写真屋はどこへ

デジタル時代の写真屋の居場所について考える・・・

『スーパー解像度』と『Pixel Shift』の4億画素を比較する

2021年10月28日 | Mac and Photoshop

 今年Adobe Photoshopに追加された機能の一つに「スーパー解像度」があります。画像を面積比で4倍に拡大する機能で、GFX100sのPixelShiftは16枚の画像を連続撮影して4倍の画像を生成するのに対して、「スーパー解像度」は1枚のRAWデータから4倍の画像を生成します。CameraRawのメニューではなぜか『強化』という名称ですが、上の写真は前回の掲載写真をPixelShiftで撮影した時の16枚のソース画像うちの1枚をPhotoshopで『強化』したものです。前回の画像と違って1枚の写真ですから動くものもそのまま写っています。
 これまでphotoshopでは画像拡大についてなんども改良がされてきましたが今回の「スーパー解像度」は別格です。Pixel Shiftの生成画像と比較しても、遜色がないといっても良いかもしれません。やや滑らかさに欠ける感はあるものの、シャープ感はPixelShitを上回っていて印刷原稿としては十分な画質です。Pixel Shiftの場合、三脚の固定による複数枚の撮影と専用ソフトウエアによる処理の手間、そしてなによりも動くものには使えないことから「スーパー解像度」の利用価値は大きいと思います。

上の「強化」済み画像のフルデータはこちらのGoogleDriveからダウンロードできます。


GFX100sの4億画素作例 追加

2021年10月14日 | 撮影機材

 先回のサンプルは全体画像が小さ過ぎて感覚的に捉えにくいかもしれません。今のところ屋外へ撮影に出かける機会がなく、このフルデータの画像は2階の窓から適当に撮ったものです。この画像には動くものが含まれていてPixelShiftには向かない被写体です。撮影中に通過していった車両や、風になびく植物などがギザギザしたシルエットになって写っています。使用レンズは <GF50mmF3.5 R LM WR>。実データはこちら(GoogleDrive)からダウンロードできますが容量があるのでご留意ください。(約90MB/展開後約1GB)

 


富士フィルム  GFX100sの4億画素作例

2021年10月05日 | カメラ

 業務上の撮影でで5千万画素以上の画素数が必要とされることはほとんどありません。普段私がスタジオで使っているNikon D850(4689万画素  )でもほとんどの場合オーバースペックで、撮影画像をわざわざ数分の一に縮小してお渡しすることもあります。依頼を受けた撮影で5千万画素以上の画像が必要とされるのはほんの一握りの用途に限られます。実際、販売側もこのクラスのカメラの用途を大型屋外パネルの原稿や美術品等のデジタルアーカイブの作成などに主眼を置いています。富士フィルムはもともと写真館向けの需要が多かったからでしょうが、銀塩時代の8x10カメラに匹敵すると解説し百人を超えるような集合写真の用途をうたっています。このカメラでA4サイズの印刷物内に収まる大きさの写真を撮るのは、いわゆる「大根を正宗の名刀で切る」ようなものでしょうか。

 私が携わっている撮影で現在この画素数が必要な仕事は1案件だけですが、その用途は複製版画の製作です。銀塩からデジタルに移行後、サイズによってはこれまでの8x10や4x5のポジフィルムに匹敵する画質を確保できなくなり、なんとかならないかといつも相談を受けていました。しかし1億画素を超えるカメラを準備するにはまだ約500万円以上の出費が必要な時代で、対応は難しい状態でした。「時代」といっても、それはたった1〜2年前までのことです。

 複製画のサイズはまちまちですが大きなものは長辺が1mを越す作品もあり、原寸複製では1億画素でも不足しますので、GFX100sの「ピクセルシフト」によって4億画素の撮影ができるのは大きなメリットです。本格的な撮影はまだこれからですがテストとして数点を撮影したうちの1点を紹介します。(トップの画像/縮小してあります)

 原画の大きさは728x1030mmで、ピクセルシフトで撮影した画像解像度は原画サイズの複製画を製作するのに十分な余裕があります。解像度はそのままで部分トリミングしたものをここ(google drive 約6.8MB)にアップロードしました。

直販をされている<Emerald Forest> では複製画だけではなく、種々の画集や関連作品を以下のサイトで扱っています。よろしかったらご訪問ください。

HIROO ISONO WORKS