「危険区域」に住宅次々 気仙沼市は例外を認める

2012-11-22 13:52:01 | 宮城県

 宮城県気仙沼市で、津波などの災害に備えて住宅建築を制限する「災害危険区域」に住宅を再建する動きが出ている。想定される津波の高さや住宅の構造によって、市が例外的に建築を認めているためだ。「住み慣れた場所に戻りたい」という被災者の要望は切実。ただ建築可能な地域の明確な線引きはなく、市には戸惑う市民から問い合わせも相次いでいる。
 
 「ようやく元の場所に戻れる」。災害危険区域に指定されている気仙沼市本吉町大谷東地区で15日、自宅の上棟式を終えた高橋永二さん(55)が声を弾ませた。
  想定される津波の高さは地面から約1メートル。震災前より40センチ盛り土し、70センチの基礎部分も設けることで建築が認められた。来年1月にも完成する。
  地区には流失を免れた住宅が点在し、修繕して再び暮らし始めた住民も多い。市内の仮設住宅で母親(76)と暮らす高橋さんは「津波がまた来る恐れはあるが、知り合いが多く住み慣れた場所で生活したい」と語る。


  市は津波のシミュレーションに基づき、防潮堤などを整備しても浸水する13.8平方キロを災害危険区域に指定し、居住用建物の建築を原則禁止した。ただ平地が少ないことから、浸水想定がおおむね1メートルを下回る地域では、かさ上げや、鉄筋コンクリート造りといった強固な構造などを条件に例外を認めている。7月の区域指定以降、既に4件を承認した。


  宮城県内では、仙台市や名取市が危険区域内での建築を全面禁止。東松島市と山元町は危険区域(津波防災区域)を津波の高さに応じ3区分し、一定の高さや強度があれば新築を認めている。
  地域区分なしに建築を認めているのは気仙沼市だけ。建築可能な地域は明示しておらず、市には「自分の土地は建築が可能か」「どんな構造ならばオーケーか」といった照会が続いている。
  災害危険区域の指定は、個別移転の補助が受けられる「がけ地近接等危険住宅移転事業」などの前提となるため、市は全域一括で指定を急いだ経緯がある。
  市は「生命と財産が守られることが最低限の条件。建築の可否は個別に相談してほしい」と呼び掛けている。



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