夢音(ゆのん)~風のおるごーる~ atelier JUNON

~想いをかたちにするために~
天然木を使った、オルゴール作家

物語は続きます

2024-07-20 21:03:49 | つれづれ


彼は旅に出るのだ

背中に白いズタ袋を

そして履き慣れた靴を。



どこに向かうのか

見当はついてはいないが

とりあえず歩いてゆこうと想っている




空に鯨が泳ぐ日は

彼にとっては特別な日なのだ

この日は旅立ちに良い日

そう決まっているのである



魚たちが木々の間から顔を出せばさらにいい

まだ魚たちは森の中に現れてはいない

そのうちザワザワと現れるのだ



彼はそんな魚たちをうまくかわしながら

森を抜けて歩いてゆく

そうして向こうに湖が見えたら

その中に入っていこうと考えている

湖の中には光る空が閉じ込められていて

その封印の鍵を

彼が持っているから



とにかく遠くにある湖まで

歩いていこうと考えている
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする