銘建工業、集成材パネルで3階共同住宅建設

2013-03-27 22:30:58 | 技術

銘建工業、集成材パネルで3階共同住宅建設

集成材最大手の銘建工業(岡山県真庭市、中島浩一郎社長)は集成材パネルを使った3階建て共同住宅を国内で初めて建設する。建築基準法で構造材として認証を受けていないため、国の特別認可を得て、高知県内で8月にも着工する。新しい構造材・工法を使ったモデル建築と位置付け、軸組みやツーバイフォーに続く「第3の木造工法」として普及を目指す。

 建設に使う集成材パネルは板材を直交するように重ねて貼り合わせてつくる「クロス・ラミネーテッド・ティンバー(CLT=直交積層材)」。先進地の欧州ではイギリスで9階建て、欧州以外でもオーストラリアで10階建てマンションの建設に使われている。

 CLTは厚みのあるパネルがつくれるため、耐震性や断熱性、遮音性に優れる。重さが鉄筋コンクリートの6分の1と軽量で基礎施工費も抑えられる。工場でカットして現場でビス留めで組み立てるため、工期を3割短縮できるという。全体で施工コストを1割以上低減できるとして、鉄筋コンクリートに代わる高層建築向けの構造材・工法としてアピールする。

 建設する共同住宅は延べ床面積261平方メートル。1階は1LDKが1室、2~3階は1Kが2室ずつある。同社の製材拠点として8月に稼働する子会社、高知おおとよ製材(高知県大豊町)の近くに建て社宅として使う。

 振動実験などのデータを添えて専門機関に性能評価を申請中で、7月中にも国土交通大臣の特別認可を取得できる見通し。高知県産のスギ材を使い、銘建工業本社工場でCLTに加工する。縦横1メートル×2メートル、厚さは5層150ミリと6層180ミリの2種類。壁や床材として120立方メートル使う。

 高知の建設業者と協力しながら施工法を確立する。工期は2~3カ月、建設費は8千万円(設計費込み)を見込む。

 CLTは構造材として認定されていないため、国内では天井や部分的な床材としての使用にとどまる。銘建工業が中心になって日本CLT協会を昨年設立、まず日本農林規格(JAS)認証の取得を目指している。

 CLTは様々な等級の木材を使っても十分な強度を得られるため「木が丸ごと使え、森林資源の循環的な利用を促せる」(中島社長)という。政府の産業競争力会議でも農林水産業の需要創造策として取り上げられている。



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