写真屋はどこへ

デジタル時代の写真屋の居場所について考える・・・

佐屋街道

2009年07月31日 | 写真



Yashica Electro35GX/ColorYashinon40mm f1.7/Kodak E-100G

 数ヶ月前、中村区烏森での一戸建て住宅撮影の依頼があった。普段は通り過ぎるだけでまず行くことのない場所である。その撮影が終了しての帰り、裏路地にあった撮影地がスタート点であったからか、カーナビのガイドに従って行くと、往路とは違い佐屋街道を通ることになった。江戸時代から東海道のバイパスとして栄えた街道で、商店や江戸の名残を残す民家が混在して連なる。しかし、烏森のあたりはほとんどの商店が廃業していていわゆるシャッター通りになってしまっていた。
 そのときはそのまま通り過ぎてしまったので、先日ここを再訪してみた。どのシャッターももう閉じられてからかなり長い年月が経っているようだ。「閉店します」ではなく、ちょっとお休みします、という張り紙をされたままもう開けられることのなかった扉たちが寂しげであった。
 佐屋街道は有松のような端正さもなく、町並み保存の対象になってもいないが、江戸と昭和が入り交じり、その混沌の中でいま昭和だけが朽ちてゆく。