちは、3000円の予算内であなた達にもサンタさんが*(プレゼント)*持ってくるから。」
と言い含めてきたのだが・・・。
その↑二人も、それぞれ恋人と過ごすクリスマスを迎えるようになり、家に残った末娘も中学2年生。
サンタさんからの最後の*(プレゼント)*は、『ドラゴン桜』になるとは、サンタさんも予想していなかったことだった。

ああ、これで毎年のサンタさんのてんてこ舞いプレゼント作戦は卒業なんだなあ・・・。
20年間。良く頑張ったなあ・・・。過ぎてしまえば、楽しかったなあ・・・。
もしかしたら、子ども達はずっと前にサンタさんの正体は知っていたのだろうけれど、*(プレゼント)*欲しさもあっただろうが、信じた振りして、サンタさんを楽しませてくれていたのかもしれないなあ・・・。

末娘も、後何年もしないうちに*(音符)*背の高いサンタクロ~スが、夜の8時に迎えに来て、更に何年かしたら、*(音符)*サンタがママにKissするような幸せなクリスマスを過ごすようになるんだろうなあ・・・。

久々の人形劇おばさんとソーラン*(波)*

2009-12-24 23:22:00 | 徒然なるままに
12月22日(火)

明日からいよいよ冬休み*(ツリー)**(結晶)**(雪)**(音符)*
現勤務校は2期制なので、終業式がない代わりに、学校集会があった。
後半の生徒集会では、毎回、今年度赴任してきた先生方のスピーチがあるのだが、今回の集会では私に順番が回ってきた。
以前から、何を話そうか、私の前に順番が回ってきた先生方のスピーチを参考にしてはみたが、なかなか決まらない。

で、いろいろ考えた末、『パペット』と『ソーラン』で行くことにした。
『牛』君のパペット人形と『トラのしまじろう』君のパペットをアシスタントに使って『干支の話』をし、受験生の3年生たちへのエール、立派な『立春式』を見せてくれた2年生へのエール、冬休みの宿題になってしまった『読書感想画』を頑張れ!一年生へのエール、そして、先生方への日ごろの感謝をこめて、5年ぶりに人前で『ソーラン』を踊ることにした。

正直なところ不安だらけだった。
普段、4階の美術室まで行くのに息切れ状態の体力に成り下がり、○kg増のメタボなお腹、2度のギックリを体験した上に、10月の尻餅事件の後遺症を考えれば、無謀な挑戦だった。
末娘には反対された。
この忙しい年末、3度目のギックリになって、家の大掃除が出来ないなんてことになったら・・・*(青ざめ)*
そこで、息切れは寝不足と鉄分不足の貧血から来るので、2,3日前から睡眠を十分とり、鉄分入りのりんご酢を飲んだ。*(りんご)*
運動不足解消に、『ラジオ体操』『やきとり爺さん体操』、ストレッチもやった。
しばらく踊っていないので、通勤の行き帰りにCDを聞き、イメージトレーニングをした。実際に踊ってみると、あちこち忘れてしまっていたのだが、身体で覚えたことは、音楽を聴いて何度か踊っているうちにだんだん思い出してくるものだ。
ただし、気合を入れすぎると、後半からきつくなり、3番を踊る頃には息切れ状態になってしまう。踊り終わった後は胸が苦しくて、しばらく動けない・・・。
かつて、2時間も生歌で歌いながら練習し、本番でどんな激しい踊りをしても、踊り終わってすぐに、メンバーの呼吸が整い、次の曲の支度が出来るまで、涼しい顔して曲紹介なんてやっていた私ではない。ああ、つくづく情けない・・・。*(ショック)*

そういう自分に『渇』を入れる意味でも、今回の『ソーラン』は、自分自身への挑戦でもあり、エールでもあった。


そして当日。
人形劇のおばさんから一変して、黒い半袖Tシャツと黒のズボン、黒のリストバンド姿になって、真っ赤な長半纏を羽織ったとたん、会場から「おおっ!」と声が上がった。
「ポーズ!かまえっ!」
と蟹股姿で構えると、そういうポーズを見たことがないのか、ドッ!と笑いが起きた。
それから先は、曲が進むに連れて、生徒達からも「どこいしょー、どっこいしょー!」「ソーラン、ソーラン!」と掛け声が上がり、後半のきつい部分も、その掛け声に励まされて、何とか最後まで躍りきることが出来た。
一人きりで練習していた時にはできなかったことだ。
皆へのエールのつもりで踊ったはずなのに、逆に、生徒達に励まされたのがとってもうれしかった。
 
                   *(波)*     *(波)*     *(波)*                   


集会の後、生徒達や先生方からもいろいろとうれしいお声をかけていただいた。
特に、市外からの転校生に
「先生、私もソーラン踊っていたんですよ!」
と声をかけられたので、
「今度、一緒に踊ろうよ!」
といったら、うれしそうにニッコリ笑っていたのが印象的だった。
1年生の男子達は、「どっこいしょー、どっこいしょー」と歌いながらまねして踊っていたし、女子は「先生、かっこよかったー!アンコール!」と叫んでいたし・・・。

心配していたギックリも今のところ大丈夫そうで、逆に、背中や腰周りがすっきりした感じ。*(チョキ)*
この調子で、1日1回ずつでもソーランを踊り続けていったら、運動不足解消とダイエットになるかも*(退屈)**(ハート6つ)*
運動部を引退して、運動不足になってプヨプヨしてきたり、受験でイラついている3年生を誘ってみようかなあぁ・・・。
『篆刻の授業の前の5分間ソーラン講座』なんちゃて。


*(テニス)*の冬季選抜大会(団体戦)

2009-12-24 09:12:00 | 徒然なるままに
12月23日(水)*(日本)*天皇誕生日

今日は、末娘の*(テニス)*の冬季選抜大会(団体戦)の応援に行った。
今年の新人戦のベスト8に残った学校が集まって、来年の夏の中学校総合体育大会(総体)のシード校を決める大切な大会だ。

結果は惜しくも3位入賞だったが、総当り戦の予選リーグでは優勝校や準優勝校(新人戦では優勝校)とも互角の戦いが出来ていたと思う。

でも、何度か娘達の試合を見てきて思うのは、強いチームとはあきらかに違うところがある。
それは、声と挨拶、話を聞く姿勢、そして髪型だ。

強いチームは、まず、声が出ている。
たまに、相手を威嚇するつもりか必要以上にギャーギャーとわめいているようにうるさい選手もいるが・・・。
ダブルスを組む相方と、たとえにわかペアだったとしても、それを感じさせないように、お互いに声を掛け合っているペアは強い。
娘達のチームは、負けが込んでくると、お互いにミスを謝り合うことはあっても、声がでないので、捕れる球も「お見合い」になってしまい、そこに「穴」が出来てしまう。

今日、つくづく感じたのは、話を聞く姿勢の違いだ。
試合終了後、優勝チームはさっと整然と挨拶をし、すぐに相手チームの監督にも挨拶に行き、アドバイスを受けていた。
それを見て真似した娘達のアドバイスを受けている姿を見て、その違いに愕然とした。
優勝チームは、監督の話を一言も漏らさないように全員が監督の目を見て、姿勢正しく聞いているのに対し、娘達のチームは片足重心で、中には監督の顔も見ず、ただその場に並んでいるだけのような選手もいた。
私が完全に頭に来たのは、男子の表彰式のときだ。
その表彰式の直前、まだ試合が残っている女子は別コートで練習していたのだが、式が始まるや、練習を中断したはずだった。
ところが練習は中断したものの、自分達の学校の男子チームはいないと思ってか、ずっとぺちゃくちゃ喋っているのだ。
優勝校には男子チームはないが、講評でいろいろなアドバイスをしてもらっているときも、一生懸命聞いていた。準優勝校は、男子チームも準優勝だったので、整然と聞いていた。

私は娘達の副顧問ではないので、表彰式の役員として離れている娘達の顧問に代わって注意するわけにも行かず、ゼスチャーで「しー!」とやってみても、誰も気づいてくれない。
笑い声まで立てて大きな声で関係ないことをしゃべくっている他校の女子選手達を見ていて、練習量や上手いだけでは優勝なんて出来ないのだなあとつくづく思った。

先日、ミュンヘンオリンピックの金メダリスト西本さんの講演会でも、
「他人が受けている注意を自分のこととして聞く耳と姿勢がないものは、一流にはなれない」
とおっしゃっていたが、まさにその通りだと思った。

最後に髪型。
中2といえば、14歳、思春期真っ只中のお年頃。
髪型にもこだわりがあるのか、逆に自信のない自分の隠れ蓑として使っているのか、どう見ても、うっとうしい髪型の生徒が多い。
特に前髪。
まるでニキビを培養しているかのようなうっとうしい前髪。
視力低下効果抜群の目に付き刺さりそうな簾状態のような前髪。
ゲゲゲの鬼太郎か、『リンク』のさだ子か、顔半分、もしくは顔全面を隠してしまうようなありえない前髪。
とてもスポーツ選手とは思えない髪型は、本人は無意識なのだろうが、試合の真っ最中にその髪の毛をいじる仕草がありえない!許せない!
その0.何秒のあいだに出遅れ、スマッシュを決められてしまうのだ。

ある中学校の女子バレーボール部は、部員は全員『髪型はショートカット』を義務付けられていた。
ボールをしっかり目で捉えると言うのは、球技では常識で、なおかつ安全指導としては当然のことだと思う。
女子の表彰式の後で、娘達の顧問にそのことを話したところ、先生も「困っているんです」とのことだった。
思春期の女子チームの男性顧問は、なかなか気苦労も多いのだろう。

帰宅後、頑張った娘をめちゃくちゃ褒め称え、決勝リーグで娘のペアは勝っていたのに、途中で相手チームの2勝が決まってしまい、試合途中で試合中断になった悔しさを分かち合った。
その上で、『全ては夏の大会!』に向けて、娘達のチームの今後の課題について話し合った。
私の感じたことは、今日応援に来ていたお母さん達が全員感じていることであり、特に髪形については、顧問も困っていることだと言うことを話した。
娘達自身もそれぞれ、実はそう感じているらしい。でも、メンバーは仲が良いが、肝心なことは離せない雰囲気があり、ディスカッションができないのだという。

部活動から離れたら、仲良しこよしはいい。でも、部活動中は2年生は2年生らしく、1年生の手本になるような活動をしなくては、後輩に示しがつかない。
集合時間を守る、出欠席の連絡の仕方、道具の取り扱い、管理のしかた、挨拶の仕方、話を聞く姿勢、練習態度、ミーティング内容・・。
一生懸命やるのはダサい、仲良く楽しくやりたいから人からウザがられることは言わない。まじめなことや正論を言える雰囲気じゃない。
そんなことで、本当の意味で、楽しく、充実した、思い出に残る部活動が出来るのか。この部活で良かったと言って引退できるのか。
後輩達に、引退する時、
『先輩から教えていただいたことを守り、先輩達を見習って、来年はもっと強いチームになれるように頑張ります。本当にありがとうございました』
と、心から言ってもらえる部活動に参加させてあげられているのか。

『全ては夏の大会に向けて努力する』
とは、人一倍練習することや、新しい技を習得することだけではない。
胸を張って部を引退し、卒業できるように、試合だけでなく、日々の部活動にベストを尽くして精一杯頑張ることなのだ。


末娘が夏休み明けからしばらく部活動を辞めたいと追っていた時期、息子が末娘に言っていたのは、
「辞めるなんて、いつでもできることだけど。引退は必ずやって来るから。総体で負けたとたん、引退だから。その時に思うんだよな。『もっと、~やっておけばよかった』って。あ、受験のときも思った。『ああ、もっとちゃんと勉強しておけばよかった。授業聞いておけばよかった。夏休み前に時間を戻してほしい』って。」

いきなり髪型をを変えたり、部長でもないのに注意をすることは難しいだろう。でも、そんな雰囲気に流されずに、自分から髪をピンで留めたり、話しかけられたら、
「ごめん、今、話を聞いているから、後でその話聞かせてくれる?」
と言うことはできるはず。
応援する側に回った時、
「ここ、もっとこうするといいんじゃないかな。私の試合のときも見ていて気が付いたことがあったら、遠慮なくなんでも言って」
とメンバーと言い合えるきっかけ作りをする。
他人を変えることは難しいし、はっきり言って無理だとおもう。
でも、自分で心がけて、まず自分からはじめることは可能だと思う。
それを見て、なるほど、と思った人は理解し協力してくれるだろうし。
でも、「口先だけ」とか「あなたには言われたくない」なんて反感を買われないように、『有言実行』でなければならない。
それと、一人でやろうと思わずに仲のいい子に、
「こういうこと今度ミーティングの時に皆に言ってみようと思うんだけど、どう思う?」
と事前に相談しおいて、アドバイスをもらったり、応援してもらえるようにするといいね。


明日は同じ試合会場でDUNLOP杯の*(テニス)*の試合がある。
「皆で前髪止めて、声掛け合って、最後まで諦めないでがんばれば、もっときれいな色のメダルGETも夢じゃない!」
と言ったら、いつになく納得した顔をしていた末娘だった。
明日は応援に行けないけれど、頑張れ!ピッピ!!がんばれ!みんな!!!

高尾晃市『マジックシアター』

2009-12-24 07:25:00 | 徒然なるままに
12月20日(日)

今日は、子どもネット八千代(リンク集参照)主催の『マジックシアター』を見てきた。http://konet.ciao.jp/

5年ぐらい前にも高尾晃市さんのマジックを見た。その時、長女は会場から選ばれてマジックのアシスタントとして出演もしたりして、とても印象に残っている。
その時よりも格段に腕を上げた彼のマジックは、まさに不思議の国のイリュージョンだった。*(驚き)**(びっくり1)*
冷静に見れば種明かしが分かるのだろうが、演出効果もあり、本当に魔法が使えるように見えた。*(驚き)**(はてな)**(驚き)**(びっくり2)*

彼が繰り返し使った言葉。『想像力』
見えないはずのものが見えてくる。「そうなったらいいのにな」ということが、本当になっちゃったりする。逆に、「何でそうなるの?どうなってるの?」と言う驚き*(驚き)**(びっくり2)*
全く飽きさせないトークや、場と場の間に見応えのある踊りもあって、あっという間の2時間だった。

ロビーで末娘達の中学生サークルがやっていた喫茶コーナーの、シュークリーム付きコーヒーに協力し、末娘はお土産に可愛いミニポインセチアを頂いて、なんだか幸せな気持で帰路に着いた。


        *(グッド)*     *(グッド)*      *(グッド)*


夕飯は二人で豆乳鍋を作って食べた。
今までは兄妹全員がそろったときにしか鍋料理はしないことになっていたのだが、息子も長女も独立したこれからは、末娘と二人きりのお鍋になってしまうんだなぁ・・・。
二人で食べ切れなかった分と、いつも以上にお釜に残っているご飯を見ながらつくづく思ってしまった・・・。
明日はおじやにでもしようかな。

今年のクリスマスは・・・*(ツリー)*

2009-12-24 06:57:00 | 徒然なるままに
12月19日(土)

今日は、いよいよ一人暮らし突入のための息子の荷物を、朝から車でアパートに運び込み、午後からは就活で日中いない息子に代わって、PCのインターネットの接続をやってきた。
その接続がまたいろいろややこしく、なんだかんだで3時間もかかってしまった。

帰ったらとっぷりと日は暮れてしまい、おまけに、
「ダイエーで買い物したいの~」
と言う末娘を迎えに行って、ダイエーへ・・・。

夕飯を作る気力もなくなってしまっていたところへ、ポポラマーマの『半額セール』が目に飛び込んできたので、二人で外食。
クリスマスソングをBGMに二人で食事をしながら、ああ、今年クリスマスは、末娘と二人だけのクリスマスになっちゃうんだなぁ・・・と言う実感がわいてきてしまった。

去年までは『彼女のいない寂しい男達のクリスマス会』と称し、仲良し5人組で毎年ワイワイやっていた息子達も、今年はそれぞれ、一緒に過ごすお相手が出来たようだと言っていたし。
長女も今年はラブラブなクリスマスを過ごす予定だそうで・・・。
みんな、『恋人はサンタクロ~ス*(音符)*』になっちゃったんだなぁ・・・。
中2の末娘は、さすがに
「今年はサンタさんに何をお願いしようかなぁ・・・」
とは言わなくなっちゃったし・・・。
そういえば、今年はツリーも出していないなぁ・・・。

ついこの間まで、いかにサンタクロースの正体をバラさずに、プレゼントへのリクエストを事前に察知し、クリスマスの朝のサプライズを演出しようかと言う、クリスマスならぬ「クルシミマス」を過ごしていたのに・・・。
すっかりバレてしまった息子と長女にも、まだ信じている末娘の夢を壊さないよう、ちゃんとサンタさんからのプレゼント(金額指定*(汗)*)を用意していたりして・・・。

その末娘だって、後何年もしないうちに『背の高いサンタクロース』が『イヴの夜の8時』に迎えに来ちゃうんだろうなぁ・・・。*(退屈)*
その頃の私は、どこでどんな風にクリスマスを過ごしているんだろう・・・?
メタボなお腹にぴったり似合うサンタのコスプレ姿で、何処かのイベントに参加しているような気がする・・・*(シャイ)*

さて、さて、今年のクリスマスはどんな風に過ごそうかなぁ・・・。

三者面談

2009-12-17 06:14:00 | 徒然なるままに
12月16日(水)

先週は2年生、今週は3年生がインフルエンザで学級閉鎖になってしまった。

学級閉鎖になってしまった3年生は、先週、美術の時間を2時間続きでほしいと言っていたクラス。今週はその熱意に応え、冬休みは受験勉強に集中してほしくて、3時間も美術を用意してあったのに、土曜日まで学級閉鎖になってしまった。
前日、2時間続きの美術で、時間内に年内の課題(印面完成)を終えたクラスの生徒たちは心から同情していた。

昨日、学級閉鎖が決まった時、そのクラスの担任の先生の計らいで、家で作業を進められるように、篆刻セットを持ち帰ってもらうことにした。
欠席や早退した生徒の分は、病院の許可が出て外出が出来るようになったら、願書関係を届けに登校した時に、先生が手渡してくださることになった。

篆刻は、元気になったらいくらでも頑張れるから。皆が早く元気になって、来週クラスが復活することを祈っている。
 
        *(クローバー)*    *(クローバー)*    *(クローバー)*

今日は、末娘の三者面談だった。
上二人の中2の時の三者面談と比べれば、なんと穏やかな、ごくごく普通の面談だったことだろう。
学校での彼女の様子は、勉強も部活動も、よく頑張っており、なにより、スキー合宿の実行委員長にクラス満場一致で推薦されたことを先生が強調してくださっていた。

リーダーになるからには、自分の好き嫌いや都合で動いたり、みんなの意見に振り回されては勤まらない。
人より早めに集合時間に行っていたり、学校側の伝達事項をきちんと伝えたり、この合宿を成功させるために、誰よりもルールやマナーを守らなくてはならない。
リーダーとはそういう意味で、実は孤独な役割でもある。
彼女の性格上、行動力や周りの気遣いはあるが、楽しいことを優先するところが裏目に出ないように頑張ってほしい。

まあ、たとえ、失敗しても、それはそれで、いい経験になるだろうが、今回はスキー合宿。ちゃんとルールを守らなければ、怪我や命に関わることもある。
寝不足や空腹でスキーは出来ない。風邪などの健康管理は、行く前からちゃんと体調を整えておかなくてはならない。
「連れて行ってもらう」のではなく、中学校生活で最高の思い出を作りに行くというつもりで、今からモチベーションをあげて頑張って行ってほしい。

長女が独立し、今また息子が就職活動で実家に帰っている私の妹のアパートを拠点としているとしているので、今、末娘は一人っ子状態だ。
その中で、家庭学習をし、家のことも手伝ってくれているし、この所、いろいろ取り込んで立て込んでいた私を気遣ってもくれた。
一昨日はそんな娘と一緒に映画を観にも行ったのだが・・・・。
やはり、思春期・反抗期。どこのうちでも見られるような母子バトルはあるわけで・・・。

でも、学校での娘の様子を聞いてちょっとホッとしている。
23日のテニス*(テニス)*の公式試合には、選手に選ばれて出場すると言う。
美味しいお弁当を作って、今度はインフルエンザにならないよう(前回は寒空の中応援に行ってかかってしまった)ホッカイロを体中に貼り付けて応援に行ってあげよう。



YELL

2009-12-13 02:53:00 | 徒然なるままに
12月10日(木)

昨日の似顔絵付きメッセージお守りは、描かれた先生方にも大好評だった。
なぜか、職員室の3年生のホワイトボードに原画が貼りだされ、
「この絵に向かって、3年生全員合格を祈願しましょう!」
・・・って、拝まれてもそんな御利益ないから~*(シャイ)**(汗)**(汗)*

生徒達は今日の1時間目の道徳の時間に皆で寄せ書きをし合うことになっていた。
休み時間、昨日の依頼主の先生が、
「生徒達にもウケてましたよ。『何でN先生だけがカッコイイの?』って言ってましたよ。」
とおっしゃるので、
「他の先生方は、去年の卒業アルバムを見ながらだったので、笑顔の顔になりました。N先生は今年いらした先生でお写真がなかったので、モデルになっていただいて、デッサンしたんです。そしたら、じっと私を見つめてくださっていたので、笑顔ではなく、バッチリ見開いた大真面目な顔になっちゃったんです」
と言い訳した。*(シャイ)*

さて、その3年生たちが、今取り組んでいる美術の課題が『篆刻』だ。
最初、見慣れない篆書体で石に文字を刻むなんて、良く分かっていなかった生徒たちも、デザインが決まり、彫り出したとたんに、その面白さと、難しさゆえに逆に集中して入り込む楽しさにハマったらしい。
集中力が切れると、うっかり残すべき線を削ってしまったりするのだ。
「先生~、これって、やり直し~?*(青ざめ)*」
「やり直し」
「え~?*(涙)**(汗)*」
「その傷が消えるぐらいまで紙やすりで面ごと平らに鑢をかけて、耐水ペーパーで表面をツルツルにして、再度文字をカーボン紙で転写して、もう一度彫る!」
「う~~~ん、がんばる*(びっくり2)*」

生徒達は、そうやって、失敗してもけっこう頑張って、やり直しをしている。
まあ、気にしなければいいか・・・なんて妥協するような生徒がいない。
みんな、『一生物のはんこ』作りに夢中だ。
でも、時間は非情で、45分授業なんてあっという間だ。
やっと彫るぞ!というところで、
「撤収~~~*(びっくり1)*」
の号令。
「え~~~~*(涙)*」
「先生、次の時間も美術できるように頼んでよ~!お願い*(ウインク)*」
「今止めたくない~*(涙)*
「そんなわけには行かないの。でも、冬休み前までの範囲が終わっている教科があったら、その先生に来週の時間を美術にもらえるか掛け合ってみてあげるから、今日はそこまで。」
「出来れば2時間続きになるようにお願いします」
「それは他の学年との絡みもあるから希望通りって分けには行かないかも。でも、そうなるためには、みんなが他教科の授業も一生懸命取り組まなかったらお願いしづらいんだから、頑張ってね」

そうして、生徒達は、しぶしぶ引き上げて言ったのだが・・・!
たった一人だけ、お尻に根っこが生えたように座ったまま、ひたすら印面を彫り続ける男子生徒が一人・・・。
「もしもし、次の授業が始まるよ。片付けてすぐに教室に行きなさい」
「先生お願い!俺、今ここで止めたくないんだ。これで3度目の正直なんだ。1回目は適当にやって失敗した。2回目は気をつけ方が足りなくて失敗した。3回目でやっとここまでできたんだ。今この集中力が切れると、仕上がらなくなりそうなんだ」
「皆もそうだったんだと思うよ。でも、頭切り替えて、みんな次の授業に行ったよ。あなたのは「わがまま」だよ。来週は2時間もらえるように頼んでみるからもうクラスに戻りなさい。焦ってやっても失敗するだけだよ」
「お願いだよ先生、もうちょっとなんだ。休み時間いっぱいでいいからやらせて」
「休み時間は移動や次の授業の準備なんだよ」
と言いながら、普段の彼からは見ることのない熱心さに根負けし、インターフォンで彼のクラスに連絡をした。
「今、○○君を美術室で指導中です。申し訳ありませんが次の時間少し遅れます」
何とかギリギリ間に合って、捺印してみた彼の朱文(文字が赤く出る印面)は、画数の多さにもかかわらず、立派に文字が捺印できていた。
それに満足した彼は、きちんと後片付けをし(普段はやりっぱなしで、片付けは適当*(怒り)*。時々私に向かって「ママ、後はよろしく~!」なんておどけて逃げていくようなやつだ*(激怒)*)ファイルにも反省を書きながら、
「先生は何で今年だけなんだ?何で来年もいられないわけ?」
と聞いてくるので、
「もう1年いたくても、講師は1年間しかいられないんだ。でも、去年も1年間しかいられなかったから、今年、あなた達に会うことが出来たんだよ。来年の今頃はどこにいるかわかんないけれど・・・」
「ふ~ん・・・。俺達、去年、あんな作品(CDジャケット・ゾートロープ)や1年の時、土器なんかやらなかったぞ」
「でも、別の課題やっていたでしょ。ゾートロープとかぼかしや星飛ばしなんかの手法は多分、私ぐらいしかやっていないんじゃないかな。」
「先生によって、専門が違うわけ?」
「うん。油絵とか日本画とか、彫刻科とか、デザイン科とか。私はデザイン科出身でアニメの仕事していたからね。でも、中学校3年間のうちに生徒に身につけさせなきゃいけない共通題材はあるんだよ。」
「俺、去年銅板打ち出し作品で市の文化祭で『教育長賞』取ったんだ」
「知っているよ。あなたは集中できれば、いいセンス持っているんだからそこそこいい作品ができる力を持っているもの。BOX ARTだって最初のうちふざけてばっかりけれど、最後は間に合ってけっこういいのできてたじゃない」
「最初っから丁寧にやればよかった」
「じゃあ、『篆刻』でリベンジだね。印面けっこういい感じに出来たから印ちゅうも頑張れ!」
「俺、他人と同じのは嫌なんだ。目立ちたいって言うか、オリジナルでいたいって言うか・・・」
「それってさ、他人と同じことが出来てその上に更にオリジナリティがあれば本物じゃない?他人と同じことも出来ないで目立ちたがってばかりいても、それは逃げてる言い訳でしかないよね?」
「そうなんだよなぁ・・・」
「じゃあ、逃げていないで、次の時間、ちゃんとみんなと一緒に授業受けて来なね。あなたが頑張るなら、私も頑張って、来週2時間続きで美術が出来るように掛け合ってみるから。」
「分かった。じゃあ、頼むよ」
そう言って、彼は教室に向かって行ったのだが・・・。

私は彼らとの約束を果たすべく、3年生の先生方に掛け合い、教務の先生にもお願いして、何とか冬休み前の最後の週に、3年生の2時間続きの美術を実現させた。その代わり、その時間内に全員印面を完成させ、冬休みの宿題にしないことを実行させなくてはならない。

先ほどの彼の担任と、次の授業の先生にお詫び方々、彼とのやり取りを報告した。すると、
「他人と同じことが出来た上で、更にオリジナリティがあれば本物だけど、他人と同じことも出来ないで、目立ちたがっていても、それは逃げてる言い訳でしかない。」
と言った私の言葉に、彼が素直に頷いたことに驚いていた。
彼にとっては、かなりハードルの高いきつい言葉だったのかもしれない。

実際、芸術家とか、『天才』と言われる作家が全て、人並みのことが出来、その上にオリジナリティがあるのかというとそうではない場合のほうが多い。
むしろ、ゴッホや、ロートレック、葛飾北斎、棟方志功、山下清は、『一般の人々』から見たら、かなり常識からは外れてはいるが、破天荒な生活や生涯を送っている。
でも、彼らの絵に対する姿勢は、基本に忠実に、モチーフに対して本当に低姿勢だ。そして、究極のオリジナリティを目指す情熱は誰にも負けない。何より、自分自身に妥協を許さない。
それに反して、古今東西の画家の中には、時代の寵児と謳われながら、時の権力者におもねって、己の信念を曲げて媚びた絵を描く者、テクニックは高いが、誰かの絵を真似た贋作まがいの絵しか描けない者など、たくさんいたことだろう。

ピカソは天才ゆえに生涯自分のアカデミックな絵からの脱却に苦しむ。
14歳で当時のスペインの画家達の頂点に立ってしまった彼は、自分のオリジナリティとアイデンティティを求め、『青の時代』『ばら色の時代』・・・・とさまざまな画風に挑戦し続け、独自の世界を開拓し、各方面に影響を与えながら、最後にたどり着いたのは
「やっと、子どもらしい絵を描けるようになったよ」
と言う言葉だった。
ピカソの絵を最初からああいうキュビズムのスタイルや、子どもの殴り描き見たいな絵だと思っていた生徒達は、ピカソが自分と同じ14.15歳ぐらいの絵を見るとかなりびっくりする。
まず、基礎基本があって、そこから生まれてくる説得力や影響力の強さが、『本物』のオリジナリティなのだと思う。
まさに、『天才は一分の才能と九分の努力』なのだ。エジソンも、イチローも同じだと思う。


ところで。彼の「寄せ書きお守り」の紙には、クラスメイト達はどんな応援メッセージを書いてくれたのだろう。
また、彼はクラスメイト達にどんなメッセージを送ったのだろう?
私から彼へメッセージを送るとしたら・・・。
『自分に負けるな!目指せ、本物のオリジナリティ!!』
かな。
そして、これは私自身へのエールでもある。