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思い出のマーニー

2014-07-27 14:56:49 | アニメ
観終わった後、胸がいっぱいになって、しばらく余韻に浸っていました…。

いろいろ疑問点はあったけれど、米林監督のが目指した「マーニーと杏奈の気持ちに寄り添い、見る人の気持ちに寄り添って、温かい気持ちになる映画」でした。

他の方のレビューを読むと、従来のジブリ路線や原作ファンの方々にとっては、辛口の評価の様ですね。
私もジブリファンですが、今まで通り、「子どもに見せたい映画」であり、自分の中に残っている子どもに見せたい映画だと思いました。
ジブリの映画に、冒険活劇や浮遊感を求める人には物足りなく、原作ファンには突っ込みどころ満載かもしれません。

でも、舞台は狭いかもしれないけれど、立派なブレイブストーリーです。
103分という限られた時間枠の中で、登場人物達の関係性や、主人公達の友情が深まり、成長する姿が丁寧に描かれていたと思います。

心に闇を持つ少女たちが、時空を超えて育む友情は「ファンタジー」ではありますが、最後にそれが「現実」となった時、杏奈は自分の中の殻から解き放たれ、周りの人々の愛に気づき、自分自身をも愛せる様になるのです。
「外側」にいる人間が「内側」に入って行くのって、本当に勇気がいることなのです。

私はまだ原作は読んでいないのですが、この映画は、原作を読んでいない人は、ぜひ読まずに先に映画を観ることをお勧めします。

この作品は、杏奈と同じ様にこれから先の展開が分からないまま、杏奈と同じ気持ちになって成り行きを見守る映画だと思います。その方が楽しめます。
もし、辻つまが合わないシーンがあっても、それは余白。自分の妄想?で補いながら、ストーリー展開に振り回されるのを楽しむのです。

本当はどうだったのかとか、原作との違い、割愛されたシーンやエピソードは、後で原作を読めば、2倍楽しめると言うもの。

劇場アニメなのだから、単純にアニメならではの表現や背景美術の美しさを楽しめればいいのでは?と思います。

最後に流れるプリシア・アーンの歌声が心にしみます。
https://m.youtube.com/watch?v=Yb2arWjBhp0&feature=youtu.be
さっき、ネットで歌詞の内容知り、彼女がいつその歌を作ったのかと言うエピソードを聞き、感動しました。
今度はしっかり原作を読んでから、再びじっくりこの映画を観てみたいと思いました。

『おおかみこどもの雨と雪』 

2012-08-02 20:53:50 | アニメ



8月1日(水)

今日、『おおかみこどもの雨と雪』というアニメ映画を見てきた。
http://www.ookamikodomo.jp/index.html

観終わって、私はすごく落ち込んだ。
花が、うらやましくて、うらやましくて、うらやましくて・・・・。

そのまま、私は、『極楽湯』に行って、シャンプーをしながら泣いた。
私の嗚咽は、シャワーの音と浴場の喧騒にかき消されていたことだろう。
寝風呂で寝ていると、次から次へと涙があふれて来て、私は声も出さず、そのまま涙を流し続けていた。
涙は、私のささくれた心を潤し、淀んだ心を洗い流し、ひび割れた心を温めてくれた。

さっき見た映画のいろいろな場面や台詞を思い返していた。
自分と重なる部分・・・。
重ならない部分・・・。

花の言葉に。
彼の言葉に。
雪の言葉に。
雨の言葉に。
共感したり、気づかされたり、感動した。

花の最後の言葉は、巣立ちゆく我が子への母ならではのエールだ。
いつかこの日が来ることを望みながらも、あまりに突然訪れた巣立ちの時。
母として、我が子を信じ、旅立たせる時の心情が、今の自分とオーバーラップした。

彼女にそれを決心させたのは、彼の言葉だった。
彼は、ずっと見守っていてくれたのだ。そして、花が一番欲しい言葉をくれた。
その言葉が、本当にうらやましい。

雪の言葉には勇気をもらった。それはまた、同級生の草平君からもらった勇気のおかげだ。
ありのままの自分を見せる勇気。それは、自分を信じ、大切に思ってくれる人がいるから。

雨の言葉には、大切なことを気付かせてくれた。
自分にとって必要な、大切な「先生」とは、どういう存在か。
自分がいかに生きるべきか。それを指し示し、自らがその手本となり、導いてくれる存在。
彼がそういう存在と出会い、彼自身が自分で自分の生きるべき道を選ぶことができたのは、花のおかげだ。

私は、我が子たちに何を教えてきただろう。
何を伝えてきただろう。
何を大切にしてきただろう。
あの夢のような日々に、忘れ物をして来てはいないだろうか…。

我が子たちも、いつかは、愛する人とともに、家族を作り、父となり、母となる日が来るかもしれない。
その時、生まれた我が子を見て、どんなことを思うのだろう。

このアニメは、子どもたちはもちろん、これから大人になる少年少女、これからパパママになる若い人、今、子育て真っ最中のお父さん、お母さん、子どもがだんだん手が離れてきたミドルエイジ、「最近の若い親は!」なんて、思っている子育てからだいぶ遠のいたかつてのお父さんお母さんたちに、ぜひ見てほしい作品だ。

映像が美しい。
細野監督の故郷富山県がロケーションのモデルだそうだが、大自然の描き方が素晴らしい。真っ青な空と白銀の世界のコントラスト、嵐の雨の表情と、雨上がりの緑の眩しさがとても印象的だった。
花の声の宮崎あおいさんの演技と、彼の声の大沢たかおさんの演技も、とても自然で深みのある声だった。
特にあおいさんの笑う演技は、はにかみも、大声で笑うのも、無理に笑顔を作る時も、とても自然で良かった。

エンディングが最高だった。
エンドロールで流れる歌は、今も耳に残って、私を、すべてのお母さんたちを応援している歌だ。

夏休み、ぜひたくさんの人に見てもらいたい作品だ。


『イノセンス』~シーザーを理解するためにシーザーである必要はない~

2010-09-04 10:50:42 | アニメ


種田陽平氏がかかわった作品の中に、押井守監督の『イノセンス』がある。
TVシリーズにもなった、士郎正宗による漫画作品の『攻殻機動隊』の劇場版で、1995年公開のアニメ『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の続編にあたる。

劇場公開時に見に行ったが、私は、原作も前作の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』も知らないで、いきなり劇場版を観たので、ストーリーや、その設定について行けず、アニメーションの質としては素晴らしテクニックや背景美術ではあるのは分ったが、内容はさっぱり分からなかった。

今回、種田陽平氏がプロダクションデザイナー(美術監督)としてかかわっていたと知り、その視点からもう一度見て見ようと思ってDVDを借りてきた。

冒頭に、『この作品の世界に入る前に』ということで、『攻殻機動隊』の世界の2039年という時代の設定の説明や、『攻殻機動隊』とはどういう組織か、また、それぞれの登場人物についてなど、分かりやすい解説が付いていた。

そのお陰で、かなり世界に入りやすく、また、以前見て疑問だった点も答えがわかって、興味深く観ることができた。
http://www.production-ig.co.jp/contents/works_sp/1160_/
http://www.bandaivisual.co.jp/oshiimamoru/

時代は21世紀、第三次核大戦と第四次非核大戦を経て、世界秩序は大きく変化し、科学技術は飛躍的に高度化した。その中でマイクロマシン技術(作中ではマイクロマシニングと表記されている)を使用して脳の神経ネットに素子(デバイス)を直接接続する電脳化技術や、義手・義足にロボット技術を付加した発展系であるサイボーグ(義体化)技術が発展、普及した。その結果、多くの人間が電脳によってインターネットに直接アクセスできる時代が到来した。人間、電脳化した人間、サイボーグ、アンドロイド、バイオロイドが混在する社会の中で、テロや暗殺、汚職などの犯罪を事前に察知してその被害を最小限に防ぐ内務省直属の攻性の公安警察組織「公安9課」通称「攻殻機動隊」の活躍を描いた物語。(Wikipediaより)

かつて、『銀河鉄道999』で、機械の体を求めて旅する少年鉄郎と亡くなった母によく似た姿の美少女メーテルが、いろいろな惑星に立ち寄りいろいろな人たちとの出会いから、『機械の体』と『生身の体』について葛藤しながら旅するシーンがあった。

『電脳化』によって、瞬時にして他人と情報を共有することができるということは、同時に、自分の脳の中に他人の意識が入り込んできたり、覗かれたり、コントロールされたり、全く別の情報を埋め込まれたり、乗っ取られたりするということにもなりかねないのだ。

そんなことが、あと20年も経ったら当たり前のように行われていると思うとぞっとする。
と言いながら、今だってサイバー犯罪ほどんどん広がっている。若者の携帯電話依存症、子どもたちのゲーム脳などは、近未来の電脳化の前哨戦なのかもしれない…。
大人だって、必要な栄養はサプリメントで摂取し、どこに行くにも車を使っている。生身の体でありながら、自然治癒力も免疫力も落ちて『薬漬け』になっているのは、はたして健康な体といえるのだろうか…。

『イノセンス』の美術は、改めて見ると、近未来のアジアのものすごいエネルギーを感じた。近代化される都市の裏側で、たくましく、したたかに生き延びているドヤ街のエネルギーと胡散臭さがうまく出ていたと思う。

音楽も「傀儡謡」のコーラスは75人の民謡歌手を集め、更にクライマックスに使用された傀儡謡ではコーラスを4回収録し、それを同時に流す事によって音に厚みを増しているというこだわりよう。あのこぶしの聞いたコーラスとキーの高さはアジアンテイストをうまく表現していると思う。

押井守監督が『うる星やつら』の劇場版『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』でも使っていた、同じ時間を何度も繰り返す不思議な現象も、作品の中で用いられている。

『公安九課』のリーダー荒巻氏が引用した「シーザーを理解するためにシーザーである必要はない」(マックス・ウェーバー『理解社会学のカテゴリー』)の言葉はすごく心に残った。
また、『鳥の血に悲しめど、魚の血に悲しまず、声有る者は幸福也』(斎藤緑雨)も、
『ロバが旅に出たところで馬になって帰ってくるわけではない』(西洋の諺)も興味深かった。

改めて、『攻殻機動隊』の原作漫画を読み、TVアニメシリーズを最初からてみようと思った。

雲のむこう、約束の場所

2010-01-24 09:36:00 | アニメ


2004年に公開された新海誠監督の第2作。
http://www.kumonomukou.com/top.html

新海監督の作品は、お互いに思い合う少年少女がどうにもならない運命の力で引き裂かれ、それでも、遠く離れた場所で、何年もかけて思いあう話が多い。
「ほしのこえ」は地上と宇宙に。
「秒速センチメートル」は、親の仕事の都合による転校という物理的な距離と、お互いの成長と言う精神的距離によって。
そして今回の「雲のむこう、約束の場所」は、少女の「目覚めることは世界の破滅につながると言う眠り」によって・・・。

今回もまた、監督の背景美術に魅せられてしまった。
緻密でリアルな背景でありながら、2次元的な登場人物たちの動画が重なっても、全く違和感を感じない。
同じ空間にちゃんと存在し、そのリアルな道具をその登場人物がちゃんと使っているように見えるのだ。
また、視点と言うか、カメラアングルとそのパースの正確さ、焦点の移動によるぼかしやピントの合わせ方など。背景と動画が全く分離していないのだ。その自然な表現は、新海監督の「色指定」のセンスと背景美術のパースペクティブの技術の高さ、絵画としての絵心の豊かさ、そして何より、それら総合的美術としてのアニメーションの完成度を求めるこだわりから来るものなのだろう。

そして今回、音楽の持つ存在感に心打たれた。
少女が眠りにつく前に少年達に弾いて聴かせたヴァイオリンの曲を、一人暮らしの東京の部屋で少年はひたすら練習し、3年後、約束の場所へ旅立つ前の晩に、眠りについている彼女のいる空間でその曲を弾くのを聞いて、その少年の一途さに心打たれる親友・・・。
音楽が「あの頃」に一気に連れ戻してくれる。
まさに、音楽は「人生の栞」だ。
その曲を聞いた時の空間の気温、風の匂い、日差しの柔らかさ、着ていた服の質感、肌のぬくもり、その時の自分の心情まで一瞬にして思い出せる。

少年・藤沢浩紀役の吉岡秀隆氏のインタヴューによると、
「新海監督は『声を当てるのではなく、普通に演技してください。後でこちらで調整しますから』と言ってくださったので、浩紀になりきった自分の「間」で自然に演技が出来た。
と語っていた。
これはすごいことだと思う。
いわゆる『アテレコ』や『アフレコ』というのは、すでに出来上がった映像を見て声を当てていくのだが、役者の声の演技に合わせて動画を作っていくのは大変なことだと思う。
ただの口パクではない。その声や口調や『間』に合った表情にまで影響がでてくるのだ。
でも、それだけのこだわりがあったからだろう、その演技は浩紀と見事にリンクしていてすごく自然に見ることが出来た。


順番的に、『ほしのこえ』『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』となるのだが、できれば、新作は『叶えられた初恋』と言うテーマでつくってほしいなぁ・・・。
『秒速5センチメートル』最終章は、現実的で切な過ぎるので・・・。

昨日、『アニメイト』に新海監督の背景美術画集『空の記憶』を捜しに行ったら、売り切れだったので、注文してきた。
彼の背景美術は、かつての背景マンとしての私の封印を解いてしまった。
その画集を手にしたとき、私は一体どうなってしまうのだろう。
今から胸が高鳴って仕様がない。

秒速5センチメートル

2010-01-19 23:45:55 | アニメ


アニメ「ほしのこえ」の作者、新海誠氏の作品。

小学校の同級生で、転校で離れ離れになった貴樹と明里の再会の日を描いた「桜花抄」、その後の貴樹を片思いする少女の視点から描いた「コスモナウト」、そして大人になった彼らの気持は・・・?表題作「秒速5センチメートル」。3本の連作アニメーション作品。

「秒速5センチメートル」と言うのは、桜の花びらが散る速度なのだそうだ。
「桜花抄」 では、再会を約束した日に大雪に見舞われ、電車は遅れに遅れ、約束の時間に大幅に遅れて貴樹がやっとたどり着いた駅の待合室で、明里を見つけたときの貴樹の表情がいい。

「ほしのこえ」の背景画もそうだったが、主人公達の気持が、挿入された背景画に描かれる風景や小道具のアングルや描き方で、「台詞」で聞くよりも更に切なく胸が締め付けられるように伝わってくる。
桜の花びらが舞い落ちる水溜り、新宿駅の雑踏の様子、切れそうで切れない蛍光灯の点滅、車窓に張り付く結露の一粒一粒にいたるまで、ただの場所や状況説明ではなく、それぞれにちゃんと役どころがあるのだ。
オールロケで描かれたという背景は、リアルに描かれながらもとても幻想的であり、1カット1カットの絵に存在感がある。
特に、「コスモナウト」に描かれる種子島での宇宙ロケット打ち上げの瞬間は、胸が高鳴りながらもなぜかすごく切なくなる。貴樹の夢と現実の間で揺れ動く少年の気持が、ロケットの軌跡のあとの一筋の煙に分断された夕焼け空に反映されているからだろうか・・。
最終章の「秒速5センチメートル」は、大人になるってこういうこと・・・?二人はこうして「大人」になっていくの?その絶対的な「時間」と「距離」は、それでも、今はそうでも、いつかは再びリンクすることはあるのでは?と淡い期待を抱かせる。

BGMに流れる山崎まさよしの「One more time, One more chance」がその映像とともに胸を締め付ける。
初恋の切なさと儚さが切々と伝わってくる。

自分の初恋とリンクする部分もあり、見終わった後もしばらくは余韻に浸ってしまった。

春になったら、桜の花びらが散るのを見るたび、BGM には「One more time, One more chance」が脳裏に蘇り、切なくなってしまうかもしれない。

【秒速5センチメートル】http://5cm.yahoo.co.jp/story/index.html
【One more time, One more chance】http://www.youtube.com/watch?v=T-yemSc3VdI

ほしのこえ

2010-01-19 22:24:59 | アニメ


「ほしのこえ」は、携帯メールをモチーフとした、宇宙と地上にわかたれた少年と少女の超遠距離恋愛のお話(作品全長25分)。
新海誠氏が、監督・脚本・演出・作画・美術・編集などほとんどの作業を一人で行った約25分のフルデジタルアニメーションだ。

第1回新世紀東京国際アニメフェア21・第7回アニメーション神戸・第6回文化庁メディア芸術祭・第8回AMD AWARD・デジタルコンテンツグランプリ2002受賞作品。

私がこのアニメを見るきっかけとなったのは、1年生の美術の課題に出した『読書感想画』で、この作品を描いて来た生徒がいて、その内容に興味を持ったからだ。
地球と宇宙に引き裂かれる恋人達を繋ぐのは一本の携帯電話によるメール。
そのメールが届くのが、宇宙船の移動とともに1週間から1ヶ月、半年、1年、8年とかかってしまう。その絶望的な距離と時間を切なく描く詩情あふれるアニメだ。
設定やキャラクターを際立たせる背景美術が素晴しい。本当に絵が上手い。何気ない日常の一コマや、小道具、風景や建物のアングルが、台詞はないのに雄弁に物語っている。その存在感は登場人物にも匹敵するようだ。ただの水溜りがあんなに美しく、電柱やバス停にいたるまで全てのモチーフの描き方に愛情を感じる。
宇宙に行ったきり帰って来られない15歳の少女が、地球と恋人を恋しがる気持がびんびんと伝わってくる。

私も、故郷を離れ、ホームシックに苛まれて初めて帰省した時、故郷の無人駅のトイレのドアや電柱にまで頬ずりしたくなるような愛おしさを感じたのとすごくリンクする。

一緒に見ていた中2の14歳の娘は、
「切ない、切ない」
と言いながら見ていた。

宇宙に旅立った彼女が未だ15歳なのに、地上に残った彼はどんどん年をとっていく・・・。
8年後に届く「HAPPY BIRTHDAY!」のメールに、その届く時点での彼の年齢をメールに打つ彼女の気持はどんなだろう。
そのメールを待つ8年間と、それを受け取る時の彼の気持はどんなだろう?・・・

夜空を見上げると、無数の星が輝いている。
あの星の光は何万光年を経てこの地上に届いているのだろうか?
その星の光源は、その光が地上に届く間に消滅しているかもしれないのだ。
私が生まれた時にできた星の光が、今、この時、ようやく地球に届いているかもしれない。
そう思うと、夜空の星の輝きは本当に神秘的だ。

久しぶりに、元アニメ背景マンとして眠っていた「何か」を揺り起こされるようなアニメだった。

【ほしのこえ】http://www2.odn.ne.jp/~ccs50140/stars/index.html
【新海 誠】http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E6%B5%B7%E8%AA%A0
      http://www2.odn.ne.jp/~ccs50140/

時をかける少女

2009-10-13 11:47:32 | アニメ


実は、細田守監督の作品は『サマーウォーズ』のほうを先に見た。それで、この監督の作品をもっと見たくなって、前作のこの作品を見ることにしたのだ。

『時をかける少女』は筒井康隆・原作で、今までも何度もTVドラマ化も映画化もされている。
私がこの作品に出会った最初は、NHKの少年ドラマシリーズ第一回作品として放映された時だ。
当時は、『タイムトラベラー』と言うタイトルだった。
私がSF小説や漫画、映画にはまっていく原点となった作品だったのかもしれない。
また、なぜか、その頃、自分でも、よく『デジャヴ』(Déjà vu:既視感)を見ていて、当時の自分とすごくリンクするところがあったのだと思う。
その後、大林信彦監督作品、原田知世主演の映画『時をかける少女』が製作され、主題歌をユーミンが担当した。大林監督の『尾道三部作』のひとつとして、尾道が舞台となり、原田知世のブレザーの制服姿が初々しかった。
でも、やはり最初の『タイムトラベラー』の時芳山和子役の島田淳子のセーラー服のほうが、イメージかなぁ・・・。

アニメのほうは、原作の次世代版といった内容だったが、等身大の高校生の青春ドラマ!担っていた。
主人公の真琴は、放課後の理科準備室で偶然タイムリープ(時間を超える力)の能力を身につけることが出来た。
その力を使って、何度も過去に遡って些細な失敗をやり直すのに、なかなか思うような『現在』にならない。
何度も失敗を繰り返すうちに、大切なものと自分の将来の目標に気づいていく。
ラストシーンはちょっぴり切なくさわやかだ。

原作の芳山和子が、真琴のおばの役で登場し、物語の水先案内人のような立ち居地で、真琴に助言する。
彼女のその後を想像させるエピソードも魅力的だった。


山本二三氏も背景がまたすばらしい!1枚1枚が『絵画』であり、『リアルな空間』になっている!!

アニメ『時をかける少女』公式サイト http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/
映像はこちらhttp://www.youtube.com/watch?v=ATDlcg-hO7Q

映画『時をかける少女』劇場予告映像
http://www.youtube.com/watch?v=OeqO_nFFBCQ&feature=related

少年ドラマシリーズ『タイムトラベラー』は、残念ながら映像はありませんでしたが、こちらで最終回の画像は見られます。
http://www.h2.dion.ne.jp/~tinei/nhk.html

『BUZZER BEATER』 夢いっぱいのバスケアニメ 

2009-10-13 10:44:31 | アニメ


『BUZZER BEATER』(ブザービーター)は、『SLAMDUNK』(スラムダンク)に続き、バスケットボールを題材とした井上雄彦の漫画作品。
タイトルになっている「ブザービーター」とは、試合終了のブザーが鳴る直前や鳴ったと同時にゴールに入るシュートのことである。
『スラムダンク』の山王戦とのラストシーンを思い起こさせ、安西監督の名言『諦めたらそこで試合終了ですよ』そのもののようなタイトルだ。

最初に、アニメを見てから原作を読んだ。
原作を元に、オリジナルキャラやストリーが加味されて、より面白くなっていたように思う。
主人公のヒデヨシは、『スラムダンク』の桜木花道と清田信長がMIXされた感じで、なかなか魅力的だ。彼の成長振りがワクワクする。原作にはないライバルのジュリアス(見た目は桜木花道?)との最後の試合は夢中になって見た。監修は井上雄彦氏ということで、原作ではなかった設定(地球人とゴル星人との戦いを止めさせ、バスケットで勝負することを提案したのが『宇宙リーグ』の始まりだと言うことなど)や、オリジナルキャラの活躍は井上氏のメッセージを伝えるのに、大いに貢献していると思う。
舞台は未来で、背景はアメリカのスラム街がモデルなのだろう。ジャズ系のBGMも雰囲気が出ていて、バスケの本場アメリカでも十分楽しめる内容になっていると思う。ゴル星の未来都市の背景もゴージャスだった。
なぜ、もっとゴールデンタイムに全国放映されないのかが疑問だ。

原作の漫画はWeb上で閲覧できます。http://www.itplanning.co.jp/bbimages/body.img/B1/FBEAT1.HTML

アニメのほうはこちらから
http://www.youtube.com/watch?v=7yMchv4DmUY 

プロフェッショナル 漫画家 井上雄彦

2009-09-20 17:06:37 | アニメ
9月16日(水)

プロフェッショナルとは、『向上し続ける人ですかね。これがなくなったらプロ辞めないとって思っていることが、それなんで。だから、プロフェッショナルというのは、向上し続ける人、と思います。』

9月15日に放映されたNHK『プロフェッショナル~仕事の流儀~』に出演した、漫画家・井上雄彦氏は、こう語った。

漫画「スラムダンク」「バガボンド」「リアル」でメガヒットを飛ばしながら、創作に対しては常に真摯で繊細で、直向きだ。
 「スラムダンク」のときは、内容的にも、悩みながらも自分だったらこうするだろうと、自分自身、楽しみながらそれぞれの登場人物になりきって、ストーリーを生き、バスケット・ボールを楽しんで描いていたのだろうと思う。
 その『スラムダンク』を31巻でひとまず筆を置き、新たに挑んだ作品が、吉川英治原作『宮本武蔵』の『バガボンド』だ。
『バガボンド(vagabond)』とは英語で“放浪者”、“漂泊者”という意味である。『宮本武蔵』という題名にしなかったのは、作者が、読者の読む前の先入観・好き嫌いを持ち出されるのが嫌だったのと、過去に実在した人物を好き勝手に描くのは後ろめたさを感じたからである。

『スラムダンク』の『陽』の部分を描きながら、『陰』の部分を描きたくなったのが動機だったと語る。
『陰』・・・人間の感情の『負』の部分。生きるか死ぬかの、殺すか殺されるかの戦国時代に、『天下無双』の剣豪を目指して剣術の修行を積み続ける武蔵の行き方は、過酷で、凄惨だ。
その中で出逢う、宿命のライバル佐々木小次郎。『バガボンド』では、武蔵と同い年で、聾唖(ろうあ)者として描かれている。

連載も10年目に入り、単行本も31巻になったが、いまだ武蔵の『戦いの螺旋』は続いている。
昨年、上野の森美術館で、『井上雄彦 最後の漫画展』を見に行った。
実は、『バガボンド』はそれを見に行くまで、読んだことがなかった。
『スラムダンク』は単行本も完全版も全巻揃えるほど夢中になって読んだのだが、『バガボンド』の凄惨な戦いのシーンが苦手で、読めなかったのだ。
半ば『スラムダンク』を期待しながらも、『バガボンド』について何も知らないで見に行くのはちょっと違う気がして、BOOK OFFで27巻まで大人買いし、一気に読んでから行った。



『感動』した。
美術館の外壁に掲げてあった巨大な武蔵のイラストに始まり、作品たちが漫画の狭いこまを飛び出し、美術館の壁面に等身大で、墨一色の筆で描かれていて、迫力があった。展示の仕方も良かった。
『視線』を感じる絵だった。
洞窟の中に座る老成した武蔵が、生みの母親に会いに行った時の少年武蔵が、私を見ていた。
私は『金縛り』にあったように魅入ってしまい、動けなくなった。
『少年武蔵』の前では、30分ぐらい立ち竦んで、最後には涙が止まらなくなって、会場係の人が心配して声をかけてくださったぐらい泣いた。
『剣聖』となった武蔵が、父の霊に「この上何を求めるのか」と問われた時の答えが描かれている『間』だった。
その部屋から先は、とてもやさしい空間だった。
武蔵を苦しめていた心の棘が、一本一本抜け落ちて行って・・・・。
ラストシーンはさらに感動的だった。
『宿命のライバル』武蔵と小次郎が、少年の姿で描かれていた・・・・。

この時点で、本編の『バガボンド』はまだ連載中で、もしかしたら、あの展覧会で描かれたものとは別な結末に辿り着く可能性もあるだろう。
『あの結末』に辿り着くには、まだまだ越えなければならない、数々の山場があるのだろう。
その『手に負えないこと』を自らに課して、常に向上するために『画力』を研鑽し、嘘のない『台詞』を登場人物に吐かせるために、日々、『生みの苦しみ』を味わっているのだろう。

あの制作現場やネームを考えている時の井上氏の表情を見ていて、いつまでも待つから、とにかく最後まで自分で納得の行く作品を作り続けていってほしいと願う。
実在の武蔵とも、『原作』の武蔵とも、史実とも違ってもぜんぜんかまわない。
井上雄彦氏の世界の武蔵を描ききってほしい。

連載を終えた時、『お杉おばば』の最期を描ききった時以上の笑顔と達成感で終われるように・・・。

『スラムダンク』のラストシーン、桜木花道の名台詞『天才ですから』を更に超える感動を期待している。

井上雄彦公式サイト
http://www.itplanning.co.jp/

プロフェッショナルとは『向上し続ける人』。
私はどうだろう。
『プロ』としての『こだわり』や『プライド』はあっても、常に向上し続けているだろうか。
できない言い訳や、大変なことから逃げてはいないだろうか。
『講師』とはいえ、教壇に立ったら生徒の前では『プロの教師』だ。
『昔取った杵柄』を生かしながらも、常に技術も意識も情報収集力も向上し、意欲的に創造する力を更新し続けられる『プロフェッショナル』を目指そう!

この夏イチオシ!『サマーウォーズ』!夏休み中に見るべし!!!

2009-08-09 14:17:44 | アニメ


久々に痛快で、見た後すっきり、更にもう一回劇場で見たくなる作品に出逢った。

詳しいストーリーやキャストについてはこちらで
http://s-wars.jp/index.html

舞台と人類の運命の鍵を握る人たちが、信州上田と室町時代からのご先祖様の気概を受け継ぐご親戚の皆様と言う設定が面白い。
健二君の草食系男子そのもののような情けなさと、最後の最後まで諦めない根性の座ったところを見せるギャップがいい!
それとやっぱり栄ばあちゃんかな。
あの人脈!!残す資産はないけれど、あれだけの人脈はお金に替えられない財産だと思う。それは、身分や家系などではなく、彼女の人徳の為せる業だと思う。
自分に何事かあったときに、残る自分の大切な家族を支え、助けてくれるのは保険金でも財産でもない。自分が生きてきた中で出会った人たちとの繋がり。『困った時はお互い様』と言える人間関係。本物の『ネットワーク』って、こういうことなんだなあとつくづく思った。

ネットの世界や、携帯でもいろんな人と繋がっている、繋がれる世の中だけれど、それがどれだけ希薄なものか・・・と思いながら見ているうちに、いや、待てよ、それはそれで生かせる方法もあるのかもしれないと思った。
夏希がピンチに立たされた時、先ず親戚一同が参戦し、なおも絶体絶命の窮地に追い込まれたとき、世界中の人がネットを通じて応援に駆けつけてくれた。
その辺りは、もう鳥肌もので、涙を流しながら手に汗を握って、ワクワクしながら見入っていた。
それでも最後の最後に大ピンチになった時、健二君がまだ「負けていない!」と諦めずに計算問題を解いている姿は、本当に凛々しかった~!(神木君の声もVery Good!!)

最後は大団円で、♪Happy Birthdayの歌が聞こえてきた時には、栄ばあちゃんが生き返ったのか?と思ったけれど・・・。
温泉噴出のおまけ付きのエンディングはまさに、めでたし、めでたし。

昔には昔のいいところ、今には今のいいところがある。
それが最先端、近未来のバーチャルの世界の中で一緒になって繰り広げられる面白さ。
栄ばあちゃんの
『人の役に立ちなさい』
の教えを守り、負け戦と分かっていても、
『ご先祖様もこうやって最後まで諦めないで戦い抜いた、その子孫だからな』
『腹が減っては戦ができぬ』
と皆でご飯を食べるシーンが良かった、そこに侘助も混じって・・・(涙)。

この映画を見て、久しく故郷に帰っていない人や、お墓参りをご無沙汰している人は帰りたくなっちゃうんじゃないかなあ。
私も、帰省したらお墓参りをし、両親と娘と一緒に故郷の映画館でもう1回見ようと思う。


それにしても、『OZの世界』は、実際はバーチャルな世界やアニメの中のお話ではなく、現実の世界が抱えているリアルな問題だと思う。
停電や大雪が降っただけでストップしてしまう都市機能や、コンピューターシステムが故障しただけで飛行機は飛ばず、電車が立ち往生するなんて・・・。
なんだか便利なようで、脆弱で不安定な世の中に生きているような気がする。
何よりシステムの誤作動や、それを利用する悪い人間によって、世界は一瞬で金融恐慌から戦争勃発の危機に晒されているのだ。

道具は原始的な刃物から、最先端のメディアまで使いようによっては便利にも凶器にも変貌する。
あくまでも使う側の人間性と正義感が決め手だ。
どんなにセキュリティーを強固にする開発をしても、それをゲーム感覚で凌駕しては犯していく悪い奴らはいるわけで。
そんな時は、アナログの世界の良さと、皆の良心をかき集めて悪に立ち向かい、戦争を阻止するしかないのだろう。
道具に使われずに、道具を生かして利用できる、マナーとテクニックを身につけたいものだ。

健二君のセリフでしびれたセリフがもう一つ。
『僕はこれしかできませんから』
彼は、数学オリンピックの日本代表に選ばれそこなったほどの数学好き。
その『一芸』が世界を救ったのだ。
『一芸は身を助く』
他はからっきし××でも、これだけはずっと続けている、もしくは大好きなものがあれば、何かで役に立つことはあるものだ。

わたしにもあるかなぁ・・・。そんな『私、これしかできませんから』と言えるようなもの・・・。

そうそう、この作品を見て、『花札』やゲームも面白そうだなあ・・・と思えちゃった。
これも収穫かな。