写真屋はどこへ

デジタル時代の写真屋の居場所について考える・・・

ステレオマスター

2009年04月30日 | カメラ


 オークションのジャンクカメラを漁っていたら「ステレオマスター」を見つけた。「ステレオ写真」を撮る装置である。私が子供の頃、父が使っていたので懐かしく思い、入札したところ意外に安く落札した。多分昭和30年頃の製品だと思う。当時の広告が松本さんの「寫眞函」にある。

 本体をカメラに取り付けるに本当はアダプタを使うのだろうが、口径が小さくて合うものがないので、Lマウントレンズにテープで貼付けてみた。撮影にはリバーサルフィルムを使う。現像後、スライドマウントに入れて専用ビューアーで鑑賞する。ビューアーのフォーカスノブがグリスで固着していたので分解清掃したが、ボディは最近では見かけないベークライト製である。
Stereo2
     35mmのフレームにこのように写る。
画像の中央に手のひらなどで衝立てを作って見ると慣れれば裸眼でも立体像が現れる。 
 
 今でも根強いファンはいるようであるが、普段「立体写真」というものはあまり見かけない。やはり実用性がないのかな。一時ホログラフィーによる立体画像のPOPがでてきたけれどすぐに廃れてしまった。デジタル時代になって、バーチャルという言葉がもてはやされていても立体画像はあまり進化していないように思うが、私が知らないだけかも。


続・Vtのレストア

2009年03月16日 | カメラ



(Canon Vt / CanonLens 35mm f1.8 /Kodak E-100G)

 先月から手を入れてきたVtがやっと復活。シャッターはすぐ復調したものの、折れたトリガーレバーは難問だった。欠損部は僅か3ミリほどの爪に大きな力がかかる構造のため、かなりの強度が必要で、試行錯誤の末,六角棒レンチ2本を削って埋め込みようやく完了した。フィルム2本を撮影したが、トリガーレバーの感触はなかなかに心地よい。修復に時間はかかったが、でもこれはむしろ「楽しませていただきました」と感謝すべきなのかも。
以前入手したCanonの35mm f1.8は試写もしないまましまい込んでいたが、ようやく外出。あまり評価されていないレンズだが描写力は十分のようだ。

Vt2


Canon Vtのレストア

2009年02月12日 | カメラ

  Vtのレストア情報を捜したが有用なものは見つからなかった。構造は基本的には以前に開けた事のある7型とそんなに変わらないだろうからレバー以外はまあ何とかなるだろう。レストア記事のかわりにこんなものを発見した。
http://unit.aist.go.jp/tohoku/techpaper/pdf/3659.pdf#search='キャノン%20Vt'
 Vtの外装のデザインを担当した工業デザイナー川田さんが書いたレポートである。このVtはキャノンが初めて工業デザイナーを起用した記念碑的機種で、この基本デザインは以後25年間、F-1型まで受け継がれた。
 レポートには川田さんが同時にデザインしたVt純正のハードケースについても記述がある。これより以前のキャノンのケースはニッカなどと同様、ライカとよく似たものであったので、ケースもライカ型から脱却すべくこのケースが企画されたようだ。今回落札したVtにこのケースがついてきたが、レポートにも説明のあるヒンジの部分が壊れていた。金具の実用強度が足らなかったのだろう。この部分には不安があったようで、レポートからは、ケースの意匠と実際の生産品とのギャップに対するデザイナーの心残りが伺える。
 痛んでいるケースはいつもは捨ててしまうのだが、せっかくのオリジナルケースなのでヒンジの部分を補強し、外装も再塗装した。(つづく)




Case2
    (ヒンジが開き、開け易くしてあるのだが・・・)


Canon Vt

2009年01月31日 | カメラ

 オークションからはしばらく遠ざかっていたけれど、「ジャンク」の文字に惹かれて先週Canon Vt型を落札した。複数の入札がありジャンクとしてはちょっと高くなってしまったが、半年前に比べるとフィルムカメラの相場はかなり下がってきているようだ。同じ出品者から出されていたジャンクのスピードライトもいっしょに落札。これは他に入札者なく500円。

 今週、同梱にて到着。電池室が錆びているのかと思っていたナショナルのスピードライトはとってもきれいで電池を入れたら何の問題もなし。ガイドナンバーも大きく仕事にも使えそうである。これは大当り。お目当てのVtの程度はまあまあであるが、このモデルの売りのトリガーレバーは作動しない。それ故ジャンクだったのだが、多分どこかリンクが外れているのだろうとたかをくくっていた。底部を開けてみると、あらら、レバーの作用点の先端が欠損している・・・・
 内部には折れた破片も入っていなかった。シャッターの不調や内部のカビなどはなんとかなるだろうけど、この折れたレバーははたして直るだろうか?

<到着時の姿>


ビューカメラ

2008年12月23日 | カメラ


 デジタルカメラのライブビューファインダーはあまり使いやすいものではないが、グラウンドグラス(いわゆるピントグラス)のついた蛇腹式ビューカメラと同じことではある。グラウンドグラスに映る像は上下は逆だが間違いなくライブビューだ。もちろんビューカメラにオートフォーカスはついていないのでルーペを使ってピント合わせをしなければならない。そして撮る前にはグラウンドグラスのところにフィルムを差し込まなければならないので三脚に載せてしか使えない。
 LX3をミニ三脚に載せて使ってみた。まず三脚を操作してフレーミングする。ビューカメラのグラウンドグラスのように方眼のガイドラインを表示することもできるし、マニュアルフオーカスにすればルーペの代わりに中央部分が拡大されピント合わせをアシストする。ケーブルレリーズは装着できないのでセルフタイマーを2秒にセットしてシャッターを切る・・・
ビューカメラをほとんど使わなくなった昨今、なにか懐かしい気分であった。


このごろのコンデジ

2008年11月25日 | カメラ


Panasonic LUMIX LX3 / Vario Summicron / 24mm iA mode(ISO80 1/400sec f:3.2 )
 ライブビューでのフレーミングにはどうも抵抗があって、ファインダーのないコンパクト型デジタルカメラは今まで使ったことがなかった。よってコンパクト機種にはあまり知識がなかったが、PanasonicのカタログにLX3というモデルを発見し、24mmからの広角ズーム(35mm判相当)でF値が2.0というレンズがついているのに惹かれる。電器屋さんのカメラだけれどライカ社との共同開発のようでOEMでライカブランドでも販売されている。ナショナルには以前「ラメラ」というラジオ付きカメラがあったことを思い出す。量販店の店頭で触れてみるとなかなかに良いので買うことにしたが、そこでは購入せずに帰宅。価格を調べると、時期的な要因もあるのだろうが家電販売店とインターネット販売の値段には30%ほども差があるのに驚く。結局ネットから購入したがこんなに差があっても店頭で買う人はいるのだろうか?
 まだ使い込んではいないが、撮影条件が良ければ同等画素のデジタル一眼レフにも負けない画像が得られる。特筆すべきはかなりのワイドレンズなのに歪曲収差、色収差ともに非常に少ない。いや、少なすぎる。どうもこれはカメラ内部でデータの補正を行っているように思える。ついにレンズ設計もソフトウエアを含めて、というのが常識になったのだろう。上の写真は全てカメラまかせで撮った一枚で何の手も加えていないが、24mm相当でも周辺の垂線もきっちりと出ているし像の流れもない。コンパクトカメラでここまで表現できるのに感心。A4位までのプリントならこれで撮って納めちゃってもバレない!?


ライブビュー撮影

2008年10月31日 | カメラ



 安価なシグマのレンズが意外に良いので、新しいボデイに着けてみようと思い最近安くなったEOS40Dを買った。35mmカメラの後継機として使うにはやはりこれくらいの大きさが適当だね。EOS1Dsは事実上4×5の代替として使っていて、時に手持ちで撮ると何か違和感がある。昔リンホフスーパーテヒニカ(※)で手持ち撮影をしたときの感覚に似ている。
 40Dは1Ds mk3と同じくライブビューがついている。1Dsではライブビュー撮影をしたことがないので未だに使い方をマスターしていない。この機会に使ってみると1Dsと40Dとでは機能が少しちがうみたいだ。ケータイカメラを起源とするライブビュー撮影のメリットはなんなのかよくわからないが、ローアングルファインダーの代わりになるかなと思い撮ってみたのがこの画像。ライブビューでは基本的にマニュアルフォーカスで、オートフォーカスすると一瞬ミラーアップするためピント合わせは面倒で手持ち撮影は難しい。SLRカメラに搭載するには無理があるような気がする。
(※独リンホフ社製の4×5カメラ。距離計があり手持ち撮影も可能。)

EOS40D /SigmaZoom 18-50mm DC


35mm型・その2

2008年08月21日 | カメラ


 6月に旧知の機材商、Kさんから久しぶりに電話がありEOS D60を探しているとのことであった。EOS 1Ds が登場するまではKodak DCS560と並んで私の主力機だったが、あれからはや6年、2機とも棚の片隅でひっそりと余生を送っていたのだった。それでも、軽量のD60はスナップ撮影などで年に1度くらいは出番があり、なくなると困るので、電池やアクセサリーがそのまま使える10Dに交換してもらうことにした。
 手許に来たのはなかなかの良品であった。金属ボディーになるなど、D60からはかなり進化しているが、既に三世代も前のモデルで今では実に few万円!で入手できる。でもコンパクトデジカメとは一線を画する性能。スナップなどには十分すぎるほどだ。APS-Cセンサーに適した標準レンズを持っていなかったので、しばらく置いたままになっていたが、先日シグマ製の18-50mmレンズの新品が手に入った。人気がないのか、驚くほど安い。装着して少し使ってみる。凄い!APS-C用とはいえ、とても数千円で買えるレンズとは思えない画質だ。それにこのレンズはコンパクトで、カメラの保持がとっても楽。10Dと1Ds-mk3にそれぞれ標準ズームを装着時の大きさは上の画像の如し。これでも共に35mm型と呼ばれるのだが・・・(続く、多分)


35mm型

2008年06月24日 | カメラ

Nicca 3-S/Nikkor 50mm f2.0/Kodak E100G
 
 旧いカメラに最も違和感のあるのはファインダー。巻き上げがノブなのも、距離計が別窓なのも趣味としての使用にはむしろ長所。しかしファインダー窓から見える像はとても小さく、細部の確認は厳しい。写真はニッカで撮った一枚。パララックスの補正もないが、このくらいの距離までならフレーミングはまあまあ正確で、ほぼ見たままの範囲が写るようです。このファインダーは見ずらいけれどカメラをできるだけ小型にするためこのような設計にしたと推測される。以来数十年を経て35mmカメラは、一眼レフが主流となり正確なフレーミングが可能になる。正確さではビューカメラと同じ様にグラウンドグラスに映した像に勝るものはなかったのです。
 最近はほぼ全ての仕事を35mmSLR型のデジタルカメラでできるようになった。バルナック型ライカからはずいぶんでかくなったものの、でも見た目はやはり35mmカメラなので、機材としての見栄えはちょっと貧相。中判型は高価でかつ立派だけど、まだシステムとして中途半端で、特に広角系の撮影ではは35mm型以外に選択肢はないのだけれど、これでお金をもらうのは気が引ける?従ってまだ当分銀塩ビューカメラは生き残る!




ニッカといふカメラ

2008年06月01日 | カメラ


 便利なデジタルカメラばかり使っていると、『写真の撮り方』を忘れてしまいそうな気がして、仕事以外では全手動の、不便なフィルムカメラに面倒くさいリバーサルフィルムを入れて撮ることを努めてしている。何十年と使ってきたリバーサルだが露出を勘で決めるのはいまだ難しく、露出計に頼らなければならないが、カメラについたものではなく単独露出計を使用した方がこの目的にはより不便でよい。それには旧いカメラが向いている。
 先日、きれいなニッカが手に入った。昭和20年代の日本で作られたライカのコピー。当時の日本は、多くの業種で多くの企業がヨーロッパの商品をコピーして作り、それをアメリカに売ることで生計をたてていた。このカメラもその一つで、特許はもう切れていたとはいえ、こんなまるごとコピーにクレームがつかなかったのはドイツも敗戦国だったからだろうか。手に取ってみるととても良い作りで50年以上を経過したいまでも実に美しい。コピー品であるというようなうしろめたさやためらいは製品から少しも感じられない。むしろ、ライカになぞ負けないぞって胸を張っているように思える。当時のキャノンのカメラも実はライカコピーだったのだが、キャノンのは形状を少し変えているところになにか迷いのようなものが見える。まあ、その迷いが現在のキャノンを育てたと言えなくもない。
 ニッカを使ってみる。シャッターを切るまでにひとつひとつ手順を踏まなければならず面倒だが、大型カメラの手順からみればずっと簡単で、ライカが革命的な製品であったことを実感させる。現代のデジタルカメラになれた体にはこれくらいの面倒さがとても心地よい。


センサークリーニング

2008年03月25日 | カメラ

 1月から使い始めたCanon 1Ds Mark3の感想を少し。このモデルから自動センサークリーニング装置がついた。これまで3ヶ月に1度はキャノンのQRセンターへクリーニングへ持って行っていたので、これでもう行かなくてよくなった。と思ったのだが、先週撮った画像をよく見ると点々があちこちに。
 電源のON/OFF時に自動的にクリーニングをするようになっているのだけれどそれでは足らないのか、と思いながら手動で作動させること数回。テスト撮影してみるととれてない!がっかりとやっぱりが交差しながらまたQRセンターのお世話になることに。これまでQRセンターに敬意をはらって清掃後にテスト撮影はしたことがなかったのだけれど、このところ(に限ったこともないか・・・)仕事が暇なのでテスト撮影をしてみた。ん~、やっぱり完全にはとれていないんですね~。残っているのはごく小さなホコリだからまあ、実際の撮影画像で目立つことはあまりないだろうけれど。デジタルカメラのホコリ対策はまだまだ始まったばかりという印象ですね。