やればできる トヨタの燃料電池車650キロメートルの継続走行が可能

2013-10-23 09:14:07 | 技術

燃料電池車が普及すれば石油の暴落が起きるね

やればできる

高級セダン並みの走り実感 トヨタの燃料電池車に試乗

トヨタ自動車が2015年の市販をめざす燃料電池車(FCV)の開発が最終段階に入った。このほど報道陣に公開した試作車に乗ってみると、環境と走りを両立させたクルマに仕上がっていた。FCVの製造コストは10年前に1台1億円以上かかっていたが、同社は20年代の量産時点で販売価格を300万~500万円の水準に下げるためコスト削減も加速する。

■“ぎくしゃく感”なく加速

トヨタ自動車が報道機関に公開した燃料電池車の試作車
 「クイーン」という独特の音とともに一気に加速し、アクセルをベタ踏みしてもストレスを感じない――。10月上旬、トヨタが都内で開いた先進技術説明会で公開したFCVのセダン型試作車に試乗した。最初は恐る恐るアクセルを踏んだが、ガソリン車のように変速時の“ぎくしゃく感”はなく加速する。カーブでのコーナリングも快適で、足回りも既存のガソリン車と遜色なかった。

 水素を燃料に走るFCVは、水しか排出しないため「究極のエコカー」と呼ばれる。環境性能の高い車だけに「走り」には期待していなかったが、見事に裏切られた。高速域では走れなかったが、排気量3000cc級の高級セダンと同等の走りができると感じた。

 FCVの中核部品である水素タンクや燃料電池スタック、足回りなどの部品はほぼ完成済み。試乗車の外観は唐草模様で偽装されていたが、トヨタが一般メディアに対し開発段階の試作車に試乗させるのは異例。同社がFCVにかける強い思いが伝わった。

 市販が見えてきたもののコスト削減という大きな課題は残る。燃料電池システムのコストは1000万円を切る水準まで達したが、15年の市販時にはさらに減らす必要がある。量産段階に入る20年代にはセダン型の価格を「300万から500万円程度」(技術統括部の高橋剛主査)の水準での販売を目指す。

 コスト削減の取り組みの1つが、水素と酸素の化学反応を促す燃料スタックの触媒に使う高価な白金の使用量削減だ。トヨタは1台に100グラム以上使っていた白金を性能を維持したままで30グラム程度まで抑えた

650キロメートルの継続走行が可能
 部品の小型・軽量化も進める。トヨタはこれまでSUV(多目的スポーツ車)ベースの試作車を公開してきたが、今回のより小さなセダン型は基幹部品を小型に仕上げる必要があった。水素を入れるタンクを4本から2本に削減。設置位置もエンジンルーム部分ではなく座席下部に収めるためアンダーボディーの骨格を大幅に見直しボディー剛性を作り直すなどの改良を重ねた。

 コスト削減や量産化には課題を残すもののFCVの最大の特徴である環境性能は高い。公開したセダン型FCVは、エアコンをつけたままで愛知県豊田市のトヨタ本社から、東京都の晴海埠頭の試乗会場まで322キロメートルの距離を燃料補給なしで走行した。水素の残量から推定すると約650キロメートルの継続走行が可能という。

 燃料電池車を巡っては、日米欧の自動車大手による技術提携が今年に入り相次いだ。日産自動車は米フォード・モーターや独ダイムラーと、ホンダは米ゼネラルモーターズ(GM)とそれぞれ技術提携を結んだ。各社とも巨額の開発費負担をできるだけ抑え、先行して市場に投入することで次世代エコカーの覇権を握る狙いがある。

 ハイブリッド車を1990年代半ばに価格を抑え先行投入して覇権を握ったトヨタ。FCV開発でも先行集団を走っているが、技術優位に慢心せず消費者が求める性能と価格を量産時に提供できるかが課題となる。

■FCV(燃料電池車)のコストダウンには脱レアアースが必須!

トヨタ自動車が10月8日、メディア向けに東京・晴海で開催した「先進技術説明会」で、FCV(燃料電池車)の試作モデルを初公開したのは既報のとおり。

レクサス HSをベースにHV化したもので、燃料電池システムや水素タンク、プラットフォームは既に完成しており、市販車でもそのまま使われる予定のようです。

 空気をセルスタックに送るFCV特有のコンプレッサー音を伴いながら軽快に加速、乗り心地や操安性も上々との評判。

 
(レクサス HS250h)

 同社によると、2015年の市販当初の価格は噂されていた500万円以下には収まっていないようで、800~900万円辺りとなる模様。

普及価格にまで下げるには総コストの約60%を占める発電用の「セルスタック」の大幅なコストダウンと「量産効果」の2点が求められている状況。

中でも、セルスタックの化学反応を促進させる電極用の「白金触媒」がコストを増大させる一因となっている模様。

(FCVシステム外観)

ちなみに「白金」の世界全体の推定埋蔵量は3~8万トン程度とされており、主な産出国は南アフリカ共和国、ロシア、カナダで、多くは南アフリカに偏在。

グラム当たりの価格が5,000~7,000円と非常に高価で、「NEDO」によれば、FCV 1台に使用される白金の量は平均で約50gとか。

現在の産出量は年間180トン程度で、世界の自動車年産台数の10%以下しか需要を満たせない状況と言います。

先日、ベンチャー企業が京大との産学連携で開発した固形の水素化カルシウムから水素を発生させて発電する「固体水素源型 燃料電池システム」の話題をお届けしましたが、今回は白金触媒に代わる画期的な材料が開発されていると言う話題です

日清紡ホールディングスが群馬大学の尾崎教授と共同で開発した「カーボンアロイ触媒」がそれで、白金の代替触媒として世界最高レベルの発電性能が確認されたことから、実用化への期待が高まっている模様

(カーボンアロイ触媒を使った燃料電池による発電デモ)

 「カーボンアロイ触媒」は数%の窒素を含んだ炭素が主成分で、カーボングラファイトに窒素とホウ素を入れてアロイ化、白金と同じように燃料電池の酸素還元反応を促進する機能を発揮するそうです。

 価格は白金の6分の1、もしくは10分の1程度まで低減可能で、手の平サイズにすれば携帯電話やスマホの充電にも使える模様。

白金触媒の他にもセルスタックの心臓部である電解質膜の材料や、セルを区切るセパレータなど、様々な部品の低コスト化についても「NEDO」が推進するプロジェクトの元で産学連携により研究が進められている状況。

2020年の本格普及に向けたFCVのコストダウンは新たな研究成果と共に着実に進んでいるようです。

■NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)
  http://www.nedo.go.jp/

 ■日清紡ホールディングス Webサイト
  http://www.nisshinbo.co.jp/r_d/index.html

〔関連記事〕
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http://news.ameba.jp/20131020-58/

 

 



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